新型コロナウイルス感染・ワクチン接種と抗うつ薬の内服について|川崎市の高津心音メンタルクリニック 高津区溝の口 心療内科 精神科 (original) (raw)

公開日 2022.9.21

はじめに

新型コロナウイルスの繰り返す流行とワクチン接種に伴い、抗うつ薬を内服中の際の感染時の内服の継続・中断について、また、ワクチン接種時の継続・中断について対応がわからず不安に思われる方が多くおられます。

そのため、現在までの新型コロナウイルス感染と抗うつ薬についての関係を記載したいと思います。

抗うつ薬の新型コロナウイルスに対する抗ウイルス効果について

抗うつ薬の中でSSRIのフルボキサミン(ルボックス・デプロメール)に新型コロナウイルスに対す抗ウイルス効果があることが報告されています1)。

フルボキサミンによる治療で呼吸器症状の悪化、入院、死亡のリスクが低下したことが報告されています2)~6)、(図1、2)

図1 フルボキサミンによる新型コロナウイルスによる呼吸器症状悪化の抑制

図2 COVID-19感染によるICU入院患者における標準治療VS標準治療+フルボキサミンの生存率

また、もともとSSRISNRI、トラゾドン(デジレル・レスリン)を内服していたメンタルヘルス疾患の患者さんは、新型コロナウイルスに感染するリスクが低かったことも報告されています7)。

フルボキサミンは日本では最初に承認されたSSRIで古くから使用されています。

薬剤の特徴として、SSRIとしてのセロトニンの再取り込み阻害作用を有するだけでなく、シグマ-1受容体アゴニスト作用という作用を有しています。

中枢神経に発現しているシグマ-1と呼ばれる受容体(図3)に結合することにより、神経細胞内のシグナル伝達を促進し、精神科領域では抗うつ効果や記憶・認知機能の維持に作用することと考えられています8)。

図3 シグマ-1受容体

感染症領域では、シグマ-1受容体アゴニスト作用を介し、主に抗炎症作用をもたらし、新型コロナウイルス感染症の症状を改善するとされています5)、9)、(図4)。

図4 フルボキサミンの新型コロナウイルスに対する抗ウイルス効果

フルボキサミンはSSRIの中で特に強いシグマ-1受容体アゴニスト作用を有していることがわかっています9)、(図5)。

図5 シグマ-1受容体に対する各抗うつ薬の親和性(アゴニスト作用)

フルオキセチン(日本未承認)は弱いシグマ-1受容体アゴニスト作用を有していますが、フルボキサミンと同様に、新型コロナウイルスに対する抗ウイルス効果があることが報告されています4)、10)。

おわりに

おひとりで悩んでいませんか?

うつ症状がある場合は、我慢せず早めの心療内科・精神科への受診をおすすめします。
まずはかかりつけ内科等で相談するもの1つの方法です。

文献

うつ病の関連コラム

症状から探す

頭が働かない

寝つきが悪い

やる気が起きない

不安で落ち着かない

朝寝坊が多い

人の視線が気になる

職場に行くと体調が悪くなる

電車やバスに乗ると息苦しくなる

病名から探す

うつ病

強迫性障害

頭痛

睡眠障害

社会不安障害

PMDD(月経前不快気分障害)

パニック障害

適応障害

過敏性腸症候群

心身症

心的外傷後ストレス障害

身体表現性障害

発達障害

ADHD(注意欠如・多動症)

気象病・天気痛

テクノストレス

バーンアウト症候群

ペットロス(症候群)

更年期障害

自律神経失調症

問診票をダウンロードする

ネット予約する

川崎市溝の口の心療内科・精神科 高津心音メンタルクリニック院長コラム

川崎市溝の口の心療内科・精神科 高津心音メンタルクリニック漢方コラム