大水青の嬌声 (original) (raw)
前書き長くなってしまったので飛ばしてください。
前書き
どうもthzaqです。
突然の自分語りですが、アニソン原曲DJというものを初めてそろそろ10年が経とうとしています。
正直最初は、「アニソン原曲DJなんてDJを名乗っているものの、任意のタイミングで任意の楽曲を、適宜BPMを調整し、適宜エフェクトを使いつつ、再生ボタンを押してフェーダーを切っているだけで、スクラッチルーティンやブートレグのような明確な創作性が無い時点で一過性のブームだろう」くらいに思ってました。
アニソンDJイベント(いわゆるアニクラ)の存在を知ったのが2013年くらいなので、その頃の話です。
結局私もブームに乗っかった1人ですが、当時一過性だと思っていたブームは、コロナ禍も乗り越えて今も健在です。
その一部はTikTok文化と融合し、"アニソンランダムダンス"として更に客層を広げ、海外進出もしています。アニソンDJイベントの前身とも言える"コスプレダンパ"のようなものに回帰しているというのは文化史的にも面白いですね。
ですが、「スクラッチルーティンやブートレグのような明確な創作性が無い」という当時の私の感想は、あながち間違ってはいない筈です。
実際DJをやってみると、個々の繋ぎにより原曲のポテンシャルが引き出されたり、物語や世界観を創り出すことも可能で、全く創作性が無いなんてことはないのですが、それでもです。
ならば何故ブームが続いているのか、きっと色々な要因がありますし、前述の繋ぎの創作性や雰囲気作りが面白いというのもあると思うのですが、実感として自分の言葉で答えるならばシンプルに「知っている音楽が流れると楽しいし、知らない音楽を新たに知れると楽しい」となります。
人並みな言葉ですし、アニソンDJに限った話ではなくなってしまうクソデカな言葉なのですが、2013年当時の自分が思ってたよりも「知っている音楽が流れると楽しいし、知らない音楽を新たに知れると楽しい」だったんですよね。
DJの技術の歴史はターンテーブルを2つ並べたときから始まったと思うのですが、DJの歴史はレコードプレイヤー1つで任意のオーディエンスを満足させようとした瞬間から始まっていた。と考えるとDJの初期衝動はこちらなのでは?と少し考えてしまいます。
…………前提が長くなってしまいましたが、「知っている音楽が流れると楽しいし、知らない音楽を新たに知れると楽しい」という中で、やっぱり一番美味しいのは「知ったばかりの音楽」だと思っています。
そこで、自分へのご褒美として始めたのが『#鮮曲市場』というDJイベントです。
— thzaq (@SproutsTO) 2024年8月23日
鮮曲市場は、東京都立川市にあるアニソンDJ Bar 立川Gluck Zweiという場所で、毎月第1金曜日の夜に平日BAR営業を間借りする形で3時間だけ開催しているミニイベントです。
レギュレーションは直近1ヶ月にリリース等されたApop(アニソン・ゲーソン・声優楽曲・アニソンアーティスト楽曲・アイドルソング・インターネット音楽・Vtuber楽曲・遊技機楽曲・ボーカロイド楽曲や同人音楽など所謂アキバ系・オタク系楽曲を包括できる超便利ワード)が中心(オンリーではなく別にそれ以外も使ってもOK)。
アニソンDJイベントは通常番手1人あたりの30~45分くらいでだいたい1曲1コーラスで繋いでいくのがセオリーとなっていますが、鮮曲市場は「新譜に親しむためのイベント」と銘打ってDJ1人1時間でじっくり新譜を流せるようにし、普段ほど繋ぎにはこだわらず五月雨式のラジオDJっぽくても成立する形を目指しています。
thzaqがガチガチに繋いでるのを見たい方は川崎のclub月あかり夢てらすで毎月第2日曜日のデイタイムにやっている『twilight -トワイライト-』に来ていただければ…
#かっこいいトワライ お疲れ様でした!!
私の履歴はこんな感じでした、好きなかっこいいアニソン沢山使えてよかった…
かこアニのDJ皆さん凄くてめっちゃ楽しかったです#twi_light 次回は通常通り第二日曜の11/9、24年秋アニメが出揃った時期ですので今期アニメまみれになりましょう pic.twitter.com/rMelme4to6— thzaq (@SproutsTO) 2024年10月6日
毎月開催レギュラーイベントとしても気分的にはトワライが主食で鮮曲市場はデザートです。
そして、ここからがやっと本題なのですが、鮮曲市場を毎月やっているのだから何かしら残したいなと思ったので、各回の1番いいなと思った楽曲とレコード(シングルEPアルバム単位)をここに書いていくことにします。
2024年9月回
・MVP楽曲
Brazilian Love Affair - babababa ft. Hatsune Miku
カルトさんが流したやつ。
インターネット上のブラジリアンミクのムーブメント(2024年8月17日~)にインスピレーションを受けて生み出されたボーカロイド楽曲。
誕生の経緯がまさに"鮮曲"という感じで、普通にミクの調教も上手く、早回しのラテンジャズが心地良い曲。
フロア全員知らなかったけど良すぎて全員ドカ沸きしてて良かったですね。
・MVPレコード
ぱちんこ キョンシー オリジナルサウンドトラック - newgin sound team
thzaqが流したのはドカ沸きユーロビートの「Summer Night!」。
主題歌っぽい「古今東西☆キョンシーズ」を筆頭にボーカル曲が10曲入ってるのですが、全部いいです。
リメイクで萌え台になった感じだと思いますけど、普通に実写映画のキョンシーのムービーも演出で流れるっぽくて謎すぎる。
2024年10月回
・MVP楽曲
カゴノソトヘ - 羽根ろな (CV:田村ゆかり)
thzaqが流したやつ。
project Luminasysというアイドルもののボイスドラマシリーズのキャラクターソング。
DLsiteとFanzaで買えます。
フロアがいちばん盛り上がってたのはHappy≒Futureの映画サイズ(映画『わんだふるぷりきゅあ!ざ・むーびー!ドキドキ♡ゲームの世界で大冒険!』ED)だったけど、田村ゆかりさんの新譜キャラソンというだけでとても嬉しいので。
烏屋茶房さま、いつもお世話になっております。
・MVPレコード
妖精夜行 - 悠木碧
thzaqが流したのは「レイニーレイニーエラー」。
詳しい解説とかはTLの声優楽曲オタクさんとかがしてると思います。
こんなん全部好きに決まってるだろ!
2024年11月回
・MVP楽曲
Brand New!! - 西塔ミコト (CV:岩田陽葵)
てぃーくんが流したやつ。
『カードファイト!! ヴァンガード Divinez』5話挿入歌。
やっと音源出て、嬉し過ぎて…
関係ないけどなぜ僕のキャラソン沢山出てる中で流れたのがこいつらなのも良かった。MVPアニメ。
今日流れたのこの2つなのヤバい#鮮曲市場 pic.twitter.com/5zVv7u6fpJ
— てぃっしゅ(鳥飼い) (@0721_wa) 2024年11月1日
・MVPレコード
星の伝言 - 東山奈央
thzaqが流したのは「むてきなガール!」。
アニメ『星降る王国のニナ』のED「星の伝言」のシングルですが、「星の伝言」自体が素晴らしい三拍子楽曲なのはもちろんのこと、他3曲も良すぎるので全部ニナの挿入歌で流して欲しい。ニナって無敵なので。
(11/1更新)
Let's start "Band Life"!
初めての方は初めまして、thzaqです。
突然ですが、皆さんはガルパというスマートフォン向けアプリゲームをご存知でしょうか?
ガルパはメディアミックスプロジェクト『BanG Dream!』の一環であるリズム&アドベンチャーゲーム『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』の略称です。
今回はこのガルパの”ストーリーの読み方”を紹介しようと思います。
…というのも、ありがたいことに以前書いたAve Mujicaの記事が非常に好評(預かり知らぬ場所で英訳されたり中国の掲示板で出回ってるレベル)でして、
thzaq.hatenablog.com
私の周囲でもこの記事を通してバンドリ自体に興味を持ってくれた人も多く、また2023年9月にMyGO!!!!!がガルパのプレイアブルになったのもあり「ガルパ何から読めばいいですか!?」という質問がひっきりなしに来るようになったので重い腰を上げた次第です。
「ガルパ何から読めばいいですか!?」ということは「パッと見でガルパをどう読めばいいか分からない」ということで、これは由々しき問題です。
もちろんガルパの読み方に決まりなど無く、何を選んでもそれぞれ固有の体験になるので自由に触れてよいのですが、それでも手引きが欲しいという方のために今回は私が推奨するガルパの読み方を紹介しよう!というわけです。
先に私の好みを表明しておくと、ガルパをインストールしたきっかけは元々声優の遠藤ゆりかさんが好きだったから、1番好きなキャラは湊友希那、1番好きなバンドはPoppin'Party、1番好きなCPはチュパレ、好きなイベントストーリー3選は『ガールズ・ビー・アンビシャス!』『例えばこんな脱げない日には』『ギャラクシー・ウェディング!』です。
また、今回は最低限の知識としてアニメ1期~3期&It's MyGO!!!!!を視聴した人向けに書いていきます。
「誰かに指図されると萎える!」「地雷!」という方はここでブラウザバックをお願いします。
前置きが長くなってしまったので、せっかちな人は「ガルパの読み方」に飛んでください。
ガルパの魅力について
まず、動機付けとして私の思うガルパの魅力を少し語らせてください。
それはズバリ『**BanG Dream!の名のもとに異なる思想を持ったバンド・キャラクターたちの有機的な交流と成長を描いたストーリー**』です。
バンドごと・キャラクターごとに命題が存在し、それらが少しずつ解決され、対比され、再定義されていく物語を楽しむゲームなのです。
また、イベントストーリーでは命題に深く関わるドラマチックな物語と並行して日々の日常も描かれます。
バンドの内外・学校の内外での日常=青春と、そんな日常の中で生まれる音楽・生活に根付いたバンド活動であることも大切にされており、この"バンド"だけでなく女学生="ガールズ"がしっかりと描かれている点はガルパの大きな特徴です。
後述するバンドストーリー3章を超えてからはプロとアマチュア、大人と学生、一生と青春、その境目を垣間見るような展開で、特にAfterglowは現在進行形でその渦中にいます。
ラブライブ!におけるスクールアイドルが「スクール」あっての「アイドル」であるように、BanG Dream!におけるガールズバンドも「ガールズ」あっての「バンド」なのです。
上記の言い回しをするとガルパの魅力は
『「ガールズ」も「バンド」も描くストーリー』
と言えます。
ガルパの構造について
そもそもなぜガルパが読みにくいのかというと、その構造にあります。
ガルパには大きく分けて3種類のストーリーがあります。
・メインストーリー
・バンドストーリー
・イベントストーリー
※カードエピソード*1
そして、それぞれ時系列でシーズン1・シーズン2・シーズン3に分かれています。
この区切りはPoppin'Partyの高校進級によるもので、シーズン1は作中の1年目、シーズン2は作中の2年目、シーズン3は作中の3年目となっています。
また現実の時系列で言うとシーズン1はサービス開始の2017年3月~2019年3月、シーズン2は2019年3月~2023年3月、シーズン3は2023年3月~2024年1月現在という感じでシーズン2のボリュームが非常に大きいのが特徴です。
ここで1つの疑問点が生じます。
「アニメの時系列ってどこなの?」
時系列、これがガルパの分かりにくいポイントその1です。
時系列
簡潔に答えると、アニメ1期はシーズン1の4月初頭~7月中旬、アニメ2期はシーズン2の4月初頭~6月末、アニメ3期はシーズン2の10月初頭~12月末、『It's MyGO!!!!!』はシーズン3の4月末~7月末なのですが、熱心にアニメを見ていなかった方はきっと2期で香澄たちが進級していることも流し見してしまったのではないでしょうか。
付け加えるなら、アニメ3期の直後の大晦日に舞台『We are RAISE A SUILEN~BanG Dream! The Stage~』があり、年が明けた年始に劇場版『BanG Dream! ぽっぴん'どりーむ!』があります。
アニメ『BanG Dream! Morfonication』はシーズン2のイベントストーリー『サマーサニーバスケット』で回想されていること、前任の理事長であること、長崎そよと若葉睦が中等部の夏服であることからシーズン2の夏休みだと断定できますが、fly with the nightを歌っていることからMorfonica2章『fly with the night』以降である必要があり、時系列的に不安が残る感じです。
アニメ『ガルパ5周年記念アニメ-CiRCLE THANKS PARTY!-』はあまりにも考慮すべき時系列が多いのですが、シーズン2の3月くらい(Roseliaツアー終了後~卒業前)に置いて多分問題ないです。
こう書くとアニメだけなら何とか時系列を整理できるのですが、ガルパ側は時系列の捻じれが深刻で、特に季節感のあるイベントストーリーなど時系列的に矛盾するものがいくつかあり、「時系列を気にすべき話」と「時系列に関して目を瞑るべき話」が混在してしまっています。
例を挙げるとポピパと花咲川1年生たちのお花見を描いたシーズン1の一番最初のイベントストーリー『SAKURA BLOOMING PARTY!』はポピパ結成(文化祭後なのでシーズン1の6月)と完全に矛盾していますし、シーズン2夏のRASの水着イベント『Feel×Heat×Beat!』もRASの六花加入(シーズン2の秋)と矛盾しているので水着イベントが成立するのはシーズン3です。
これらは季節の日常回なのでまだマシなのですが、RoseliaとAfterglowの本筋を語る上で非常に重要なイベントストーリー『夕凪、pm5:45』にいたっては、シーズン2の冬にある『FUTURE WORLD FES.』以降であるRoseliaのメジャーデビューを描いたバンドストーリー3章『Sprechchor』以降の夏でありながら、シーズン2の3月の湊友希那世代の高校卒業前に行ったRoseliaの全国ツアー以前の夏である必要があり、どう考えてもRoseliaが1年留年していなければ説明出来ません。
また他のバンドも、FUTURE WORLD FES.から繋がるG.B.T.編は同じ理由で全て時系列が矛盾します。
なので、
ガルパの時系列はアニメを基準にしつつも2年目が2年分ある
くらいのゆるい考え方で大丈夫です。
ともあれ、2023年3月のサービス開始6周年から始まったシーズン3は、Poppin'Partyたちの高校生活最後の1年であると同時に湊友希那たち先輩組の大学生活の始まりであり、これだけ作中時間を進行させて**"高校卒業"と"大学進学"を描いた点**は他のコンテンツでもあまり類を見ないガルパの魅力のひとつだと思います。
もっとも、姉妹コンテンツである『D4DJ』と『プロセカ』も既に時系列の進行と進級を描いていますし、2年進級して先輩格が卒業という点では『ご注文はうさぎですか?』『八月のシンデレラナイン』『響け!ユーフォニアム』などの人気作も同レベルで時系列が進行しています。
現在話題沸騰中の『Link!Like』はリアルタイムコンテンツなので、蓮ノ空の現2年生は来年3月には卒業してしまいます。
私も2年後には三十路です。
時系列の進行って怖え~!
