梶村秀樹先生の執筆物の引用と検討メモ(この記事の日付はよくかわります) (original) (raw)

竹内好」という単語がふくまれる論文
竹内好氏の「アジア主義の展望」の一解釈」「排外主義克服のための朝鮮史(第一章)」「朝鮮からみた現代東アジア」「第1巻解説 梶村秀樹著作集」「朝鮮近代史の若干の問題」「現在の「日本ナショナリズム」論について」「「日本人の朝鮮観」の成立根拠について――「アジア主義」再評価論批判」「亜州和親会をめぐってーー明治における在日アジア人の周辺」「朝鮮からみた明治維新
梶村秀樹先生と竹内好氏との関係はどうしても徹底的に調べておかない「内在的発展」の描き方の核心部分がわからなくなると判断した。今考えても、わたしの判断は大英断だったといえる。

以下、参考
梶村先生の執筆物の検討

金嬉老への判決を支えた日本社会 [1972年]
単に威勢よく拳をふりあげれば良いというほど、この「社会的世論」なるものが一筋縄でいかない錯雑・屈折した構造を持っていることは、いやというほど痛感させられてきた。また、一般的・抽象的に日本人の差別意識の変革を呼びかけることだけでは足りないことも、良く分かった。そういう一般論は、無理解のもとで金嬉老個人に向けられる毒舌の一言で、しばしば簡単に吹き消されてしまう。われわれが当初からそう考えてきたように、金嬉老の運命のかけられている法廷闘争の場と全くかけ離れた形で、空論にふけることはもちろんできない。

この「社会的世論」なるものが一筋縄でいかない錯雑・屈折した構造を持っていることは、いやというほど痛感させられてきた。

〇植民地と日本人 [1974年]
しかも、それほど普遍的な植民地体験が、「邪悪なる国家権力と善良なる庶民」という体裁のよい図式だけでわりきることを許さない屈折・錯雑した深層意識を形づくらせたことが、いっそう重要である。なにかに傷ついた心がそれだけ強烈に希求する権威への帰属意識、そこから出てくる利己的・独善的な国家意識とアジア認識。このパターンが、確かに今でも生き続け、受け継がれていることを感じる。

屈折・錯雑した深層意識

〇論文「朝鮮統一は在日朝鮮人問題を解決するか」に対する私の意見 [1978年]

事実としての定住という言葉で私が何をいおうとしたかは一七六号五五~五六頁にかなり具体的な議論をしているので、重複はさけたい。最近、韓国への母国留学体験を契機として、在日朝鮮人大衆とともに生きることを決意して戻る人が少数だが出ている。それは意識的定住といえるケースであろう。総連の活動家の中にも、別の意味で、やはり少数、意識的定住といえるケースがある。しかし、日々の生活に追われている多くの下づみの人々ほど、意識的な選択の契機さえ持てぬまま、最も日本社会にまきこまれた生活を余儀なくされ、生活のために帰化をさえ望まざるをえない所に追いこまれ、しかもそれすら拒否されるという状況におかれている。サルトル哲学流にいえば、そういう人々も実は、本人も気づいてはいないかもしれないが日々自由に選択しており、その結果として意識的に定住しているのだといえなくもなかろう。しかし、そういう人々に「あなた方は実は意識的に定住しているのだ」ときめつけることから何かが生れるとは思わない。

サルトル」が登場するのは、著作集全6巻で1カ所だけ。アルベール・メンミのほうが何度も登場する。

まず、最も重要なこととして、在日朝鮮人の実存を徹底的に理解しぬこうとする姿勢。現実が多様で動いている以上、これはどこまでいってもきりがない課題であって、何でも分ってしまったように思い上った瞬間、一旦成立した自立した関係も、たちまちくずれ去ってしまう。この点は、理解の深さが、関係の深さを規定するというほど重要であると思う。これなしには、見当ちがいのことを「いわねばならない」と思いこんでしまう。
次に、おのれを凝視し続ける執拗さ。関係を持続させていくなかで、たえず自分が何者であるかをみつめつづける態度。
次に、自然さ。まず、「頭が上らない」と一面的に自己規定し、次にそれではいけないと思うと相手のだめなことばかりをいいつのればいいと思い定めるような、どこまでいっても、あらわれ方はちがうが棒を呑んだようにぎこちない、観念的で一方的な関係設定の姿勢を克服しなければならない。よく人のいう「複眼でみる」とか「柔軟な思考」とかいうのも同じことかもしれない。
次に、往々にして一世の朝鮮人が造作なく到達しているような、ある本質的な意味でのやさしさ、暖かさ。うまく表現できないが、本誌一六八号で和田春樹氏がいおうとしたことも、同じことかもしれない。
まだまだいろいろあると思うが、とてもまだ考えきれることではないので、今後の課題としなければならない。もちろん、われわれの内にも外にも、以上のことに反する数多くのありようがあり、それらと一々闘うこともわれわれの課題である。