ストーリー
次にメインストーリーとバンドストーリーとイベントストーリーの3種類の説明ですが、まず身も蓋もない事から言わせてください。
「メインストーリーが全然メインストーリーじゃない」
これがガルパの分かりにくいポイントその2です。
正確に言うと「メインストーリー・バンドストーリー・イベントストーリーがお互いにどう関わっているのか読み込まないと分からないし、メインと呼ぶべきはバンドストーリー」ですね。
バンドストーリーは各バンドの本筋であり、あえてメインと呼ぶならこちらになります。
初期5バンドは3章まで存在し、追加バンドのMorfonicaとRAISE A SUILENは2章まで、MyGO!!!!!は1章まで存在します。
また、シーズン2だから2章、シーズン3だから3章…という訳ではないので注意してください。
イベントストーリーは月3回のペースで開催されるイベントで公開されるもので、これは他のアプリゲームから想像しやすいと思います。
ですが、メインストーリーといえば名前からしてアプリをインストールして多分最初に触れるものにもかかわらず、ファンの立場でも説明が難しいのです。
そもそも、ガルパのメインストーリーは3年で実質的に廃止されています。
元々メインストーリー(シーズン1)はサービス開始時に初期5バンドのバンドストーリー1章と共に半分程度が公開され、その後約1年かけて毎月更新という形で残りが公開されました。
— バンドリ! ガールズバンドパーティ! (@bang_dream_gbp) 2017年5月10日
そしてバンドストーリー1章ではそれぞれのバンド結成と最初の課題解決が描かれています。
(アニメ1期でバンド結成が描かれたPoppin'Party・バンド結成が中等部時代のAfterglowの場合はキャラ紹介をしつつ基礎的な課題解決が描かれています。)
メインストーリー(シーズン1)はこのバンドストーリー1章を経た初期5バンドが、アニメ1期最終話で閉店したライブハウス『SPACE』の系列店である新ライブハウス『CiRCLE』を盛り上げるためのプレイベントで5バンド合同の『ガールズバンドパーティ』を結成する……という話で、これが前提にあるので以降イベントストーリーなどにて別バンド同士でも全員顔と名前が一致した状態になっているというわけです。
つまりバンドストーリー1章前提の内容なので「とりあえずメインストーリー(シーズン1)から読み始めても全然面白くない」のです。
メインストーリー(シーズン1)のオチは「5バンド思想はバラバラだけど音楽を楽しむ気持ちは一緒」という感じで、確かに本質ですし、特に1章時点のRoseliaに対しては重要なイデオロギーなのですが、正直今のストーリープール全体の中では積極的に読むべき話ではないです。長いので……
最初期のストーリーということもあり仕方ないのですが口調や呼称や性格がブレていて現行ファンからすると読むに耐えない箇所もあります。
なので
・Poppin'PartyとAfterglowとPastel*PalettesとRoseliaとハロー、ハッピーワールド!で『ガールズバンドパーティ』を結成した
・「5バンド思想はバラバラだけど音楽を楽しむ気持ちは一緒」
・でも湊友希那と氷川紗夜は1章時点なので音楽が楽しいと素直に言える状態じゃない
・AfterglowとRoseliaの因縁はここから始まる
・白鷺千聖と瀬田薫、白鷺千聖と松原花音の絡みがある
・山吹沙綾たち商店街組のコネクションがある
くらいを押さえておけば一旦スルーして大丈夫です。
ちなみに2章以降のバンドストーリーはイベントストーリーと同じように月々のイベントのひとつとしてストーリー追加されていきます。(例外ありますが)
次回イベント「二重の虹(ダブル レインボウ)」明日、4月30日15:00より開始予定です。お楽しみに♪#バンドリ #ガルパ pic.twitter.com/wnqJhlRr7i
— バンドリ! ガールズバンドパーティ! (@bang_dream_gbp) 2018年4月29日
また、Poppin'Partyのバンドストーリー0章は後から追加されたものでアニメ1期とだいたい同じ内容です。
次にメインストーリー(シーズン2)ですが、こちらは2019年3月の2周年アップデート(アニメ2期の放送終盤)で作中の進級&シーズン2への移行に際して追加されたもので、こちらも1年かけて毎月更新という形で公開されました。
— バンドリ! ガールズバンドパーティ! (@bang_dream_gbp) 2020年2月22日
メインストーリー(シーズン2)の内容はシーズン1を経て大ガールズバンド時代が到来しCiRCLEも人気の箱になったものの、長続きしないバンドが続出。
その中に当時まだ未プレイアブルだったMorfonicaの倉田ましろもいて、そんなビギナーたちに改めて「音楽は楽しい」を伝えるために『ガールズバンドパーティ』が再集結するというもの。
(そんなMorfonicaに憧れて結成されたCRYCHICが長続きしなかったのは悲しいものがあります。)
このメインストーリー(シーズン2)最終話が公開された後の2020年3月(アニメ3期の放送終盤)の3周年アップデートでMorfonicaのプレイアブル化&バンドストーリー1章公開という流れでした。
メインストーリー(シーズン2)はMorfonica追加までの導入としても、『アニメ1期 8話』と『It's MyGO!!!!! 10話』の間にある歴史としても是非読んで欲しい内容ですし、バンドストーリー2章以降なのでクオリティもこなれています。
こちらは確かにメインストーリーっぽいメインストーリーなのですが、面白みはやはりバンドストーリー2章や色々なイベントストーリーを経て成長したキャラクターたちが次の世代のために頑張るという所なので「とりあえずメインストーリーから読む」はメインストーリー(シーズン2)でも適切ではないのです。
メインストーリー(シーズン3)は2023年3月の6周年アップデートで作中の進級進学&シーズン3への移行に際して追加されました。
ただしシーズン2までとは違い、イベントストーリーと同じようにイベントの形で公開されました。
「メインストーリー」に、イベント「Let's start new party!」にて公開したメインストーリーシーズン3を追加📚
全話読了することで『RiNG A BELL』を獲得することができますよ🎶
※イベントにて「Let's start new party!」を最終話まで読了されている方は、既に楽曲を獲得済みです#バンドリ #ガルパ pic.twitter.com/5mLiDW9vdh
— バンドリ! ガールズバンドパーティ! (@bang_dream_gbp) 2023年3月25日
メインストーリー(シーズン3)の内容は7バンドそれぞれの新生活を描くというもので、重要な情報や現行のイベントストーリーに繋がる話は沢山あるものの、ガールズバンドパーティとしての大きなストーリーは無く、7バンドの足並みを揃えるのが目的となっています。
こちらは後述するシーズン2最後のイベントストーリー『卒業 ~3月の空は青く澄んで/未来へ~』まで辿り着いたプレイヤーがその次に触れるべきもので、やはり「とりあえずメインストーリーから読む」は全く通じません。
以上より、ガルパの「メインストーリー」は日々の基本となる「イベントストーリー」と区切りの大一番となる「バンドストーリー」の補佐的なものでしかなく、一般的な"メインストーリー"の概念とは乖離しているのです。
……ここまで時系列とメインストーリーについて長々と書きましたが残念ながら本題はここからです。
そしてこれこそがガルパの分かりにくいポイントその3であり、新規参入に対する致命的な壁です。
それは
「イベントストーリーが多すぎる」
そう、イベントストーリーが多すぎる!!!!
マジで多すぎる。
7年前となると記憶が曖昧なものもあるので、このブログを書くために3ヶ月程かけて改めて全てのストーリーを読み返したのですが、やっぱり多すぎる。
イベントストーリーの総数は2024年1月現在で約230本、1本あたり手動なら20~30分、オートなら40~50分くらいあります。
にもかかわらず、これまで「ガルパ何を読めばいいですか?」という問いには「全部読め」としか言えなかったのです。
何故かというと7年という非常に長いスパンで文脈が縦横無尽に散りばめられているので、ビギナーに対して逐一説明していられないからです。
また、バンドストーリー等の本筋から遠い、所謂日常回でもそこで生まれた関係や経験が重要な場面で活きることもあります。
例えば2019年2月のイベント『The Whitest Day』は会話劇として面白いとはいえ正直本筋に関わる可食部は殆ど無いのですが、ここで白鷺千聖と花園たえがある程度親密になっていないとガルパの大サビである『卒業 ~3月の空は青く澄んで/未来へ~』の内の3話『縁』の会話は成立しません。
しかし今回はこの「全部読め」を一旦引っ込めます。
イベントストーリーを全て読むということはTCGに例えるならばカードプール全てのテキストに目を通すようなこと。
そう考えると
「ガルパに含まれる様々な物語から一部を切り取る=デッキを作ることは可能なのではないか?」
「本筋に関わるものに絞った勧め方も可能なのではないか?」
そんな感じでガルパの読み方の提案をするのがこのブログというわけです。
ガルパのバンドについて
さて、前項が綺麗にまとまったのでガルパの読み方の提案に移りたい所ですが、その前にガルパの各バンドについて紹介しようと思います。
というのも、ガルパのバンドにはそれぞれ特色があり、異なる思想を持っています。
様々な物語を読んでいくにあたり、登場人物たちがそれぞれ何を志向しているかを知っておいた方が「好きそう」な物語から触れやすいと思います。
また、アニメのみを見てきた方々はぶっちゃけ「Poppin'Party」「RAISE A SUILEN」「MyGO!!!!!」以外のバンドがどんな存在なのか分からなかったと思います。
具体的には、アニメ2nd seasonの4~6話で「ハロー、ハッピーワールド」「Pastel*Palettes」「Afterglow」がそれぞれフィーチャーされたものの、どういうノリかくらいしか分からなかったのではないかと思いますし、アニメでずっと強キャラぶってる「Roselia」も具体的にどう強いのかはなんとなくしか分からなかったのではないのでしょうか。
「Morfonica」も、なんとなくMorfonicationを見ただけでは雰囲気しか伝わらなかったと思います。
もちろん、本筋はガルパに書いてあるのでアニメとしてはノリや雰囲気が伝われば十分ですし、ガルパ込みだと上記はどれも面白みのあるアニメになっています。
無論、ショートアニメ『ガルパ☆ピコ』や各種コミカライズ等を見た方はある程度キャラが分かるかもしれません…
ですが、ここではちょっと真面目に紹介してみます。
先に断りますが
ポピパが一番難解なのでポピパだけとても長くなってます
。残りは簡潔なので少し耐えてください……
Poppin'Party
Poppin'Partyはほぼ初対面の女子高生5人が偶然を重ねて結成したバンドです。
その経緯はアニメ1期で十分に語られているのであえて書く必要は無いでしょう。
Poppin'Partyが取り扱っているテーマは「繋がりと相互作用」「直感と自由」「日常と永遠」「奇跡と偶然」「奇跡と運命」です。
多くない?と思うかもしれませんが、1語で表すなら「CiRCLING」という表現になります。
……やっぱりこれだと分からないですよね?
Poppin'Partyは主人公格にもかかわらず全バンドで最も観念的なバンドで、それでいてバンドリのイデオロギーの根幹になっているのが新規ファンからすればかなり難しいと思います。
「繋がりと相互作用」というのは、人の輪が広がり互いに影響し合い循環していく円のイメージです。
これはガルパで描かれる人々の有機的な交流そのものでもあります。
繋ご!世界のぜんぶ
出会お!旅から旅へと
紡ご!イマジネーションDreamers Go! / Poppin'Party
少しは返せているのかな?
もらったぶんの優しさを大好き! / Poppin'Party
環(わ)! 受け取った愛は
巡り続ける世界への愛だ
(きっと)夢は (巡り)回り続け
CiRCLING! 永遠の途中───CiRCLING / Poppin'Party
「直感と自由」というのは、本能・素直な今の気持ちと初期衝動に従う純粋な推進力です。
ここでの初期衝動とは夢を抱いた瞬間の衝撃であり、ずっと探していたものに出会ったような感覚であり、アイデンティティを形成する原風景です。
英語では「initial impulse」と書きます。
initial ホンキの自分譲れなくて
衝動 指先からEmotion!イニシャル / Poppin'Party
まぶた閉じて 諦めてたこと
いま歌って いま奏でて
昨日までの日々にサヨナラするSTAR BEAT~ホシノコドウ~ / Poppin'Party
予感は始まる どこにだって行ける
やわらかで囚われない気持ちを
追いかけよう 私たちのFreedomFreedom / Poppin'Party × 夏希 from CHiSPA
鳴らす(響く!) 踊る(はねる)!
叫ぶ(生きる!) 生き続けていくCiRCLING / Poppin'Party
ちなみにアニメでも度々登場する「ホシノコドウ」とは、戸山香澄の初期衝動そのものです。
かつての戸山香澄が見上げた星空に何かが始まる予感を感じ、高鳴った戸山香澄自身の心音であり、その心音と星の瞬きが共鳴する事で世界と繋がった感覚にトリップした瞬間です。
瞬き=キラキラ、心音=ドキドキというわけです。
セットにした「キラキラドキドキ」はバンドを始める前の戸山香澄が探していたものであり、その後も度々登場しますが、意訳すると「夢を見ている・希望を持っている状態、そしてその状態を引き起こすもの・こと」のような意味です。これについては後ほど改めて説明します。
トクン、トクン、トクン、トクン、トクン───。
自分のためだけに奏でられたような、心地のよい音が聞こえた。
香澄はそれを、星のコドウだと思った。
星たちが瞬くときに鳴る天上のコドウが聞こえる。(中略)
歌声は、夜空に拡散していった。
星の光と歌声とコドウが溶けあう気がして、香澄は何度も瞬きをした。
夢見心地だった。(BanG_Dream! 1・178‐185)
「日常と永遠」というのは、変化に富んだ日々/循環する日々だからこそ浮き彫りになる残り続けるものや記憶に対する、ある種の祈りです。
私が時々「ポピパは日常系」とボソボソ呟いてるのはこれです。
急に嬉しくって
抱きついたり抱きつかれたりでもどうしよう
帰りたくないお願い あと少しだけ
ベンチに腰かけてあと五分だけ
ねえ
夜を止めて 夜を止めてガールズコード / Poppin'Party
ねえ 夏のタイムカプセルは
今もここで眠る。
いつまでも…夏に閉じこめて / Poppin'Party
何年経っても 何時代になっても
変わらないと思える(不変のミラクル)
たぶんそんな 記念日!アニバーサリー / Poppin'Party
きっと終わらない
いつまでだって
青春 To Be Continued青春 To Be Continued / Poppin'Party
(こんな日には)祈らせてくれるかな?
"Forever lasting friends!"CiRCLING / Poppin'Party
「奇跡と偶然」というのは、偶然生まれた縁を大切にすること─── 想像できなかった事象を受容すること─── により、その偶然が奇跡になっていくというイメージです。
市ヶ谷有咲が小学時代に貼った星のシールを戸山香澄が偶然見つけてRANDOMSTAR(偶然の星)と出会う所からBanG Dream!の物語は始まりました。
小さな 偶然が
集まり 育ったら
"奇跡"になるんだねSAKURA MEMORIES / Poppin'Party
幾千もの偶然が重なる先に
奇跡が生まれるのならば(Starting!)
誰かと誰かが出会いながら 音を奏でる物語へと
(鳴らそう 誘いの鐘を)
どこまでも遠く 高鳴れ!RiNG A BELL / Poppin'Party
ひとつの場所 ひとつの道
ひとつの愛 ひとつだけ選んだ夢───
(Festa day)たくさんのひとつがここに
(Special day)うねるように集まっているCiRCLING / Poppin'Party
「奇跡と運命」というのは、循環の中に起きる奇跡はある種の必然性を帯びる、という不可逆的なカルマにより現状を解釈する───"今"を運命として受容する───イメージです。
なお、Poppin'Partyには前世(『BanG_Dream!』)で繋がったメタ的な縁があります。
わたしたちが つながってる意味
たぶん…偶然じゃない
だって音を合わせたら───キズナミュージック♪ / Poppin'Party
この偶然は偶然じゃない
みんなで作り出したもの
世界中のヒントをかき集めてみたらキミが手にしたもの 今も その手のなか
さあ(始まる)これは(もう)運命キラキラスター! / Poppin'Party
「違う夏、さがしてた?」
「それぞれ夢、追いかけた?」
「でもホントにそうなのかな?」
「やっぱりね、いつかは……」
「……出会ってたのかな?」八月のif / Poppin'Party
ねえ、始まりはきっと
遥か昔から ずっと
神様が決めてたこと
なんて思うほど素敵な毎日イントロダクション / Poppin'Party
神様 約束どおり
私たち ひとつになれましたCiRCLING / Poppin'Party
もう直球で”そういう助動詞”として使われてたりもします。
例を挙げていくとキリがないほどにこれらのテーマがPoppin'Partyのあらゆる歌とストーリーには散りばめられており、その核にある楽曲が『CiRCLING』です。
『CiRCLING』はガルパ5周年記念アニメのED1やFILM LIVE 2nd Stageで使用されているものの、アニメのみ見てきた方々にはいまいちピンと来ない楽曲だと思いますが一度「CiRCLING 歌詞」で検索してみてください。本当に名曲です。
Poppin'Partyの夢……最終目標は「世界との一体化」です。
……こいつは何を言ってるんだと思うかもしれませんが、先述の「CiRCLING」に自然崇拝やアニミズムに近い原始宗教的なエッセンスが含まれているのは私の長々とした説明でなんとなく伝わっているのではないでしょうか。
元々Poppin'Partyの明確な目標は「とりあえず武道館」でしたが、それはアニメ3期で達成され、その後『ぽっぴん'どりーむ!』とバンドストーリー3章にてホシノコドウが改めてフィーチャーされ「星までCiRCLINGの輪を広げること」に再定義されました。
数万光年かけて星から届いたホシノコドウを星に返すことで真の循環が達成されるというわけです。
星のシールはピアノ教室に通っていた小学生の有咲のキラキラドキドキそのものであり、それが高校生の香澄に届いたということは時空を超える力があるということです。
また、アニメ3期12話で香澄が「あの時よりずっと大きくなってる」「ホシノコドウはみんなだった」と語っているとおり、キラキラドキドキしている=夢を抱いている人々と繋がり共鳴することでホシノコドウは増幅していきます。
そのためCiRCLINGの輪が広がっていき地球のすべてと繋がる=世界と一体化することで星まで届く、というスンポーです。
このように書くと途方もない夢に聞こえるかもしれませんが、実際にポピパの思想が伝播していく過程と人の壁を超える音楽の力はシリーズを通して描かれており、スケール感はあながち間違っていません。
学生バンドの身の丈にあった活動をしながらも壮大な夢を持っているポピパの物語は夢は夢じゃないと歌う旅なのです。
BanG Dream!はPoppin'Partyを通して無限の可能性を持った音楽そのものを描こうとしているのだと私は思います。
Roselia
Roseliaは湊友希那が自分の目的を達成するために召集したバンドです。
その経緯はRoseliaのバンドストーリー1章にて描かれています。
経験者が多く、結成当初からカリスマバンドとしての道を突き進んでいる存在です。
Roseliaが取り扱っているテーマは「誇り」です。
「自ら主体的に選択したという事実」と「他者と交わした約束」に重きを置く契約主義的な思想があり、それらを積み重ねてきた過去を背負うことで"誇り"としているバンドです。
Roseliaの最終目標は「高み」です。
元々は「湊友希那の父の因縁であるFUTURE WORLD FES.」でしたが、FUTURE WORLD FES.を超えることで純粋なRoseliaの高みとして再定義されました。
以降はバンドストーリー3章にてメジャーデビューし、シーズン3現在はプロミュージシャンとして活動しています。
「高み」という夢はやはり観念的ですが、ポピパなどと比べると分かりやすく「一般的に成功しているバンド」であり、RoseliaはBanG Dream!の”バンド”代表として描かれていると思います。
Afterglow
Afterglowは中学2年生の進級時、小学校からずっと同じクラスだった幼馴染5人のうち美竹蘭が1人別のクラスになってしまい、5人一緒にいる"いつも通り"を守るために結成したバンドです。
その経緯はイベントストーリー『夕影、鮮明になって』で描かれています。*2
シーズン1時点ではポピパと同様に身の丈に合った活動規模であり、一般的にイメージできる学生バンドな存在です。
Afterglowが取り扱っているテーマは「青春」です。
ずっとこのままだと思っていた学生時代は一瞬で過ぎ去るジュブナイルであり、その成長と変化に戸惑う日々=青春真っ只中のバンドです。
青春そのものだからこそ高校3年に進級したシーズン3現在は"青春の終わり"に直面し大変な事になっていますが…
Afterglowの最終目標は「伝説に残る最高のライブ」です。
元々「いつも通りで居続けること」「とりあえず武道館」等の目標がありましたが、FUTURE WORLD FES.のRoseliaのステージに触発され改めて定義されました。
青春時代の永遠性と一過性、その狭間で激しく感情をぶつけ合うAfterglowは、”バンド”代表のRoseliaに対する”ガールズ”代表として描かれていると思います。
Pastel*Palettes
Pastel*Palettesは事務所によって結成された新人アイドル達のバンドです。
その経緯はバンドストーリー1章にて描かれています。
アイドルバンドは現実にも存在しますが、ゴールデンのバラエティ番組に出演するほどまでメジャーになっているのは「大ガールズバンド時代」という設定ならではのファンタジー的な存在と言えます。
Pastel*Palettesが取り扱っているテーマは「夢」です。
夢と言っても突拍子もないものではなく、努力し、成長し、見据えた目標の先にある確かな未来としての夢です。
アイドル業界は夢の世界、自ら夢を見ながら人々に夢を与えるアイドルとしての在り方を模索し、切磋琢磨するのがPastel*Palettesの日常です。
Pastel*Palettesの最終目標は「アイドルの神話になる」です。
元々は「夢の中で夢を見つける」でしたが、メンバー全員が夢を見つけた事によりバンドストーリー3章にて再定義されました。
他のバンドの多くが目的=夢を持って結成されているのに対し、Pastel*Palettesは受動的に結成されたバンドであるため、元々はバンドとして夢を見つける事自体が目標でした。
「神話になる」とは、日々始まり続け・終わり続け・常に品評され・切磋琢磨する”アイドル”という終わらない物語に名前を刻むことです。
シーズン3現在はアイドルの生存競争に直面し、神話になることの重みと向き合っています。
ハロー、ハッピーワールド!
ハロー、ハッピーワールド!は弦巻こころに巻き込まれて結成されたバンドです。
その経緯はバンドストーリー1章にて描かれています。
「世界を笑顔に!」が掛け声であり、笑顔のためには「バンド活動」と称して人助けや地域活性化などの音楽以外の活動も行っている点で特異なバンドです。
ハロー、ハッピーワールド!が取り扱っているテーマは「ヒーロー」です。
人々の笑顔の為ならなんだって可能にしてしまうハロー、ハッピーワールド!は人々が夢見るヒーロー像そのものです。
「笑顔」「ヒーロー」と書くと他のバンドとは毛色の違いを感じるかもしれませんが、作中で笑顔に対して「キラキラ」という言葉が使われているところに戸山香澄を代入することで、夢を見ている=キラキラドキドキしている状態=笑顔と導く事ができます。
そして夢を見ることは勇気の要ることでもあり、挫折や諦めで夢は見えなくなってしまいます。
弦巻こころが「勇気なら私があげるわ」や「笑顔を思い出させる」という言い回しをしている通り、ここでいう"笑顔"は主体的なものなのです。
つまり、ハロー、ハッピーワールド!は人々の笑顔のために夢を守り勇気を与えるヒーローというわけです。
また、ステージでは着ぐるみのミッシェルに身を包む奥沢美咲と舞台少女である瀬田薫は変身ヒーロー的存在でもあります。
ハロー、ハッピーワールド!の最終目標は「世界を笑顔にすること」です。
この目標は一貫していますが、バンドストーリー3章にてそのメソッドが「人はそれぞれ楽しいことが違うから世界中の人たちの楽しいこと探しをする」から相互扶助的な手法に再定義されています。
途方もない夢に思えますが、キラキラドキドキ=笑顔を準用すると音楽を基準にしたPoppin'Partyと人を基準にしたハロー、ハッピーワールド!でゴールはほぼ一緒ということになります。
ハロー、ハッピーワールド!シーズン2までで様々な苦難を乗り越え、その辺の人なら余裕で笑顔にできるように成長したので、シーズン3現在は怨念を持った相手や怨霊の様な一筋縄では笑顔にならないものと相対しています。
無限の可能性を持った音楽の力はバンドリ内でも様々に描かれていますが、その音楽を生み出しているのは他ならぬ人間であり、演繹的に考えれば人間の可能性とも言えます。
"音楽の力"を反転したときに見えてくる人の力について描くのがBanG Dream!におけるハロー、ハッピーワールド!の立ち位置だと思います。
RAISE A SUILEN
RAISE A SUILENはプロデューサー・チュチュのスカウトにより結成したバンドです。
その経緯は漫画『RAiSe! The story of my music』やその一部が舞台化した『We are RAISE A SUILEN~BanG Dream! The Stage~』にて描かれており、アニメでは六花の加入しか描かれていません。
特に漫画はRAISE A SUILENをしっかり語る上では必須パーツですので余裕があれば是非触れて欲しいものです。
アニメで描かれている通りRAISE A SUILENは自主プロデュースながらマーケティングをしっかり行っており、キャパ1000のdubを常時埋めることができる駆け出しの学生バンドの身の丈から外れた存在です。
RAISE A SUILENが取り扱っているテーマは「他己承認」です。
才能が無く身体的ハンデのある自分に絶望していたチュチュも、サポートとして一線を引き仕事に徹していたレイヤも、サポートで自分の音を受け入れられず苦しんでいたマスキングも、素の自分の居場所を探していたパレオも、メンバー探しに奔走していたロックも、存在意義を他者に委ねている点で似た者同士です。
これらはRAISE A SUILENの結成によりある程度解決したものの根底には未だに他己承認に関する問題が横たわっており、ガルパでも現在進行形でパレオがその壁に当たっています。
またチュチュの「RASを認めさせる」というセリフの通り、個人ではなくバンドとしても"認められる"ことがテーマになっています。
RAISE A SUILENの最終目標は「Change the World」です。
世界を変えるというのは「内面的な世界」と「他者の存在する文字通りの世界」の二段構造で、メンバー個々人の内面的な世界の変革はBeautiful Birthday*3により一旦達成し、以降は自分たちが自分たちのまま最強のバンドになるために文字通りの世界を変革することが目標になっています。
シーズン3現在はバンドとして残されていた課題が浮き彫りになっており、「Change the World」の重みと悪戦苦闘しています。
BanG Dream!におけるRAISE A SUILENの立ち位置は「音楽で世界は変えられる」という"音楽の力"の一側面だと思います。
Morfonica
Morfonicaはガールズバンドパーティのライブを見た倉田ましろがバンドに憧れたことをきっかけに結成したバンドです。
その経緯はバンドストーリー1章にて描かれています。
メンバーは名門のお嬢様学校「月ノ森女子学園」の生徒たちで構成され、バイオリン以外はほぼ初心者です。
(演者的にはバイオリンのAyasaさんはプロミュージシャンですし、ドラムのmikaさんもMorfonica始動前から大橋彩香・櫻川めぐ・林鼓子のドラム講師としてバンドリに関わっている大師匠です。*4)
Morfonicaが取り扱っているテーマは「自己承認」です。
メンバー全員が今の自分が嫌いだったり満足していなかったりで自分を認めていません。
楽天的な性格の桐ヶ谷透子でさえ、飽くなき自己実現の欲求がバイタリティになっています。
そんな5人に対して月ノ森女子学園の校訓である「貴方の輝きが道を照らす」がキーワードになっており、それぞれが自分の輝きを見つける=好きになれる自分を見つけるために音楽をしています。
Morfonicaの最終目標は「輝く景色に辿り着くこと」です。
これは「貴方の輝きが道を照らす」の延長で、個人・バンドとして「なりたい自分」に変化するという意味です。
バンドのモチーフがモルフォ蝶なので、羽化のようなイメージでしょうか。
BanG Dream!におけるMorfonicaの立ち位置は「音楽で自分は変われる」という"音楽の力"の一側面だと思います。
MyGO!!!!!
アニメを見ているならMyGO!!!!!については説明不要でしょう。
居場所を失った少女たち=文字通りの迷子のバンドで、テーマはまだ断言できませんが「相互扶助」「アイデンティティ」「喪失」あたりでしょうか。
ここでの相互扶助は生存戦略*5と同義です。
流行りの歌はいつも 僕のことは歌ってない
ねえビジョンの中から 笑いかけないで迷星叫 / MyGO!!!!!
MorfonicaやPastel*Palettesなどのバンドやアイドルを仮に心のインフラと呼ぶなら、そこから零れてしまうような者も存在し、そんな者同士でも「並び歩くことはできる」と歌うのがMyGO!!!!!です。
歌詞に登場する「平行線」の根底には人と人が決して交わらない相互不理解があるのです。
また、喪失と言っても自分の中から消えてしまうものではなく「抱えて生きる」と歌っているように胸に残し続け、その積み重ねでアイデンティティが形作られているという理屈であり、だからこそ「抱えているものが違う」=相互不理解とも歌っています。
MyGO!!!!!の最終目標はアニメで語られている通り「一生バンドをすること」です。
この一生がどれだけ重い言葉かは自明ですが、これはガルパ全体に対する問題提起にもなっています。
バンドに限らずアイドルものやスポーツものなどの作品の終わりがどこにあるのかというのは難しい問題で、ガルパの場合は大学進学やメジャーデビューが描かれたことにより様々な選択肢が生れました。
特にシーズン3ではバンドを続けることの難しさが様々に描かれており、そんな中で"一生"と言い切るのは荒唐無稽な夢に思えるかもしれません。
ですが「夢は夢じゃない」と歌うのがBanG Dream!なのです。
Ave Mujica
2024年1月現在はガルパに未実装なAve Mujicaについても少し触れます。
とはいえAve MujicaはIt's MyGO!!!!!のみではよく分からなかったと思います。
詳細は過去記事に書いてありますので是非。
thzaq.hatenablog.com
記事の内容通りAve Mujicaの最終目標は「人形化による内面的世界の破壊」……だと思っていたのですが2024年1月27日の『Ave Mujica 1st LIVE「Perdere Omnia」』にてその先、即ち"破壊後"について語られました。
繰り返すマスカレードとプレリュードにより月の歯車が巻き直され続けることによって、過去を積み重ねずに何度も新生するのが人形化の理論でありMyGO!!!!!の「一瞬一瞬で一生*6」の真逆の立ち位置なのですが、月の満ち欠けに一時の命を預けているその人形がどうやら永遠を望み始めているようなのです。
詳しくは親愛なるフォロワーが爆速で記事にしていますのでライブに参加しなかった人は是非。
Ave Mujicaさんの1stライブめっちゃ物語やってたね~!!みたいなことを記事にしました。音楽の部分も物語になってたのでその辺を極力汲み取ったつもりです。
破壊と創造と再生産――「Perdere Omnia」が音楽で生み出した物語|春剣防具https://t.co/OwpTcAYDzU
— 春剣防具 (@halkenborg) 2024年1月29日
何者にも縛られないために糸を切り人形になったAve Mujicaは月に命を預けることすら否定しようというのです、じゃあどうするんだよよいうのは具体的には分かりませんが…
ともあれライブの内容に従うならばAve Mujicaの最終目標は「月の破壊」ということになります。《岩石の巨兵》*7かよ!
まあ星を見るのに月は邪魔ですからね。全然フォローになってませんが。
変身した自分たちを保つために世界の側を破壊するのはRAISE A SUILENの「Change the World」に近いかもしれません。
この辺りはアニメ『BanG Dream! Ave Mujica』での注目ポイントだと思います。
ガルパの思想について
ガルパ3周年記念サイトより
ここまで読んでいただいた通りガルパは色々な物語が集合した群像劇です。
そして魅力の一つに「対比」と書いたように、それらを比較することでガルパ……ないしBanG Dream!にある一貫したイデオロギーが見えてきます。
それは「**最も重要なのは"今"**」です。
今と向き合い、今を受け入れ、今を全力で生きる。
あらゆる文脈が"今"に収束する作りになっていて、逆に"今"を蔑ろにするものがトラブルになっています。
ストーリーを読むにあたりこの点に注目していると色々と理解が早いと思います。
そしてガルパではこのイデオロギーを表現するため様々なミームが登場します。
戸山香澄の「キラキラドキドキ」はホシノコドウに似た感覚で「何かが始まる予感」と作中で説明されています。
また、戸山香澄は「バンドに出会うまでキラキラドキドキを探していて、バンドを始めて以来は(トラブル時以外)ずっとキラキラドキドキし続けている」と言っています。
なのでPoppin'Partyとして存在しているだけでキラキラドキドキしている訳ですが、重ねて何かのモノやイベントごとに対してもキラキラドキドキすると表現しています。
もちろん悪いことが始まる予感としては使われていないのでキラキラドキドキは「夢を見ている・希望を持っている状態、そしてその状態を引き起こすもの・こと」と言い直すことができるでしょう。
「キラキラ」「ドキドキ」「何かが始まる予感」は類語も含め、戸山香澄に限らず他のキャラクターのセリフでも意図的に使用されており、特に大和麻弥による説明が分かりやすいです。
つまりキラキラドキドキは夢に向かう今この瞬間を肯定する言葉なのです。
キラキラドキドキの正しい意味を踏まえるとIt's MyGO!!!!!に対する「キラキラドキドキしていない」という言い回しは不適切です。
なぜなら高松燈と千早愛音が出会った時点でキラキラドキドキは始まっているのですから…
倉田ましろの「輝く景色が見えた」もキラキラドキドキとほぼ同義です。
シセン(都築詩船オーナー)の「やりきったかい?」はほぼそのままの意味ですが、やりきった状態とは妥協も慢心もせず今を全力で生きている、アクセルをベタ踏みしているような状態です。
なので「やりきったかい?」は**"今"に向き合うための問題提起**として扱われています。
アニメ1期のシセンの台詞で印象的に使われていたので馴染みのある言葉かもしれませんが、ガルパでは類語も含め、要所で使われているので注目してみてください。
チュチュとレイヤの「想像を超えろ」も、想像以上を実現するためには"やりきる"しかないので、これもほぼ同義です。
"偶然"や"奇跡"が予想外の事象であるならば、それらを意図的に引き起こすメソッドが「想像を超える」と言う事ができるでしょう。
また、Roseliaのモチーフである「青薔薇」も想像を超えた奇跡の存在です。
あゆみ、丸山彩、大和麻耶、羽沢つぐみ、二葉つくし、ロックの「**"自分なんか"なんて思わないで」もほぼ同義で、自分を想像上の枠**に押し留めず挑戦する(やりきる)ための言葉です。
白金燐子の「小さな一歩」もほぼ同義で、自分が無理だと思う事=想像を超える為の選択です。
八潮瑠唯の「感情に従う」もほぼ同義で、現実に沿った自分の判断=想像を超える為の選択です。
要楽奈の「おもしれー女」はやりきっている女へ向けた言葉です。
お婆ちゃんっ子ですね。
花園たえの「震える」もほぼ同義で、やりきっている相手のキラキラに対するドキドキです。
氷川日菜の「るんっ♪」はドキッと胸が鳴るイメージでキラキラドキドキとおもしれー女の中間くらいの意味です。
ただし、氷川日菜の場合は対象が氷川日菜自身の想像を超えた瞬間に限られます。
氷川日菜は深刻な相互不理解を抱えており、自分と他者が分かり合えないと思っているからこそ他者と繋がれた瞬間=バンド等も対象に含みます。
羽沢つぐみの「ツグってる」は羽沢つぐみがやりきっている状態です。
空回りしようとも今できる事に全力で取り組む羽沢つぐみの性格故に生まれた言葉ですが、現在は「やりきっている」と同義で羽沢つぐみ以外のキャラクターにも使われています。
Afterglowの「何かの始まりにはつぐみあり」は羽沢つぐみが「ツグってる」と何かが始まるというAfterglowの経験則から生まれた言葉です。
若宮イヴの「ブシドー」は本来の武士道の意味に加え、初志貫徹の延長で「やりきる」事も含まれています。
信念を貫くという意味では宇田川あこの「カッコイイ」とも近い言葉です。
瀬田薫の「儚い」は「あはれ」と近い意味で、作中では万物に対して使われていますが、全ての物事は変化しているので今この瞬間を肯定する言葉とも言えます。
瀬田薫本人は深い意味は無く使っていますが瀬田薫自身が変化する道を選んだ過去があるため、絶妙に理屈が通っています。
瀬田薫が好むシェイクスピアでさえ、時代や役者・訳者によって変化しながら残り続ける存在です。
ハロー、ハッピーワールド!の「ハピネスっ!ハピィーマジカルっ♪」は想像を超える為の勇気を与える呪文です。
Afterglowの「いつも通り」はAfterglowの変化に伴い「新いつも通り」が生まれていることから、変化も受け入れ今を肯定する言葉です。
Roseliaの「誇り」は自己の過去と選択に向き合い、今を受け入れ、肯定する言葉です。
Morfonicaの「貴方の輝きが道を照らす」は自己の"今"を認識し肯定することが前提の言葉なのでやはり"今"に軸を置いています。
MyGO!!!!!の「迷子でも進め」も迷子であることを自覚するプロセスで現在地である"今"を正しく認識する必要があり、それを前提に先の道が分からなくても突き進む=やりきるための言葉です。
「希望が分からなくて
居場所と一緒に"今"も見失っていた、あの日」要楽奈 / BanG Dream! 12th☆LIVE DAY2 MyGO!!!!!「ちいさな一瞬」
また「一瞬一瞬で一生」も文字通り今の積み重ねを肯定する言葉です。
Ave Mujicaの「歯車」ですら、過去とも未来とも切り離された刹那的な人生観ながらも今を重要視する概念です。
「瑠奈、私たち何度でも生まれ変わるの!