付言すれば、五氏が私に具体的に詳論せよとせまったことのうち、私が全然言及していないことも幾つかある。それは、考えていないからでも、いう勇気がないからでもなく、あえていうまいと決意しているからである。もちろん、そんな決意はばかげていると思うのは、とる人の自由にまかせざるをえない。近ごろよく無限定、感傷的、そして時に自己欺瞞的に使われる「実感」とか「ホンネ」とかの言葉の使い方を、私は好きではない。「ホンネで生きる」ということは、それ自体立派なことでもない最低限の要求であり、ホンネを自ら凝視し、深化していく努力をぬきにして、何でも「ホンネ」でありさえすればいいというものではあるまい。
状況が困難であればあるほど、豊かな可能性を夢みることができるような人間でありたい。

ここは、あえて省略せずに引用した。
実は、国立国会図書館でこの論文を閲覧できる。
朝鮮研究 (185) - 国立国会図書館デジタルコレクション

〇義烈団と金元鳳 [1980年](1982年)

「朝鮮革命宣言」

だが、急激なイデオロギー分化のなかでは、そうした姿勢をうらづけるためにも最低限の理論構築が要求された。その要求に応えるべく書かれたのが、金元鳳の要請をうけて北京で申采浩が執筆したといわれる有名な「朝鮮革命宣言」(一九二三)なのである。(略)

民衆はわが革命の大本営である
暴力はわが革命の唯一の武器である
我々は民衆のなかに行き民衆と手を携え
絶えざる暴力――暗殺、破壊、暴動を以て強盗日本の統治を打倒し
わが生活の不合理な一切の制度を改造し
人類が人類を圧迫することを許さず
社会が社会を搾取することを許さぬ
理想的朝鮮を建設するのだ。

以上のような内容をもつ「朝鮮革命宣言」には特徴的な点が二つある。その第一は、いわば「民衆の発見」ということである。(略)
第二に、考え方としては、マルクス主義アナキズムとかさなる部分を大いに持ちながらも、それぞれに独特なキーワードのいずれをも、みごとなほど使っていないことである。(略)
以上二点ともが、義烈団・金元鳳が、やがて二〇年代後半に、厳密な意味での民族協同戦線派に展開していく道筋を暗示しているともいえるのである。

「第二に、考え方としては、マルクス主義アナキズムとかさなる部分を大いに持ちながらも、それぞれに独特なキーワードのいずれをも、みごとなほど使っていないことである。」

〇論説 旧韓末北関地域経済と内外交易 [1989年]
論文内には、「内在」という単語は1回も使われていない

https://s3731127306973.hatenablog.com/entry/2049/12/31/000000

梶村秀樹先生の仕事を引用している人一覧(敬称略)

姜徳相
「一国史を超えて : 関東大震災における朝鮮人虐殺研究の50年」「」
晩年のインタビューに梶村先生が登場
姜徳相 | CiNii Research all 検索
・宮田節子
「私が朝鮮に向かいはじめたころ(東洋文化講座・シリーズ「アジアの未知への挑戦 : 人・モノ・イメージをめぐって」講演録)」