プレリュードもマスカレードも続いていく。
終わって、また始まって、
今が一番古くて
今が一番新しいの。だから、今を楽しまないといけないの!」
カクセイヘノウタ -招待- / 莉伽
……これだけ書けば十分でしょうか。
それぞれの夢への目線とただ一つの今への目線、この両輪がBanG Dream!のストーリーの原動力です。
そして一期一会なライブはまさしく"今"の集合体であり、バンド作品のテーマとしても相応しいです。
群像劇であるBanG Dream!を1文で言い表すならば「夢を目指すガールズバンドの今を描く作品」となります。
作中で絶えず積み重ねられる"今"が描かれているからこそ、私はもっと多くの人に今(2024年1月現在)のガルパを見て欲しいと思いこのブログを書いています。
ガルパの読み方
導入が長くなってしまいましたが、ここからはガルパの読み方を提案していきます。
先述の通り、ガルパの今=シーズン3の入り口であるメインストーリー(シーズン3)に着手するには、『卒業 ~3月の空は青く澄んで/未来へ~』まで辿り着かねばなりません。
『卒業』は花咲川女子学園と羽丘女子学園それぞれの湊友希那世代計10人の卒業式を描いたイベントストーリーなのですが、ロック以外別の学校であるRAISE A SUILENや全員が月ノ森女子学園のMorfonicaも卒業生と関わりのある全員が登場しており、ガルパ6年分の文脈がここに収束していると言っても過言ではありません。
なのでまず最初にゴール地点として、流石にこれだけ読めば『卒業』の95%は楽しめるだろうと消去法でつくったものから紹介します。
(縦長になってしまいすみません…)
卒業コンプリート
多いですね~
とはいえこれでも90本削って130本まで絞っており、縦軸横軸満遍なく楽しめる内容になっています。
特に練度の低い初期のイベントは削っており、以降のストーリーにほぼ関わりの無いPoppin'Partyのバンドストーリー1章も抜いています。
少し補足すると、『有咲の"悪くない"休日』など一見重要に感じないストーリーもその後人間関係の基礎として欠かせないものだったりします。
『Backstage Pass』は周年のタイミングで各バンドがその1年のストーリーを総括する内容で、ここではバンドストーリー2章以降・シーズン1終わりの区切りとしてちょうどいい内容の『Backstage Pass3』と、アニメ『ガルパ5周年記念アニメ-CiRCLE THANKS PARTY!-』のベースになっていてガルパのゲームとしてのひと区切りである『Backstage Pass5』を採用しています。
『Backstage Pass5』まで辿り着いた方は是非ガルパ5周年記念スペシャルコンテンツに目を通してみてください。
anniv-bang-dream.bushimo.jp
……これは理想形ではあるものの、やはりいきなり130本はハードルが高いという人も多いと思いますのでここからいくつかパッケージで紹介してみます。
ポピRAS
まずは完全にアニメ1~3期の延長で楽しめるPoppin'PartyとRAISE A SUILENのストーリーをまとめたものです。
どちらもアニメで勝手知ったるバンドなので親しみやすく、ガルパのストーリーのクオリティも伝わると思います。
先頭に置いたPoppin'Partyのバンドストーリー2章『二重の虹』は市ヶ谷有咲がアニメ2期の花園たえのように挫折を味わう話で、最終的に先述した"今"について語られるストーリーです。
(時系列はアニメ2期より前です。)
あの日のキラキラ 覚えてますか?
それは もう思い出ですか?
タイムマシンで行く場所は ひとつ
"現在(いま)"しかないんだ!二重の虹(ダブルレインボウ) / Poppin'Party
バンドストーリー2章以前の初期のガルパはどこかまとまりがなく、これを以ってしっかりとした軸を持てました。
また『二重の虹』で語られる「バンドが壊れたとき」はその他のバンドでも───It's MyGO!!!!!でも───共通する内容です。
なお、初期5バンドのバンドストーリー2章は「キラキラドキドキを取り戻す」「誇りを取り戻す」「いつも通りを取り戻す」「夢を取り戻す」「笑顔を取り戻す」とサイクルになっています。
2番目に置いた『FUN! FUN! CiRCLING FIVESTAR!』はその名の通り先述の楽曲『CiRCLING』の登場時のイベントで、内容は割と平凡なのですが、バンドストーリー3章『Live Beyond!!』の前提なのでここに置いてあります。
また『ホープフルセッション』の前提でもあり、ガルパ全体で見ると大きな流れの始まりの場所とも言えます。
せっかちな人は3番目に置いたバンドストーリー3章『Live Beyond!!』から読んでもいいです。
『Live Beyond!!』は間違いなくガルパの最高峰のストーリーなので「とりあえずガルパの面白い話見せろよ」という人にぶつけるならこれになります。
時系列はアニメ3期以降にもかかわらず、正直他のストーリーと比べるとレイヤーが1段上の存在なのであまり前提を考えずに読めてしまうのですが、当時でもガルパ4周年を背負ったストーリーであり、以降もガルパを読めば読むほど重みが増していく話でもあります。ガンダムで例えたらアクシズショックみたいなものです。
なので最終的に『Live Beyond!!』に帰ってくるという気概で読んでいただければ幸いです。
また、劇場版『BanG Dream! ぽっぴん'どりーむ!』は『Live Beyond!!』と対になっているので併せて観るのもよいかもしれません。
『君に伝うメッセージ』はシーズン1の最後のイベントストーリーで、花咲川女子学園の終業式と牛込ゆり世代の卒業が描かれています。
こちらもシーズン2以降のガルパの基礎になる話です。
『ベーカリーの明かりは落ちて』はアニメ1期から6年かけて描かれた山吹沙綾の集大成なのでとりあえずのゴールとして丁度いいです。
ただ、Poppin'Partyだけで読み進めるとなるとこれ以上は難しいというのが本音です。
RAISE A SUILENに関してはアニメ3期から地続きなのでバンドストーリー2章『CORUSCATE -DNA-』までスルッと読めると思います。
ですが、シーズン3現在RAISE A SUILENが渦中にいる『G.B.T.編』は**RoseliaとAfterglowの軌跡の上**にあるので裏を返せば「RAISE A SUILENだけ読むとするとシーズン3に進めない」とも言えます。
バンドストーリー1章『RAISE A SUILEN ~御簾を上げろ~』はアニメと同範囲の内容ですが、細かい部分が補完されているのでおさらいも兼ねて読むと面白いと思います。
また、先述の漫画『RAiSe! The story of my music』も併せて読みたいところです。
ハロハピ単
ハロー、ハッピーワールド!を20本にまとめたものです。
『旅立つ人へ』が区切りとして丁度良いので、ハロー、ハッピーワールド!に興味がある方は一旦ここを目指してみるのはどうでしょうか。
ハロー、ハッピーワールド!は他のバンドとは違い、コンテスト形式のライブやメジャーなどの競争の場に関わらない独自路線なので単体で楽しむポテンシャルが高いです。
テーマの近いPoppin'PartyですらアニメでG.B.C.に挑戦していますからね。
白鷺千聖抜きで瀬田薫を読むのはやはり片手落ちではあるので、興味が湧いたらPastel*Palettesも触れてみるとよいと思います。
バンドストーリー3章『にこにこねくと!』の前に置いてある『ハロハピ座を探しては』はカードエピソードであり、自己満足で書いただけなので無視して貰ってもいいですが、抵抗無ければYouTubeなどで検索してみてください。
『サンタがうちにやってくる』や『はぐみとハッピーダイナソー』など突拍子の無い話も多いですが、「夢を守るのがヒーロー」を念頭に置くと読みやすいと思います。
なお、『旅立つ人へ』の次は先述の『マイ・ファーストステップ』そして『卒業』と続き、他バンドの文脈と収束します。
モニカ単
Morfonicaを10本にまとめたものです。
『そして、始まるわたし/私の音』が区切りとして丁度良いので、Morfonicaに興味がある方は一旦ここを目指してみるのはどうでしょうか。
Morfonicaは後発バンドで学校も別なこともあり、コンパクトに楽しむことができるので「とりあえず分かるバンドを1つ増やしたい」という人にはオススメです。
『そして、始まるわたし/私の音』まで読んだならRoseliaに触れる理由ができると思います。
また、『ガールズ・ビー・アンビシャス!』はPastel*Palettesのバンドストーリー1章→『ジブン、アイディアル』→『ホープフルセッション』が根底にあるストーリーなので、気になった方は先述の「アフロゼtパスパレ」に挑んでみてください。
ここの文脈はシーズン3の『エフォート・インフレーション!!』まで続く重要な流れになっています。
『リトルローズ・ハーモニー』は宇田川あこ・ロック・戸山明日香の仲良し3人組に倉田ましろが加わる話で、ここで生まれた人間関係は以降何度も登場する基本パーツになります。
Episode of Roselia × Afterglow
ここまで一切名前を出していなかったの気になっていた方もいたかもしれませんが、Roseliaのストーリーは劇場版『BanG Dream! Episode of Roselia I : 約束 / II : Song I am.』として映像化されており、2024年1月現在は**Amazon Prime VideoやU-NEXTの定額見放題などで見ることができます。
せっかく映像化されているものを生かさない手はないので、これとAfterglowをセットで楽しむ**プランを考えてみました。
そもそもRoseliaにはノーブル・ローズ3部作というバンドストーリー2.5章的な立ち位置のイベントストーリーがあり、そこまでアニメ化しようというのがこの映画です。
『Episode of Roselia I : 約束』の内容は
・バンドストーリー1章『青い薔薇芽吹く』
・バンドストーリー2章『Neo-Aspect』
・『ノーブル・ローズ -花々を連れて-』
『Episode of Roselia II : Song I am.』の内容は
・『ノーブル・ローズ -晦冥の導き手-』
・『ノーブル・ローズ -歌、至りて-』
となっていて、これら間にあるイベントストーリーもダイジェストで少しだけ描かれています。
ここにAfterglowのストーリーやダイジェストで飛ばされたストーリーを組み合わせることで最終的にRoseliaの大サビである『ブライア・ロード』まで読み進めることができます。
劇場版『I : 約束』の後に『秋色ハートフルレター』までを読み、『II : Song I am.』の後に『潜熱、空を焦がして』から読み始めるといい感じになります。
映画は尺の都合上かなり駆け足なので、後から補足も兼ねてガルパの『Neo-Aspect』や『ノーブル・ローズ』に目を通してみるのも面白いと思います。
聖書
BanG Dream!のタイトルである「BanG Dream!=夢を撃ち抜け! 」はBanG Dream!の原典である『BanG_Dream!*8』で語られた言葉です。
この原典のPoppin'Partyはアニメ化以降のPoppin'Partyとは全くの別人で、主人公の戸山香澄は引っ込み思案でいつも下ばかり見ている女の子です。
コミカライズもあります
この原典の戸山香澄(かすみん)のキャラクター造形は倉田ましろや高松燈に継承されています。*9
原典でのPoppin'Partyは「In the name of BanG_Dream!=バンドリの名のもとに」という言葉に導かれ、奇跡的/運命的にバンドを結成します。
この「BANG! DREAM!」とは初期衝動を思い出すための合言葉的なニュアンスです。
アニメ化以降「夢を撃ち抜け!」というフレーズはしばらく作中に現れず形骸化していましたが、アニメ3期で再登場し、『ぽっぴん'どりーむ!』&『Live Beyond!!』で現Poppin'Partyの言葉に再定義されました。
ガルパと世界観は地続きでないものの『BanG_Dream!』のDNAはBanG Dream!のシリーズ全体に受け継がれているため、歴史から学びたい方や活字に抵抗の無い方はここからスタートしてみるのもアリだと思います。
私が原典の小説を読んだのはアニメ1期の最終話直後でしたが、読了後に改めてアニメ1期を見ると戸山香澄が気兼ねなくクラスの中心になっていることなどが味わい深くなり「2周目」の世界のPoppin'Partyとして楽しめるでしょう。
どうもthzaqです。
アニメ『BanG Dream! It’s MyGO!!!!!』関連のインタビュー記事が増えてきたので自分用に軽くリンク集を作りました。
都度追加します。
- ナタリー
- リスアニ!
- 【連載】アニメ『BanG Dream! It’s MyGO!!!!!』第1回:羊宮妃那、小日向美香、林 鼓子が語り合う、第4話までの“迷子たち”の音楽・ストーリー・演技論
- 【連載】アニメ『BanG Dream! It’s MyGO!!!!!』第2回:立石 凛×青木陽菜、2人のギタリストから見た“迷子たち”の魅力とツインギター編成ならではのこだわり
- 【連載】アニメ『BanG Dream! It’s MyGO!!!!!』第3回:羊宮妃那×藤田淳平(Elements Garden)、劇中歌・EDテーマ・劇伴から浮かぶ“迷子”の音楽の本質
- 【連載】アニメ『BanG Dream! It’s MyGO!!!!!』第4回:羊宮妃那×立石 凛×小日向美香が語る3rdシングル、5th LIVE、“迷うことに迷わない”バンドに至る軌跡
- 【連載】アニメ『BanG Dream! It’s MyGO!!!!!』第5回:長谷川大介×木下龍平×札ノ辻泰紀×緒方航貴――楽曲クリエイターと音楽制作陣が語る“迷子たち”の音楽論
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- Febri
- Abema
- オタク総研
- ビルボード
- リアルサウンド
- アニメレコーダー
- オリコンニュース
- その他 参考記事
ナタリー
アニメ「BanG Dream! It's MyGO!!!!!」綾奈ゆにこ×武田綾乃対談、"女女の関係性"の名手が語る、MyGO!!!!!のリアル - コミックナタリー 特集・インタビュー
(日頃お世話になっているはるさん担当の記事です。少なくともこの5倍は尺が欲しかったってくらい面白いです。)
リスアニ!
リスアニの連載インタビューは声優に限らず作品を支えるアーティストも呼んだもので良いことしか書いてないです。必読かと。
「バンドリ!」発の謎多き新バンド・Ave Mujicaが繰り広げる深淵の世界――0th LIVE「Primo die in scaena」ライブレポート
www.lisani.jp
(Primo die in scaenaの記事の中では一番いいと思います)
Febri
声優の顔面に限らず良いこと書いてあります。
Abema
オタク総研
アニメ『BanG Dream! It’s MyGO!!!!!』放送記念インタビュー:千早愛音役・立石 凛さんに聞く、作品の魅力と新たな挑戦
0115765.com
(立石さんが愛音を「頭のいい子」と評しているのが印象的)
アニメレコーダー
本編のギスギスとは全然違う? ミニアニメ『MyGO!!!!!メンバーの日常』はなぜ生まれたのか制作者に聞いた
オリコンニュース
Ave Mujica、アニメ最終回でついに迎えた“バースデイ” 「投げられた賽」に込める思い【インタビュー後編】 | ORICON NEWS
元カノ
いかがでしたか?
はい、お久しぶりの記事になってしまいましたthzaqです。
ちょっとツイートしたり飲み会とかのオフラインで話したら満足しちゃうので下書きだけ無限に溜まっていくアウトプット下手オタクです。
この記事も5話の放送後に書き始めて結局脱稿は9話以降になってしまいました。
長い記事ですが、お付き合いください。
今回は未だに謎の多い『Ave Mujica』について、備忘録代わりにレポートをしていきます。
※2024年2月27日追記
この記事の全文が海外の有志によって英訳されていたので、英語で読みたい方はこちらをどうぞ。
English version is here.
yachiyo.notion.site
- 『Ave Mujica』って何?
- 『Ave Mujica』の歩み~Mujina Carnival編
- 『Ave Mujica』の歩み~BanG Dream! It's MyGO!!!!!編
- 『Ave Mujica』って結局どういうバンド?
- 『Ave Mujica』を作ったのは誰?
- あとがき
『Ave Mujica』って何?
Ave Mujicaはガールズバンドメディアミックスプロジェクト『BanG Dream!』(バンドリ)においてMyGO!!!!!に続いて現れたバンドリ9組目のバンドです。
このバンド名が初めて世に出たのは2023年2月4~5日開催の『BanG Dream! 11th☆LIVE』の入場者に配られるチラシでした。
11thライブで配られたチラシ
チラシには「Masquerade 2023年6月4日(日)」という日付のみ書いてあり、当初はバンド名であることすらはっきり分かりません。
裏面にはQRコードが書いてありホームページに飛べますが、4/10までを刻む怪しげなカウントダウンと6/4に中野サンプラザで行われるらしいAve Mujicaに関するイベントの先行申込のページのみでやはり情報はありませんでした。
現在絶賛放映中の宮崎駿監督の最新作『君たちはどう生きるか』のプロモーションに関して「これだけ情報に溢れている時代、情報が無い事がエンタメになる」というような意見を散見しますが、このAve Mujicaのプロモーションには少し近いものを感じます。
ですが、一連のAve Mujicaのプロモーションをもっと的確に例えるなら「覆面レスラー」と呼ぶべきでしょう。
ブシロードの木谷社長は大のプロレス好きで、新日本プロレスやスターダムをブシロード傘下に加えている程。「バンドリで覆面レスラーをやろう」という鶴の一声があってもおかしくない筈です。
そんな謎多きAve Mujicaがどのような立ち位置の存在なのか、まずは**MyGO!!!!!**について解説しなければなりません。
MyGO!!!!!
MyGO!!!!!は2022年4月29日に突如発表されたバンドリ8組目のバンドであり、「**"現実"(リアル)と"仮想"(キャラクター)が同期するバンド**」というテーマで誕生しました。
MyGO!!!!!の一番の特徴は2023年4月9日開催の『MyGO!!!!! 4th LIVE 「前へ進む音の中で」』まではキャストを伏せた形で活動していたことで、ライブでもステージ上をほとんど照らさず、Youtubeにて配信するラジオ『迷子集会(マイゴセンター)』も『ガールズ ラジオ デイズ*1』のようにキャラクターとしてトークするものでした。
(ライブの前方の客にはある程度キャストの顔が見えてしまいますし、声で声優が分かってしまう人も当然いましたが…)
MyGO!!!!!の楽曲は「夢を見るための応援歌」としてのバンドリの楽曲の、屈託ない歌詞とは趣向が少し違い、悩み多くも等身大な想いを吐露する「生っぽい」歌詞が多く、年頃の若者の憧れ*2になるものというよりは年頃の若者が共感しやすいもの。
キャストが伏せられていたことも、先入観なく楽曲に触れられる点で上手く作用していました。
「"現実"(リアル)と"仮想"(キャラクター)が同期する」という触れ込みも、現実を生きる視聴者(特に若者)が同期=共感しやすいもの、という意味ではないでしょうか?
少なくとも発表された当時は「Vtuberなのでは?」という不安の声が多かったですが、これは杞憂でしたね。
これらの方向性はボーカロイドやインターネットミュージック世代向けという意味で『プロジェクトセカイ』(プロセカ)の影響下なのでは?と思ってしまいますが、プロセカのリリースは2020年秋、MyGO!!!!!&Ave Mujicaのキャスティング時期などから推測できるプロジェクトの始期はもう少し前なので、これは保留にすべきでしょう。
YouTubeの再生数はMyGO!!!!!が30万程度なのに対し、プロセカには3000万再生なんてものがあるくらいなのでその辺のファン層にもっと上手くリーチできればいいのですが…
…少し脱線しました。
MyGO!!!!!は4thライブでアニメ化の情報公開と共にキャストを明かしますが、バンドリの世界観に一石を投じる存在としてMyGO!!!!!がキャストを伏せて活動していたことには意義がありました。
そんなMyGO!!!!!のお披露目と入れ替わるように活動を始めたのがAve Mujicaです。
仮面の少女たち
最初の触れ込みは「…ようこそ。Ave Mujicaの世界へ」。
Ave Mujicaはキャストを伏せているだけでなく、メンバーのキャラクター名やパーソナリティも伏せており、そのキャラクターも仮面を付けていて素顔が分からないなどMyGO!!!!!以上に謎の存在です。
また、その楽曲も陰鬱なもので既存のバンドリとはやはり趣向が違います。
歌詞の内容はネガティブでダークな世界に誘惑するような内容で、同じ黒陣営でも誇りと勇気を歌うRoseliaや世界の変革を歌うRAISE A SUIRENとは異なります。
「これまでの自分を捨てて生まれ変わる」「空虚な日々から刹那的な快楽へ」という思想が強く、アプリ『ガールズバンドパーティー』やアニメ等で"初期衝動"や"約束"を重んじ、過去を積み重ねた成長を描いてきたバンドリの既存バンドの思想とは相反するもので、特にPoppin'Partyが歌う「CiRCLING」「過去と未来と地続きの"今"」「夢」「日常の煌めき」とは真逆と言えるでしょう。
あの日のキラキラ 覚えてますか?
それは もう思い出ですか?
タイムマシンで行く場所は ひとつ
"現在(いま)"しかないんだ!二重の虹(ダブルレインボウ) / Poppin'Party
「瑠奈、私たち何度でも生まれ変わるの!
プレリュードもマスカレードも続いていく。
終わって、また始まって、
今が一番古くて
今が一番新しいの。だから、今を楽しまないといけないの!」
カクセイヘノウタ -招待- / 莉伽
ねえ、始まりはきっと
遥か昔から ずっと
神様が決めてたこと
なんて思うほど素敵な毎日イントロダクション / Poppin'Party
神さま、バカ
神さま、バカ / Ave Mujica
また、RAISE A SUILENとAve Mujicaは世界に絶望している点は一緒でも、自他を含めた有機的なフィードバックが描かれているRASと無機的で**個人主義的な転生**を呼びかけているAve Mujicaでは大きな差があると言えるでしょう。
RASの場合、己の出生と才能に絶望したチュチュは自らの手でこの世界=地獄を変えるべくRASを作りますが、自らが集めたメンバーたちから送られた『Beautiful Birthday』により世界(内面的)が変化し、救われます。
初日の出を見に行った鋸山で『地獄のぞき』に転落した際も、チュチュは神の垂らした蜘蛛の糸ではなく自らが集めたメンバーたちが垂らしたロープによって救済されます。*3
その際にRAS5人全員の内面的な世界の変化が完了し、RASの目標が文字通りの世界=他者に再定義され、その後バンドストーリー2章でチュチュの母親が立ちはだかる訳ですが…*4
元の名前ではなくバンドネームを名乗っているとしても、RASはこれまでの人生が刻まれた"DNA*5"を否定しませんからね。
また「自他を含めた有機的なフィードバック」はガルパ全体で描かれ続けているものであり、そこに反している時点でこれまでのバンドリに反していると言えます。
地獄だって構わない
あなたの元で生きれるなら
その度 感じたのは (Ah-)
カミサマなんて 要らないくらいの
完璧な (Beautiful World)Beautiful Birthday / RAISE A SUILEN
見える 見える
見えないものが ほら
生まれ変わる
ああ 本当の私に黒のバースデイ / Ave Mujica
また、同じく生き辛さを感じている者としても、それでも過去も自分も全て抱きしめて進んでいくMyGO!!!!!もAve Mujicaとは対極の思想に位置しています。
僕になる それしか それしかできないだろう
誰の真似も 上手くやれないんだ
こんな痛い日々をなんで 退屈だって片付ける?
よろめきながらでも もがいているんだよ
迷い星のうた迷星叫 / MyGO!!!!!
とどのつまり、Ave Mujicaとは"アンチバンドリ"のバンドです。
**覆面レスラーの"ヒール"**がバンドリ界に殴り込みにきた形です。
RASこそ元々ヒールとして設計されていた*6訳ですが、それ以上の脅威として、更に思想が異なるものが創られたと言えるでしょう。
MyGO!!!!!とAve Mujicaとセットで、既存のバンドリが取り零していた領域にテコを入れたとも言えます。
『Ave Mujica』の歩み~Mujina Carnival編
それではここから、Ave Mujicaの一連のプロモーション『Mujina Carnival』の顛末を書いていきます。
「"Mujina"=同じ穴の狢 ”Carnival”=祭り」なので名前を聞くとアングラなレイヴ的なものを想像するかと思いますが、雰囲気はそんな感じです。
先述のチラシ以降、カウントダウンのみで音沙汰の無かったAve Mujicaですが、カウントダウン終了前日の4/9開催の『MyGO!!!!! 4th LIVE 「前へ進む音の中で」』の会場に怪しげな展示が出現しました。
#AveMujica pic.twitter.com/Kq2bVbZBBU
— Ave Mujica (@BDP_AveMujica) 2023年4月9日
そして明くる4/10、公式サイトがカウントアップし「この世界のどこかに箱と手紙を届けました。」という文が出現。
4/10
YouTuberのえっちゃんのチャンネルにてMyGO!!!!!4thライブの会場に展示されていた箱と手紙の開封生放送が行われます。
— 【写真集販売中】えっちゃんねる🎨ボンボンTV (@ecchan_bom2) 2023年4月10日
生放送ではえっちゃんと視聴者が謎解きを行い、最終的にAve Mujicaの最初の楽曲『黒のバースデイ』のMVが公開されます。
ちなみに手紙の内容は以下
「どうか…協力してほしい。
▒▒ともう一度会いたい。今となってはもう遅いかもしれない。
ただできるかぎりのことはしたいんです…。
だからお願いします。
どうかこの曲を広める手伝いをしてください。
この曲が多くの人の心に届けば、きっと▒▒に近づけると思うから。」
"この曲"とは『黒のバースデイ』です。
Mujina Carnivalが進んでいくとこの手紙の伏字の人名はおよそ二択に絞られるのですが、”この曲”を広めようとしている点で考察の余地のある一文になっています。
生放送後、公式サイトには謎の入力ボックスが出現し、ここに「BLACKBIRTHDAY」と入力するとMujina Carnival最初のストーリーである『**ホントウノワタシ-再生-**』の動画と「DEEP」と読める3D画像が出現します。
そして入力ボックスに「DEEP」と入力すると志村坂上の一地点を指した地図が表示され4/16の18~21時という日時が与えられます。
当時は「何かしらのイベントの日時だと思うけどゲリラライブでもやるのか?」みたいな憶測が飛び交っていました。
また、6/4開催のイベントが『Ave Mujica 0th LIVE「Primo die in scaena」』であることはこのタイミングで公開されました。
『ホントウノワタシ-再生-』の内容は、「生きることは緩やかに死んでいくのと同じ。」と考え、人生や人の繋がりの空虚さを感じながら退屈な日々を過ごしている莉伽という女学生が、ある日『黒のバースデイ』を聴いて誘われるようにAve Mujicaを追い始める。というもの。
友達の誕生日祝いを「時間を消費するアイテム」「明日には忘れてる」と一蹴している時点で、「絆」「約束」「今日の積み重ね」「アニバーサリー」など、これまでのバンドリが描いてきたものを凄い勢いで否定しています。
正直この時点で、新バンドが”バンドリ”のウィークポイントを自覚的に突いてくるのを感じて襟を正しました。
4/16
そして4/16のイベント当日、残念ながら私はD4DJの『UniChØrd×Abyssmare LIVE -NØVA-*7』参加の為にところざわサクラタウンに居たので当事者ではありませんでしたが、その内容は先述の地図の場所に行くと近辺のライブハウスに誘導され、そこで謎の女性からカードを渡されるというもので、その時の動画は後に公開されています。
ここで配られるカードは招待状のようなデザインで、記載のQRコードを読み込むと404 Not Foundの画面が表示されますが、目を凝らすとAve Mujicaのアイコンがあり、それを押すとLINEアカウント『Mujina Carnival』に繋がるというものでした。
(私はTLに流れてきたQRコードからアクセスしたタチなのでうろ覚えですが、LINEアカウントへの分かりやすい窓口も間もなく公開されてたと思います)
また、このイベントに合わせてAve Mujicaの2曲目『ふたつの月 ~Deep Into The Forest~』のMVと2つ目のストーリー『**マヨイコンダモリ-探索-**』が公開されました。
『マヨイコンダモリ-探索-』の内容は、Ave Mujicaに魅了された莉伽と、その友人である瑠奈が仲違いするというもの。
ここでAve Mujicaのファクターの一つが「迷い込んだ」でありMyGO!!!!!の「迷子」と対比される点であることがわかります。
…ここまでが『Mujina Carnival』の最初のフェーズ、「LINEアカウントへの誘導」です。
特徴的なのは「当事者にさせられる感覚」「リアルタイム性」「選民的」といった点で、広く告知するというよりは既にAve Mujicaに興味もっている者に当事者意識を植え付けて離さないような手法が取られています。
そしてこの手法はここから更に”S”カレートしていきます。
Mujina Carnival
Mujina CarnivalのLINEは特定のワードに反応するbotになっており、最初にこちらの名前を定義させられます。
「狂気」と打ち込むと「狂気度」が分かり、以下のワードを打ち込むと「狂気度」が上昇する仕様です。
・バンドリの既存キャラの名前(ミッシェル含む)(RASは反応しない)
・バンドリの既存キャラの苗字(RASは反応しない)
・RASのバンドネーム
・バンドリのアニメシリーズのサブタイトル(ガルパピコ含む)
・Ave Mujicaの楽曲の歌詞及びMV内に登場する単語(全単語ではないが名詞に限らない)
・Mujina Carnivalのストーリーの台詞及び動画内に登場する単語(全単語ではないが名詞に限らない)
・Ave Mujicaの楽曲のタイトル
・Mujina Carnivalのストーリーのタイトル
・痕跡(後述)
・その他一部の単語
特定のキーワードに反応するようになっている
上昇していく狂気度
この仕様はヒントが無くユーザーが自力で法則を見つけなけれならないもので、例えば試しにキャラ名やサブタイを入力して反応があったとしても残り全てを打ち込む労力を考えると確かに「狂気」と呼ぶに相応しいでしょう。
また、全国のアニメショップや家電量販店やゲームセンター等に「痕跡」と呼ばれる二字熟語が掲示され、それらの単語にも反応したため、狂気度の理論値を達成するには各地の有志との情報共有が必須でした。
痕跡の例
よく見ると4/9の写真にも… 例外が存在した瞬間の絶望感凄いです
また、「Ave Mujicaの楽曲のタイトル」「Mujina Carnivalのストーリーのタイトル」「一部の痕跡」は入力すると謎解きが出題されるようになっており、正答を入力すると更に狂気度が上昇します。
謎解きの例 「正解はひとつ!じゃない!!」
いわゆる脱出ゲームのノリに近いです。
Mujina Carnivalの謎解き問題の一覧は今度別の記事に残しておきます。
※9/20追記
謎解き問題の一覧記事作りました。
thzaq.hatenablog.com
上記の法則や痕跡をまとめるために間もなく有志により**スプレッドシート**が作成され、Twitter上で共有されていきました。
が、しかし……
4/23
4/23にAve Mujicaの3曲目『Choir ‘S’ Choir』のMVとMujina Carnivalの3つ目のストーリー『**コタエヲサガシテ-摩擦-**』が公開されました。
『コタエヲサガシテ-摩擦-』の内容は、瑠奈が莉伽を探し回る話。
キーワードを探す様など、瑠奈も我々と同じくMujina Carnivalの参加者になっていると考えてよいでしょう。
そして、突如Mujina Carnivalにて「狂気度ランキング」が公開されました。
サバトの幕開け
「え、これってデスゲームだったん?」
また、Choir ‘S’ Choir内に隠れている訳わからんキーワードを入力していくと興味深い反応が返ってきます。
これ気付いた時は流石にキレそうになった
なるほど?
これにはかなり困惑しました。
上位者限定イベントとなると話が変わってきます。
またランキングの状態から、同点の場合は先着順に順位が付くことも判明しました。
そしてこれから間もなく追加の痕跡が全国にばら撒かれ、4/28 になると狂気度ランキングの上位100人?に5/7に行われるという「仮面舞踏会」の誘いが送られました。
(私はいくつかストーリー内のキーワードを逃しており、上位には入れてませんでした…)
5/7
残念ながらフォロワーからの貰いものです
参加者から聞いた話によると、5/7の会場は横浜元町のダンスホール『クリフサイド』。
会場ではランダムに1種類×10枚のアルファベットの書かれたカードが配られ、それを元に2段階のゲームが行われました。
1つ目のゲームは、最終的に6文字の英単語ができるように会場内で交渉し、カードを交換していくゲーム。
交換する際はジャンケンをし、あいこならお互い渡したいカードを渡し、勝ち負けの場合は勝者は敗者の手札を見て任意カードを奪い、勝者は渡したいカードを渡すというもの。
制限時間終了時に完成した英単語と手札をゲームマスターに提示し、集めたアルファベットの種類の分だけチップを受け取り、英単語が作れなかった者はチップ1つあたり任意のアルファベット1枚でゲームマスターと交換して英単語を完成させます。
素直に利害が一致する者と交渉するか、欲しいカードのために持ち札について嘘をついて欺くかの駆け引きが重要で、人と人の繋がりの軽薄さを問題提起するAve Mujicaらしいシステムですね。
2つ目のゲームは、5か6人で卓を作り、他の人が作った英単語を当てるゲーム。
プレイヤーは順番にアルファベットを1つ宣言し、それを持っている者はそのカード公開して公開した数だけ宣言者にチップを渡すというもの。
アルファベットを宣言する代わりに誰か1人の英単語を言い当てることもでき、当てられた者は手札を全て公開して宣言者にチップを5つ渡します。
手札を全て公開した人はアルファベットの宣言ができなくなり、手札が残った最後の1人がチップをゲームマスターから5つ渡され、集計します。
そして最終的に参加者全体の上位12人に『プレリュード』の参加権が与えられました。
この12人が『掴んだ者』です。
プレリュードとは、「0th LIVEの前にあるらしい何か」です。
キオクトゲンソウ-過去-の最後に映る
また、イベントに合わせてAve Mujicaの4曲目『神さま、バカ』のMVとMujina Carnivalの4つ目のストーリー『**キオクトゲンソウ-過去-**』が公開されました。
『キオクトゲンソウ-過去-』の内容は、莉伽と瑠奈の可愛らしい思い出話と、遂にAve Mujicaの尻尾を掴んだ瑠奈。
ひとまず仮面舞踏会はこれで終了でしたが、問題はここからです。
後日このゲーム内で作られた英単語全てがMujina Carnivalのキーワードに加えられました。
「……は?」
勿論キーワードが増えたことの告知などはありません。
これは仮面舞踏会に参加したか否かで情報アドバンテージに大きな差が生まれてしまうように思えますが、結局のところ参加者も自分の卓以外を把握するのは難しいため、狂気度理論値を目指すには「全ての卓から1人以上ずつが情報提供し、相互扶助する」か「英字辞典に載っている6文字の英単語を片っ端から入れていく」の2択しかなくなります。
もちろん前者が成立するはずもなく、英字辞典と向き合ってキーワードを集め、見つけたキーワードを周囲に秘匿するか交換材料にするか、という**個人主義的な競争**になりました。
キオクトゲンソウ-過去-ではツイバードが露骨に描かれています
消えるツイバード、2023年8月現在はもうXですが…
ここで風向きが変わったと思います。
そして極めつけは5/12に先述の**スプレッドシートが荒らされた**事でしょう。
4/23のMujina Carnivalのメッセージがスプレッドシートに言及していたため、公式によって荒らされた説も浮上しましたが、荒らしの犯人はランキング上位者であり、競争が終了した後に名乗り出ています。
しかし、一度荒らしが起きたことで再度スプレッドシートが公開されることは無くなり、この騒動と入れ替わる形で台頭したDischordサーバーに情報共有の場はシフトしました。
ここで先に結果を言うと、Dischord内で引き続き作られたスプレッドシートの内容の合計値とランキング最上位の狂気度には5ポイント=1単語の差があり、非協力者がこの最後の1単語を守り切る形でMujina Carnivalは終わるのですが、この一連のゲームで『**囚人のジレンマゲームにおける非協力者の勝利』が成立した事は、Ave Mujicaの思想の根底にある相互不理解**そのものであり、コンテンツとして完璧な幕引きだったと思います。
以上より、英単語のキーワード追加によって『Mujina Carnival』は最終フェーズに移行したと言えるでしょう。
それからしばらくしてランキング上位陣が英単語をやっと狩りつくした頃の5/18に『選ばれた者』と『堕ちた者』について公開されました。
#AveMujica#MujinaCarnival pic.twitter.com/HnfROnxZJk
— Ave Mujica (@BDP_AveMujica) 2023年5月18日
譏取律縺ョ莠悟香荳?譎ゅ↓
Ave Mujica縺ョ??????繧貞?髢九@縺セ縺吶?
縺翫◆縺ョ縺励∩縺ォ縲#AveMujica— Ave Mujica (@BDP_AveMujica) 2023年5月20日
どうやら選ばれた者は先着らしく、開始時間も決まっているなど例によって選民的でした。
文字化けの方は文字化け変換ツールを使えば読めるようになっています。
そして文字化けの告知通り5/21の21時にAve Mujicaの5曲目『Mas?uerade Rhapsody Re?uest』のMVとMujina Carnivalの5つ目のストーリー『**カクセイヘノウタ -招待-**』が公開されました。
『カクセイヘノウタ -招待-』の内容は、遂に莉伽と再会した瑠奈が、連鎖堕ちするようなもの。
この百合、ちょっとえっちなやつです。
また、一部無反応だった痕跡がこのタイミングで謎解き出題キーワードに変化しました。
先述した通りランキングは先着順なので、文字化けの告知を読んでおかないとその時点で出遅れるというのがエグいです。
(私は出遅れました。)
この頃のキーワードの打ち込みの最後の方は終わりを感じさせる反応が目立ち、なかなかエモかったです。
5/22
#AveMujica#MujinaCarnival pic.twitter.com/5w5a8NqZuW
— Ave Mujica (@BDP_AveMujica) 2023年5月22日
5/22、遂に選ばれた者の謎解きが出題されます。
ちなみにこのTwitterでの告知よりLINEに直接送られてきたメッセージの方が4分ほど早かったです。
結果だけ言うと前日の出遅れは全く問題なく、私は選ばれた者に入る事ができました。
選ばれた者に届いたプレリュードの詳細
各解答の先着20人ということで100人…ではなく120人が選ばれたのですが、重複当選はしないので割と余裕がありましたね。
ランキング上位陣はここでほとんど入選したので、堕ちた者はこれまで律義に狂気度を上げていたのに5/22の20時に外せない用事があった人向けのバスケット的な枠だったと思います。
ちなみにこの時も回答に関するデマが出回ってひと悶着あったりでハラハラしました。
5/27に堕ちた者が確定することでMujina Carnivalの一連のゲームは終了し、プレリュードとマスカレード (0thライブ)を待つのみとなりました。
6/4
プレリュードのチケット
— Ave Mujica (@BDP_AveMujica) 2023年6月4日
6/4『Ave Mujica 0th LIVE「Primo die in scaena」』当日、約2ヶ月続いたMujina Carnivalもこれで終わりと思うと寂しい気持ちになりながら中野サンプラザに向かったのを覚えています。
(余談ですが私は4月の頭に退職し、0thライブ翌日が転職先の入社日だったので無職期間=Mujina Carnivalみたいなところがありました。面接前とかめっちゃ黒のバースデイ聴いてました。)
プレリュードに入場すると100人ほどが前方ブロックに座らされていました。
そして薄暗いステージに黒のローブを纏い顔の見えない女性が現れ、舞い始めます。
スクリーンには文字が映り、莉伽と瑠奈の押し問答が響きます。
そして突然の通知音、会場のスピーカーから流れる音声の通知音と会場でマナーモードにしていない何人かのスマートフォンの通知音が同時に鳴った瞬間は鳥肌ものでした。
しばしの無音の中、会場の皆がLINEを開きます。
届いたメッセージは「ねえ、あなたは?[人間][人形]」
私はそれまでのセリフを踏まえて人形を押しました。
通知音と共に送られる二択『人間』or『人形』
その時流れたものはプレリュード終了後に公開されましたが、ここまでMujina Carnivalに付き合ってきた"関係者"としては代えがたい体験でした。
マスカレードの方の諸々の感想については割愛しますが、Roseliaの『Determination Symphony』をカバーしたのは余りにも業が深いです。
この歌は、相互不理解によって氷川日菜と袂を分けていた氷川紗夜が、たとえ分からないとしても妹と向き合おうとする決意の歌ですから……
ライブの最後にはAve Mujicaのメンバーが名乗りを上げて、新曲『Ave Mujica』を歌い、ミニアルバム『Alea jacta est』の発売情報を発表して幕引きとなりました。
この時のメンバーについては次項で書きます。
これ以降Mujina CarnivalのLINEアカウントは人間か?人形か?botになってしまい、以前反応したキーワードにも反応しなくなります。
それからしばらく経ってアニメ『It's MyGO!!!!!』の放送翌日の6/30、Mujina Carnivalは完全に役目を終えます。
これ以降Mujina CarnivalのLINEアカウントは『Alea jacta est』の告知botになり、やがて動かなくなりました。
……以上が『Mujina Carnival』の顛末です。
これはあくまで考察ですが、Mujina Carnivalとは単なる謎解きゲームではなく、SNSを介して囚人のジレンマゲームを意図的に発生させる社会実験的なプロモーションだったのではないでしょうか。
ゲームシステムからして必然的に、一定の時点で裏切り(情報の秘匿)を選んでしまいたくなるようなルールになっています。
その目的は実際に「人の繋がりの空虚さ」「相互不理解」を体験させることでAve Mujicaの世界観に引き込もうというものなのでは?…と思います。
真偽はともかく、少なくとも私は謎解きとインターネットを体験できて楽しかったですね!
『Ave Mujica』の歩み~BanG Dream! It's MyGO!!!!!編
1話冒頭から現れる、知らないけど多分知ってる女
上記の通りMujina Carnivalの終演と共に放送を開始したのがアニメ『**BanG Dream! It's MyGO!!!!!』ですが、未知数だったその内容は想像を遥かに超えていました**。
ここからは『It's MyGO!!!!!』以降のAve Mujicaについて書きます。
私の『It's MyGO!!!!!』の初見は6/28に池袋で開催された先行上映会でした。
地上波同様に1〜3話を続けて見る事になったのですが、上映が始まって1話アバン、画面に映ったのは燈と立希とそよと……!!!!?
「その髪型と目の色と口調はオブリビオニス!?じゃあこっちはモーティス!?It's not MyGO!!!!!じゃん!!!」
……初っ端から全く知らないバンド『CRYCHIC』が登場し、グランドシネマサンシャインの席から飛び上がりそうになるくらい動揺させられました。
MyGO!!!!!とAve Mujica関連は全部追いかけていたのですが、元々一部メンバーが同じバンドだったなんて初耳です。
(まあチーム・サティスファクション*8的なやつだと超速理解しましたが…)
続いてカラオケのシーンでアイドルユニット『sumimi』の片割れとしてドロリスも登場します。
ドロリス=佐々木李子さんは歌声からほぼ確定していたのでこれは容易かったですが、それよりもsumimiのもう一方がどう聴いても**桜田美夢**な事に驚きました。
まさかバンドリに来た上で曲まで貰うとは…
1話のエンドクレジットで高尾奏音さん、渡瀬結月さん、**佐々木李子**さんの名前を確認し、やはりAve Mujicaの構成員だと確信します。
確信には根拠があり、それは0thライブの前方席にいた何人かからのタレコミでAve Mujicaの声優陣はおおよその見当が付いていたからです。
続いて4話ではティモリスが登場します。
こちらはまさかの椎名立希のクラスメイトでした。
しかも割と仲良しな様子。
Ave Mujicaって実はそんなに悪い奴じゃない?
5話ではアモーリスが登場。
こちらはYouTuberでした。
……なんか悪そう!!!YouTuberって悪なので。
という事でアニメ『It's MyGO!!!!!』には立て続けにAve Mujicaのメンバーが登場し、しかもMyGO!!!!!とガッツリ絡む感じになってきました。
これでMujina Carnivalの頃にはまだ確定していなかったMyGO!!!!! vs Ave Mujicaの構図が確実になります。
ちなみに余談ですが、0thライブで発表されたAve Mujicaメンバーの名前は『Mas?uerade Rhapsody Re?uest』のMVの間奏部分にて既に書かれていました。
端から端まで痕跡探しをしていると嫌でもここに行きつきますし、ラテン語っぽいけどムジカニちゃんは反応しなくて困惑……って感じでした。
筆記体なうえ鏡写しに反転してるので読みにくい
そして『It's MyGO!!!!!』を踏まえたAve Mujicaのメンバーの紹介は以下の通りになります。
Key.&Org.オブリビオニス
Oblivionis
オブリビオニス / 豊川祥子(CV:高尾奏音)
口上は「我、忘却を恐れるなかれ」でした。
地名を付けるのがバンドリ特有の命名ルールですが、なんとAve Mujicaは月の地名。
口上は名前のラテン語訳に対応したものになっています。
0thライブではボーカルのドロリスではなくキーボードのオブリビオニスが場を仕切っていました。
率先してMCするのがボーカルではないのは今井リサや桐ヶ谷透子の先例があるので珍しくはなかったですが、少なくともこの謎多きバンドのまとめ役が彼女であることは伺えます。
また、Mujina Carnivalのある謎解きの答え「OBLIVIOUS」に対する反応は示唆的なものでした。
アニメの続きを見ていけばこの伏字も読めるようになるかもしれません。
あとこれは与太ですが『キオクトゲンソウ -過去-』の冒頭の台詞は、忘却の名を冠した彼女に関わるヒントの可能性があります。
オブリビオニスの学歴ですが、お嬢様校である月ノ森女子学園の中等部を卒業し、進学校である羽丘女子学園の高等部に進学しているあたり、家に訳アリな気がします。
長崎そよや若葉睦、又は憧れのMorfonicaから距離を置くためかもしれませんが、月ノ森のイメージについてはわざわざ愛音が強調しているポイントなので何かしら活かされると思います。
(追記、これ長崎そよ真実で使われちゃいましたね)
Morfonicaの思想は「あなたの輝きが道を照らす」なので、反転して自分の輝きを見つけられない事がひとつの命題なのかなと思っています。
もうひとつの命題である"忘却"したいのはCRYCHICの事か、燈の事か、それとも初華の事か、それはアニメの話数が進めば分かる筈です。
居酒屋『Ave Mujica』のトイレに貼ってあるやつ
声優を担当する高尾奏音さんは**ノーフォーク農法***9などTLでお馴染みの声優ですが、作曲家の高尾奏之助さんを兄に持ち、自身もミラノ国際ジュニアピアノコンクールで最高位経験*10があるなどキーボード役としてはこれ以上ないバックボーンを持っています。
(ちなみに高尾奏之助さんはハロー、ハッピーワールド!の『えがお、み〜っけた!』などのバンドリ楽曲にもスタジオミュージシャンとして参加しています。)
0thライブでの演奏も裏拍の多い楽曲ながら見事なものでしたので、ライブ後のタレコミで彼女の名前が挙がった時は納得感がありました。
— 高尾奏音 (@Kanon_Takao) 2020年4月17日
また、倉田ましろ役の進藤あまねさん・椎名立希役の林鼓子さんとは年齢も近く、プライベートでも親交があります。
これから先の"越境"が楽しみですね。
Gt.モーティス
Mortis
モーティス / 若葉睦(CV:渡瀬結月)
口上は「我、死を恐れるなかれ」でした。
モーティスの学歴は、月ノ森女子学園中等部から高等部にそのまま内部進学した形です。
父は人気お笑い芸人の若葉(誰?)、母は女優の森みなみ(誰?)とのことで、月ノ森生らしいブルジョワ感があります。
無口で感情を表に出さないタイプでコミュニケーションも下手なので両親どちらにも似ていないあたり、やはり訳アリな家庭環境だと推測できます。
8/1現在も謎が多いキャラクターですが、7話では碧天伴走や春日影に反応する場面があるなど無口でも無感情ではない様子。
ですが"死"というワードを背負っている以上、自分の感情をできるだけ殺そうとしているのでは?という気がします。
また、Mujina Carnivalのある謎解きの答え「ZELOTYPIA」に対する反応は示唆的なものでした。
「もっとギターが上手ければ〇〇に見捨てられずに済む。」と読めます。
当てはまるのは祥子な気がしますが、睦から祥子に執着しているシーンが今の所無いので、祥子と共通の幼馴染だったと仮定し、同じく7弦ギタリストの初華に執着しているのでは?と睨んでおきます。
あと与太ですが『ホントウノワタシ -再生-』の冒頭の台詞は死の名を冠した彼女に関わるものかもしれません。
モーティスを演じる渡瀬さんはLyrical Lilyの竹下みいこ役で馴染みがあるのですが、まさかギターを弾けるだなんて知らなかったのでこのキャスティングは衝撃でした。
とはいえ『D4DJ Groovy Mix』内で竹下みいこは、ポピパ・花園たえ役の大塚紗英さん演じる燐舞曲のGt.月見山渚と距離を縮めている仲でもあり、なんとなくミッシングリンクを見つけた気分です。
……モーティスもラップし始めたりしませんか?Diggy-MO’ですし…
Vo.&Gt.ドロリス
Doloris
ドロリス / 三角初華(CV:佐々木李子)
口上は「我、悲しみを恐れるなかれ」でした。
アイドルユニット『sumimi』のギターと作詞作曲担当との事なので、あの虚無フワフワした歌詞を書いているのはドロリスということになります。
しかし楽屋の鏡に写る自分を「ひどい顔」と一蹴するなど満たされない想いを抱えていそうですね。
ドロリスは作詞ができるという事は、Ave Mujicaはドロリスが書いた歌詞に合わせてオブリビオニスが作曲する体制なのではないでしょうか。
本心で書いた歌詞の**語彙力がDiggy-MO’**の女、おもしれーと思います。
ドロリスの学歴は、中学校は不明ですが花咲川女子学園の高等部に在籍しています。
(追記 島?の住民だったらしいので中学は地方だったりするかもです)
花咲川はPastel*Palettesを輩出した学校であり、『It's MyGO!!!!!』時点では若宮イヴが在学中でもあるのでアイドル活動もしやすいのではないでしょうか。
オブリビオニスがMorfonicaに、椎名立希がAfterglowに憧れているのでひょっとしたらドロリスもPastel*Palettesに憧れてこの学校を選んだ可能性もあると思います。
プロフィールを見るに天体観測が好きらしく、同じく星が好きな戸山香澄・弦巻こころ・氷川日菜・高松燈に並ぶ伝説のプレインズウォーカーになりそうな予感がありますね。
(追記 幼少期のオブリビオニスと星を見た際に『星の鼓動』を感じている可能性もあります。)
また、Mujina Carnivalのある謎解きの答え「NIGHTMARE」に対する反応は示唆的なものでした。
「○○○○○ス」はオブリビオニスな気がするのですが文字数が合わないのが気になります。
これもアニメの続きを見ていけば伏字部分について納得できる答えが見つかるかもしれません。
あとこれは与太ですが、悲しみ=相互不理解だとすると『コタエヲサガシテ -摩擦-』の冒頭の台詞は彼女に関わるものの可能性があります。
ドロリスを演じる佐々木李子さんはアイドルアニメと縁が深く、**クレーンゲールや邪神ちゃんドロップキック、キラッとプリ☆チャン、かげきしょうじょ!!などを経てきた訳ですが、ここに来てバンドリに参入しアイドルキャラというのは驚きました。
圧倒的な歌唱力**を持っていらっしゃいますので『Ave Mujica 1st LIVE「Perdere Omnia」』でのパフォーマンスも楽しみですね
Ba.ティモリス
Timoris
ティモリス / 八幡海鈴 (CV:岡田夢以)
口上は「我、恐れることを恐れるなかれ」でした。
ティモリスの学歴は、中学校は不明ですが花咲川女子学園の高等部に在籍しています。
ドロリス・椎名立希とはクラスメイトです。
30のバンドを掛け持ちつつ、そのどれも居場所としては認識していないようで、助っ人ミュージシャンとして活動していたかつてのレイヤやマスキングに近い悩みを抱えていそうです。
野良猫として色々なバンドを転々としているであろう要楽奈も近い存在かもしれません。
立希を気にかけつつもイジる茶目っ気があり、オブリビオニスやモーティス、ドロリスの明らかに胸の内がドロドロしていそうな雰囲気と比べると「まとも」そうな印象です。
このあたりはバンドリの不文律、『ベーシストは周りが見えている(自分が見えているとは限らない)』に則っていると思います。
とはいえAve Mujicaに加入する以上、まだ見ぬ地雷が埋まっているのかもしれませんね。
また、Mujina Carnivalのある謎解きの答え「LABYRINTH」に対する反応は示唆的なものでした。
いや、これはちょっと八幡海鈴とこじつけるのはまだ難しいのですが消去法だとこの組み合わせになるので……
今後に注目、くらいに留めさせてください。
更に与太ですが『マヨイコンダモリ -探索-』の冒頭の台詞も、「恐れることを恐れない」彼女に関する手がかりに思えます。
ティモリスを演じる岡田さんはMerm4idの水島茉莉花として日頃馴染みがあるのですが、やはりこちらもベースが弾けるなんて初耳でした。
演技プランも茉莉花とは真逆です。
Merm4idとモデル業という今を楽しみながら女優という夢に向かって奔走する茉莉花とは全く違った姿が見られそうですので、このギャップにも注目すべきでしょう。
Dr.アモーリス
Amoris
アモーリス / 祐天寺にゃむ (CV:米澤茜)
愛称は「にゃむち」。
コスメ系の人気配信者らしいが年齢は不明。
残念ながら学歴も分かりませんでした。
「祐天寺にゃむ」も本名では無いように思います。
プロフィールによるとコスメに限らず様々なジャンルに挑戦しているらしいので、コスメ配信だけでは満たされない何かがあるかもしれません。
正直、出番が少なすぎて今はっきり書けるものは何もないのですが、同じく伏せ札の多い純田まなの関係者だと面白いと思います*12。
一つ考察すると、椎名立希の4つ上の姉(長崎そよの関係者)の席が空いているので、ここに祐天寺にゃむか純田まなを当てはめたくなります。
ですが、Ave Mujicaの他4人が同い年であること、椎名立希の4つ上となると湊友希那の世代の1つ上になることを踏まえるとガルパで現在進行中の大学編で使う設定の可能性も否めません。
こちらも今後に注目でしょう。
(憶測が多すぎてマジで”いかがでしたか?ブログ”っぽくなってきました)
また、『カクセイヘノウタ -招待-』の冒頭の台詞は、愛を冠する彼女に関する手がかりです。
既存のバンドリには「自分を偽らないための化粧」の象徴であるパレオが存在しているので、逆に自分を偽るタイプであり、コスメ配信者設定なのかなと予想しておきます。
そしてMujina Carnivalのある謎解きの答え「RHAPSODIC」に対する反応は示唆的なものでした。
……これ本当にアモーリスと関係あるか?
正直この項は「OBLIVIOUS」からの逆引きなのでかなり不安です。
祐天寺にゃむがポケモン配信を始めて役割論理を語り始める回が来れば逆転ホームランになるので一応載せておきます。
個人的には0thライブでのゴリゴリのドラム捌きに感銘を受けたこともあり、その印象が強かったのでコスメ配信者というキャラクター設定はギャップが凄いです。
アモーリスを演じる米澤茜さんは幼少期からドラムを嗜んでいたようで、そのプレイからは経験値の高さが伺えます。
という事で『It's MyGO!!!!!』以降のAve Mujicaについて書きましたが、アニメを見ていればわかる通りAve Mujicaはまだ結成されていません。
それどころかMyGO!!!!!の結成も危うい状態です。
(8/10現在)
Ave Mujicaの結成までを描くとなると1クールでは収まらないので、アニメバンドリの2nd&3rdシーズンのように分割2クールになる気がしますね。
『Ave Mujica』って結局どういうバンド?
歯車を足す事で「∞」になるロゴ
ここまで時系列で長々とAve Mujicaについて書いてきましたが、結局"アンチバンドリ"概念であるAve Mujicaは具体的にどういうバンドなのでしょうか。
Mujina Carnivalにて描かれた莉伽と瑠奈のエピソードは、唯一の親友であっても腹の内は分からないというものでした。
また、『ホントウノワタシ-再生-』では上辺だけの人間関係について言及されています。
既にこの記事内で何度か出しているワードですが、これらの他者同士の断絶は相互不理解によるものです。
相互不理解とは他人同士が本質的に理解し合うことは不可能であるという概念です。
相互不理解が前提にある世界ではATフィールドを壊したり、トランザムバーストを起こしたりなどの超現象が起きない限り、人と人は分かり合えません。
バンドリにおいて相互不理解は、主にガルパ内で氷川日菜を通して描かれてきたテーマです。
生まれながらの天才肌である日菜は特別な感性を持っており、他人の不出来が理解できず、特に努力家である双子の姉・氷川紗夜からは拒絶されていました。
日菜の場合はPastel*Palettesでの活動を経て「自分と全く異なる他者がいるからこそ、自分の存在が証明されている。だからこの世界は面白い。」と結論付くことで相互不理解が昇華されました。
youtu.be
(高松燈の命題に関わる本質的な話です)
また、日菜の羽丘天文部での後輩分にあたる高松燈も、その独特の感性から根強い相互不理解を抱えています。
幼児の頃に友達にダンゴムシをプレゼントして泣かれたり、流行りのドラマの感想が友達と全く違ったりと日菜に負けず劣らず深刻なものです。
ちょうどよく笑って「それわかる」とか
何故うまく言えないんだろう
本当の気持ちを加工しなくちゃ
「みんな」には なれないみたい名無声 / MyGO!!!!!
僕であろうとするために この痛みがあるのなら
見失わないように 抱きしめている
誰かが望む理想には 僕は変われない
だから 何度だって
這い出して 声抱えて 生きる潜在表明 / MyGO!!!!!
そんな燈を中心に『It's MyGO!!!!!』では大量の**ディスコミュニケーション**が描かれます。
CRYCHICの解散もMyGO!!!!!の結成の難航も全ては相互不理解と言って良いでしょう。
具体例は挙げたらキリが無いですし、見ていれば分かると思いますので割愛……の予定でしたがその不和はAve Mujica内でも起きていたので追記します。
It's MyGO!!!!! 第8話
8話ではオブリビオニスとドロリスの馴れ初めが語られましたが、ドロリスはオブリビオニスと共に見た星空を初期衝動として天体観測が好きになりました。
一方でオブリビオニスの方は天体観測が好きな訳ではなく、なんとドロリスと一緒に捕まえたことからカブトムシが好きになっています。(3話)
つまり同じ体験をして、得たものが違うのです。
これは幼少期の戸山香澄と戸山明日香と全く同じシチュエーションです。
BanG Dream! 第1話
星空を見た香澄はこの時『ホシノコドウ』を感じますが、明日香は「心臓の音でしょ」と一蹴しています。
これは『バンドリ!』にて最初に描かれた相互不理解、とも言えるので、意図的なリフレインではないでしょうか。
香澄と明日香の断絶はアニメ3rd Seasonの12話にて緩和されましたが、明日香はまだホシノコドウを完全に理解していない状況です。
相互不理解はPoppin'Partyを中心とした”繋がり”の妨げの要因になりますが、バンドリ内では日菜以降もMorfonicaの広町七深や八潮瑠唯などキャラクター単位で度々問題提起が行われてきました。
MyGO!!!!!とAve Mujicaにおいてはその相互不理解が主となるテーマとしてフィールドの中心に据えられたわけです。
そんな相互不理解前提の世界でAve Mujicaが何をするかというと人間の人形化です。
人形
Mujina Carnivalで語られた通り、人生・他者との関係・世界・日々の全てが空虚であり、その中の行動が主体的ではないことを自覚した=操り人形の糸を切った者にAve Mujicaは仮初めの魂=歯車を与えます。
しかしその歯車は完全な円ではなく欠けた月の形であり、一時的なもの。
既に公開されてるpreludeの内容だけど、Ave Mujicaの三日月型の歯車マークが"人形"に与えられた仮初の命としての歯車であり、"終わりのあるカタチ"だったのアンチバンドリ存在として完璧だったな
— thzaq (@SproutsTO) 2023年6月4日
CiRCLING! 円陣組もう
終わりのない形だからねCiRCLING / Poppin'Party
それでもプレリュードとマスカレードを繰り返すことで歯車を差替え蒔き直し続ければ永遠になれます。
「もっと回れば」とはこの歯車の事でしょう
過去は幻想に過ぎず、記憶など無くなってしまいます
歯車入りの人形になった者はパーソナリティや過去から解き放たれ、本当の私として活動できる。
そして人形として同質の存在=同じ穴の狢になることで相互不理解の世界でも他者同士が連帯できます。
(このセットが関係者かと)
以上がAve Mujicaの思想です。
次にAve Mujicaというバンド名についてですが、"Ave Mujica"は直訳すると「音楽の祝福あれ」「ようこそ音楽へ」みたいな感じでしょうか。
"Ave"はラテン語の少し硬めの挨拶に使われる言葉で、「ご機嫌よう」「お元気で」「おめでとう」「ようこそ」等に訳されます。
"Ave"は祝福と健康を祈るカジュアルな挨拶である"Salve"が短縮されたものであり……とインターネットに書いてありました。"safe"や"save"や"salvage"あたりが近い語源と言われれば確かに納得だと思います。
"Mujica"は"Music"の語源であるラテン語"Musica"のもじりであり、且つ、先述の”Mujina Carnival”の略称でしょう。"Musica"はそのまま「音楽」と訳されます。
"ミュージック"ではなく"ムジカ"という発音を認識すると、ドイツ人のモーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」の"ムジーク"部分って多分そうなんだなぁ…くらいに認識できるのが日本人から見たヨーロッパ語圏の面白い所であり、面倒くさい所ですね。
"Musica"は芸術や技芸・文芸を司る9柱の女神"muse"の元となるラテン語"Musa"から派生した言葉で、"museum"や世界史の古代ヘレニズムで出てくる"ムセイオン"などが近い言葉です。
ここで興味深いのは"Musa"=ムーサの女神たちは人々に芸の才能を授ける存在であること。当時優れた芸術家や技術者はムーサの祝福を受けたものとされていました。また、彼女たちが司る技芸は永遠性を伴うという記述もありました。人生は有限ですが芸術や学問は残り続けますからね。
そして何より、"Ave Mujica"と聞いて最初に連想するフレーズは「**Ave Maria**」でしょう。
聖歌として歌われるこのフレーズは新約聖書の受胎告知の一節であり、処女であるマリアがキリストを身に宿したことを祝福する天使ガブリエラの台詞です。
つまり「Ave Mujica」とは訳すると「ようこそ、Mujina Carnivalの世界へ」という誘い文句であり『相手に"歯車"が与えられた告知』になります。
ここまでを踏まえるとAve Mujicaには一つの指向性が存在します。
空っぽであることを自覚した人間を糸の無い人形に変え、仮初めの魂(欠けた歯車)を与えること————それは受胎告知のようであり、ムーサの祝福のようであり————繰り返される「ようこそ、Ave Mujicaの世界へ」はMujina Carnivalの思想と世界観へ誘う文句であること。
要するにめっちゃ宗教です。
以上が「Ave Mujicaってどんなバンド?」の答えになります。
Ave Mujicaに近い存在『ルージュリフレクター』が敵として立ちはだかる
余談ですが『It's MyGO!!!!!』で脚本を務めている和場明子さんがシリーズ構成・メイン脚本を務めたアニメ『BLUE REFLECTION RAY/澪』のテーマも「想いはその人だけのもの=相互不理解」であり「それでも人は隣人を愛し、手を繋ぐことができる」と締め括っています。
かつてキリストが説いた隣人愛は相互不理解に対する希望となります。
橋から飛び降りそうに見えた燈に飛び込んだ祥子も、燈のノートを歌詞だと思って歌にした祥子も、燈の本意は理解せずとも燈の胸にあたたかさを刻んだ点で隣人愛が相互不理解を超えた瞬間です。
燈としても、祥子に絆創膏を渡しそれが相互不理解を超えたという経験から愛音にも同じアプローチをし、結果としてそれが愛音と絆になりました。
絆を創ると書いて絆創膏。隣人愛の象徴であるそれはバンドリにおいて大切な**キズナ**の最初のマナになります。
バンドもバンドエイドのバンドなのかもしれませんね。
爪に絆創膏をうまく貼るのって難しいですよね
きっとMyGO!!!!!の皆ならば、人形にならずとも人と人が寄り添えることを教えてくれるはずです。
正反対の2人が交わる必要なんてないのだ
螺旋はいいよね
巻き貝の殻は螺旋を描いてるだろう?
螺旋っていうのは同じ所を回っているようで
実は少しずつ上に向けて登っていってる
変わらぬ日々を過ごしつつも
少しずつでいいから上に向かっていく
そうした人生を送りたいものだと思っていてね同じ所を回っているように見えて
針が進むにつれて音楽で人生をアゲてくれるのがレコードだからね小舟柳人 / D4DJ All Mix 第12話
それに、マスターの好きなレコードの溝も”螺旋”だしね!
『Ave Mujica』を作ったのは誰?
ここまでの用語がラテン語で統一されキリスト教的な要素をベースにしていること。特に"Ave"が出会いと別れの挨拶で「**ごきげんよう**」と訳されること。
「ごきげんよう」自体がそもそもキリスト教の伝播と共に生まれた言葉ですが、バンドリの世界においてこの言葉は月ノ森女子学園の象徴であり、わざわざラテン語や聖書の言葉を使いそうなお嬢様といえば……そう、豊川祥子=オブリビオニスです。
豊川祥子がオブリビオニスに至るエピソードは未だ語られていませんが、少なくとも2023年7月29日現在はAve Mujicaの命名者は豊川祥子だと考えるのが妥当でしょう。
あとがき
ここまで長々と書いてきましたが「アンチバンドリ」だからといって切り分けるべきだと言いたい訳ではなく、また既存のバンドリありきだと言いたい訳でもなく、拡大していく「バンドリ」の一部として、既存のファンもMyGO!!!!!及びAve Mujicaからのファンも楽しめるものなのではないかと思います。
作中世界だけでなくコンテンツとファンの関係も有機的に広がっていくバンドリの魅力。
それは、声優・遠藤ゆりかを追いかけてバンドリの世界に入った身でありながら、聖書*14を読んで魂にBanG_Dream!が刻まれ、広がり続けるガルパの世界に没頭し、彼女が声優界から存在しなくなって久しい6年後の今も熱心にライブに通っている私自身が身をもって証明できるので…
以上でこの記事は終わりです。
それでは皆さん、Ave Mujica!
[8/24追記]
この記事読んでもっとバンドリやMyGO!!!!!のことを知りたいと思った方向けに以下、頼れるフォロワー諸氏の記事を紹介します。
・本記事でも少しガルパの内容に触れていますが、MyGO!!!!!及びAve Mujicaから入ってガルパに触れるための導入としてはこちらがおすすめです。
「流石にガルパ触れるつもりはないけど…」という方もMyGO!!!!!及びAve Mujicaが突然無から湧いて出た訳ではないと大雑把に理解できると思いますので有益だと思います。
halkenborg.hatenablog.com
・「アニメ3期分+映画(ぽぴどり)は見てるよ!」という方にはこちらもおすすめです。
ポピパの指向するベクトルが分かると思います。
halkenborg.hatenablog.com
・『マジック:ザ・ギャザリング』か『デュエルマスターズ』を知っている方にとって"話が早い"記事はこちらです。
上記のブログでも「ポピパは難しい」とされていますが、MTGやDMの色ごとの思想・テキスト・背景ストーリーへの造詣があれば「ポピパは緑」で通じてしまうのが面白い所です。
youseitutor.hatenablog.com
・上述の『デュエルマスターズ』の中でも特に《CRYMAX ジャオウガ》についての造詣を深めたい方はこちらをどうぞ。
多分CSでも通用する内容です。
note.com
・バンドリに限らずバンドについて思案したい方はこちらです。
温故知新とはこのような試みの先にあるものです。
cemetrygates1919.hatenablog.com
・SproutsTOのツイート履歴
https://togetter.com/li/2180835
TLがドリームクールで盛り上がっていたので便乗しました。
cemetrygates1919.hatenablog.com
自分は理想的だった番組表を組み合わせて理想のクールを作ってみました。
(レギュレーションとかあったの今知りました)
実際に放送されていた枠に配置しているので現実でも上ブレしまくればあり得るかもしれませんね。
無くなってしまった放送枠ばかりですが…
こんな放送枠あったね、またアニメやって欲しいね的なネタ多めです。
※サイズがデカすぎてTwitterに貼れなかっただけなので解説は特になしです。
初めての方ははじめまして、thzaqです。
皆さんあけましておめでとうございます。2018年は沢山アニメを見られましたか?
私は去年を振り返ると暇だった時間が圧倒的に多いのですが、視聴本数は例年並みでした。その分漫画やソーシャルゲームを楽しんでいた感があります。アニメオタク失格ですね。
まずこの記事のタイトルについて説明しますが、この大学5年生というのは私(thzaq)のことです。正確には半年留年して9月に卒業しているのでタイトル詐欺なのですがご愛嬌ということで。
オタクはアニメを視聴するとき少なからず現実(自分)を意識してしまうものです。
個人差はあると思います。
2018年も色々なアニメがありましたが、私自身就職の事を嫌でも考えなければならない時期だったのでそういった目線も含めてアニメを見てしまいがちでした。
そこで注目したのがアニメに登場する_就活生_のキャラクターです。
日本のテレビアニメの主要キャラクターの大半がティーンエイジだと断言できる昨今、就活生のアニメキャラクターは年に数人しか登場しません。そんな貴重な就活生キャラに注目するのは人生で一度きりだと思いこの記事を書きました。*1
それでは以下が独断と偏見で選んだ2018年アニメの”就活生キャラ”ランキングです。
※今回のランキングは新卒のアニメキャラに限り、転職活動中のアニメキャラや就職浪人中のアニメキャラを除外しました。
第5位 就活生F(CV.速水奨)
就活生F
中間管理録トネガワ 第9話『カツ』に登場。
履歴書・筆記・受け答え共に満点だったがその悪魔的な外見から採用を見送られた悲しい就活生。外見が映った瞬間いきなり声がシャクれ始める。
やはり外せないのはこの男。悪魔的存在感から5位にランクインです。
この第9話『カツ』は次回予告の時点では大盛りカツ丼のエピソードが予想されていましたがアバンからまさかの就活回。カツ丼のエピソードはBパートでした。
”カツ”を引っかけたこの巧みなサブタイトルは2018年アニメのサブタイトルの中でも20番目くらいに好きです。*2
第4位 佑河樹里(CV.安済知佳)
佑河樹里
刻刻に登場。本作の主人公。国際京華大学教育学部4年生で1話時点で19社落ち。
原作では28歳で佑河家の長女だったが、破滅的な佑河家の現状に絶望しているキャラクター性を高めるために22歳就活生に設定が変更されたアニオリ就活生。そのため妹の早苗と姉妹が逆転している。
サクラクエスト以来の女子就活生(JS)主人公である樹里は4位にランクイン。
上記のアニオリの結果、
- 頑固で旧態依然とした祖父
- リストラされた五十代無職の父
- 引きこもりで三十代無職の兄
- パートを掛け持ちしている未婚シングルマザーの姉
- 甥っ子
に囲まれ早く実家を出たいと思っている就活生の図ができあがり、最終的に家族を愛することができるようになるラストまでの道筋が分かり易くなったので良い改変だと思います。
「わたしは早く一人暮らししたいの」
「そんなにこの家から離れたいのか?」
またこの作品は無職・裏稼業のキャラクターの多さから作中の有効求人倍率が気になりました。2018年も作中の治安が悪いアニメが多かったですが刻刻はトップクラスでしたね。*4
第3位 桐山真(CV.内田真礼)
桐山真
同上
たくのみ。に登場。ダンスサークル所属の大学3年生。
好きな酒は甘めのカクテル。一見するとクールビューティーだが根は優しく姉思い。
アニメではまだ3年生だが第7話『カルーア』でインターン活動を、第12話『アサヒスーパードライ』でOB訪問をする。原作では4巻で酒類メーカーへ入社する。入社半年後にInstagramを始める。
たくのみ。の真は見事3位にランクインです。
まだ大学3年生だったストーリーの初期から就活し続け立派な新社会人になった真は魅力的なキャラでした。
余談ですが、同クールの**スロウスタート**の2浪キャラである万年大会と同じくCV.内田真礼で、姉の桐山直は当ランキング4位で同クールの佑河樹里と同じくCV.安済知佳。*5
重ねて余談ですがたくのみ。は2018年に大量発生していた沖縄アニメの一番手でもありました。*6
良い
第2位 天月真白(CV.水瀬いのり)
天月真白
One Room セカンドシーズンに登場。第9~12話のヒロイン。大学4年生。
新体操の選手だったが怪我で引退した。夢を失くして月夜を彷徨い歩く就活生。
12話でスポーツインストラクター職に内定する。
歩き出そう サーチライトと月灯り アスファルトに探す錆びた鍵
あの日のポケットから 夢転がって見つかっていない
-サーチライトと月灯り - 天月真白 (CV.水瀬いのり)
- TVA『One Room セカンドシーズン』 ED3
”水瀬お祈り”こと天月真白は惜しくも2位にランクインです。
第10話『天月真白はやってみる』で変態さん(主人公)と面接の練習をするのですがその内容が非常にショッキングだったのはまだ皆さんの記憶にも新しいと思います。
「志望動機は特にありません!」
「趣味も特にありません!」
「特技はその…身体が柔らかいです!」
「この会社でやりたいことは特にありません!」
-One Room セカンドシーズン第10話『天月真白はやってみる』
身体が柔らかいです!
しかし彼女が歌うED"サーチライトと月灯り”は余りにも名曲。他に語る言葉がありません。
巡り会えた サーチライトと月灯り 歩道橋あたりに夢の種
泣いたっていいじゃないか 日々水やって 花咲け 希望
歩き出そうサーチライトと月灯り アスファルトに光る錆びた鍵
もう拾わなくていいさ 夢ちっぽけなきっかけで 満ちる
今日失くした昨日なんて 明日で上書きすればいいさ
囚われの窓枠は 内側から 壊すんだ
-サーチライトと月灯り - 天月真白 (CV.水瀬いのり)
- TVA『One Room セカンドシーズン』 ED3
やはりOne Roomは3人目のヒロインが至高ですね!異論は認めます。*7
第1位 就活生(CV.村上聡)
就活生
三ツ星カラーズ 第12話『カラーズと街とひとびと』に登場。
財布に500円しか入っていない就活生。上野公園で落ち込んでいたときに突如カラーズの祝福を受ける。
ランキング堂々の1位は三ツ星カラーズ最終話の就活生でした。
最終話のED前のオチにしてこの三ツ星カラーズという作品に触れる全ての大人の代行者。2018年最高のモブキャラクターだと断言できます。[*8](#f-5003f871 "2018年最狂のモブキャラクターはちおちゃんの通学路の"Wi-Fiタダ乗りおばあさん"")
三ツ星カラーズという作品は無邪気で悪戯ばかりしているカラーズを上野の街とひとびとが見守り、共に遊び、叱りつつも赦す温かい許容が描かれているのですが、その視聴者へのアプローチの要素は多元的になっています。
まずストレートに受け取るなら上記の人情の要素で、もう一つは『小学生ノリを懐かしむ・大人(視聴者)の心の中に残った小学生への寄り添い』の要素です。
やはりいい大人になったとしてもうんことか叫びたい、秘密基地が欲しい、そんな郷愁と共にカラーズの3人に自己投影することができます。
しかし更にもう一つ、このアニメの裏の主題たる要素があります。
それが『大人(視聴者)への無条件の祝福』です。
カラーズの悪戯は割と悪質なものが多く、最終話の苺売り付けも小学生という立場でマウントを取った新手の詐欺です。
就活中は私も金欠で大変でした。焦燥感があり、この就活生のように公園やカフェなどで潰すスキマ時間を勿体なく感じていました。
それでも御社に落とされ全財産で苺を買ったこの就活生はファンファーレの如き桜の花びらと共に優しい表情になります。
このシーンを見て何か当てはまる単語を探したときに祝福の2文字が浮かんだので以下使用します。
無条件の祝福
「「「春が来たー!ジャーン!」」」
「へへっ、ありがとう。何だか元気出たよ。」
「財布にもあと500円しかないけど次の面接頑張れるような気がしてきた。」
「まぁ、いいっか。」-就活生
-三ツ星カラーズ 第12話『カラーズと街とひとびと』
『就活生』を社会に出る前の”大人の中の子供”であり"大人が最初に躓いてしまう時期・圧倒的な肯定が必要な時期"と捉えると、この名も無き青年がサラリーマンや受験生ではなく"就活生"である必要性も見えてきます。
そして視聴者はこの名も無き就活生に自己投影する事で、いや自己投影せずとも視聴した時点で直接祝福を受けるのです。
視聴者
大人の価値観を貫通する無条件の祝福、それがカラーズぱわーの正体でした。
ココロの平和遠いと ココロの声が聞こえた
さあこっそりと大胆にも 解決しなくても がんばっちゃえ!
どんなとき 面白くなっちゃうかい?
もっともっと調べなきゃ
オトナって元気かな 元気じゃない コドモは元気だ
じゃあさ ぜんぶおまかせて?
カラーズはつよい!
どーしたら みんなを守れるかな?
ちょっと待って!相談するよ
大人っていそがしい まかせられない
そうだ この街のことは
カラーズぱわーで なんとかしようっ
-カラーズぱわーにおまかせろ! - カラーズ☆スラッシュ (CV.高田憂希, 高野麻里佳, 日岡なつみ)
- TVA『三ツ星カラーズ』 OP
徹頭徹尾論理的で隙の無いエンターテインメントではなく小学生の遊びでも、"それが必要な視聴者"へ向けられたアニメ、そしてその視聴者が具現化したキャラクター、それがこの就活生(CV.村上聡)でした。
改めてこのランキングの1位に相応しいと言えるでしょう。
監視と言ったが寝ているだけ。カラーズ側が大人を意識する必要は無いのだ。
以上が『大学5年生が選んだ2018年アニメの”就活生キャラ”ランキングトップ5』でした。
皆さんが好きな就活生キャラは入っていましたか?今年は私自身新入社員になるので新入社員アニメキャラか退職したアニメキャラで書きたいですね。
2018年は宇宙よりも遠い場所やあかねさす少女など"自己決定アニメ"が豊作でしたし、すっかり定番になった"進路希望調査票芸"をするアニメも沢山ありました。就活生というキャラクターの記号もそれらの自己決定ストーリーにおけるスパイスとしてもっと流行ったら面白いなと思いました。
それではこんな独断と偏見でしかないランキングを読んで頂きありがとうございました。今年もよろしくお願いします。
番外編
就活生っぽい存在なのに残念ながらレギュレーションの外にいたキャラクターの中から好きなものをピックアップします。
就職浪人賞 京塚志温(CV.M・A・O)
京塚志温(左), 万年大会(右)
スロウスタートに登場。大学を卒業後に管理人を手伝い始めたため新卒ではないが一応就職したいと思ってる。*9
中退就活生賞 尾張ハジメ(CV.赤﨑千夏)
だがしかし2の第7話から登場。一橋大学政経学科で優秀な成績を残し様々な資格を取得するも2年で中退。
TOEIC700点台。Javaなどの主要なWeb言語も使える。1月1日生まれ。