・山田昭次
たぶんどこかで引用していたはず

徐京植
『分断を生きる―「在日」を超えて』『半難民の位置から―戦後責任論争と在日朝鮮人』のどちらか
・山本興正
「戦後朝鮮史研究における「60年代の問題意識」の一断面 : 「民族」と「日本人の責任」をめぐる梶村秀樹と旗田巍の思想的交錯」『戦後思想の再審判―丸山眞男から柄谷行人まで』
『排外主義克服のための朝鮮史』(解説)
・中野敏男
朝鮮史研究者以外で、中野氏は一番よく読んでいる。梶村秀樹先生の死後の弟子といっていいぐらいよく読んでいる
『〈戦後〉の誕生―戦後日本と「朝鮮」の境界』『詩歌と戦争 白秋と民衆、総力戦への「道」』「「日本の戦後思想」を読み直す(7)「方法としてのアジア」という陥穽--アジア主義をめぐる竹内好梶村秀樹の交錯」「「日本の戦後思想」を読み直す(第8回)植民地主義批判と朝鮮というトポス--アジア主義をめぐる竹内好梶村秀樹の交錯(その2)」
・板垣竜太
『日本植民地研究の回顧と展望:朝鮮史を中心に 板垣竜太,戸邉秀明,水谷智 校正前』
・加藤圭木
「1920~30年代朝鮮における地域社会の変容と有力者・社会運動 ─咸鏡北道雄基を対象として─」
・車承棋
・洪宗郁
・姜元鳳
・林雄介
・戸邉秀明
・水谷智
吉野誠
梶村秀樹朝鮮史研究 -内在的発展論をめぐって-」
・金泰相
・中村平八
・姜萬吉
・吉見義明
『草の根のファシズム : 日本民衆の戦争体験』のどこか
・石田米子
「月報」に寄稿、『黄土の村の性暴力』という記念碑的労作が生まれた背景には、梶村秀樹先生の存在があったのではと真剣に考えている。
調査中
並木真人
中塚明
山辺健太郎
遠山茂樹
井上清
芝原拓自
竹内好武田泰淳丸山眞男加藤周一中野重治大西巨人
林達夫花田清輝、、、吉本隆明
和田春樹
村松武治、小林勝、上野英信森崎和江
大門正克、吉沢南
旗田巍
澤地久枝
幼方直吉、
林えいだい
岡まさはる
米津篤八
宋連玉
金富子

引用していないと思われる人
鹿野政直
山田昭次氏の著作は引用していた。
鈴木裕子
いちはやく「慰安婦」問題に接近した
安丸良夫
色川大吉

司馬遼太郎、黛
中井久夫安克昌(あん・かつまさ)
津田左右吉家永三郎
浅田彰

アミン
「韓国の社会科学はいま」「六〇~七〇年代NICs現象再検討のために ――主に韓国の事例から――」「“やぶにらみ”の周辺文明論」「「日帝」との対峙は過去のものであるか?」「旧植民地社会構成体論」「歴史の発展は幻想だろうか(聞き手 菅孝行)」

フランク
「韓国の社会科学はいま」「旧植民地社会構成体論」

サルトル
「論文「朝鮮統一は在日朝鮮人問題を解決するか」に対する私の意見」「歴史の発展は幻想だろうか(聞き手 菅孝行)」「」

内在的発展
「朝鮮近代史研究における内在的発展の視角」「「一筋の赤い糸」としての内在的発展」「『常緑樹』(解説)」「『朝鮮史の枠組と思想』あとがき」「排外主義克服のための朝鮮史」「六〇~七〇年代NICs現象再検討のために ――主に韓国の事例から――」「第5巻解説 梶村秀樹著作集」「申采浩の朝鮮古代史像」「第4巻解題 梶村秀樹著作集」「『東学史』によせて」「第2巻解説 梶村秀樹著作集」「第2巻解題 梶村秀樹著作集」「東アジア地域における帝国主義体制への移行」「朝鮮からみた日露戦争」「朝鮮からみた現代東アジア」「朝鮮思想史における「中国」との葛藤」「朝鮮社会における移行法則」「朝鮮史研究の方法をめぐって」「日本における朝鮮研究」「朝鮮近代思想史の課題」「“やぶにらみ”の周辺文明論」「朝鮮近代史研究の当面の状況」「朝鮮近代史の若干の問題」「朝鮮近代史と金玉均の評価」「私にとっての朝鮮史朝鮮史 その発展』序章」「一九一〇年代朝鮮の経済循環と小農経営」「旧植民地社会構成体論」「日本帝国主義支配下の朝鮮ブルジョアジーの対応」「「民族資本」と「隷属資本」 ――植民地体制下の朝鮮ブルジョアジーの政治経済的性格解明のためのカテゴリーの再検討」「書評 『日本帝国主義と旧植民地地主制 ――台湾・朝鮮・満州における日本人大土地所有の史的分析』」「書評 『朝鮮社会経済史研究』書評」「書評 『韓国経済史』書評」「朝鮮史をみる視点」

投企
定住外国人としての在日朝鮮人」「論文「朝鮮統一は在日朝鮮人問題を解決するか」に対する私の意見」

梶村秀樹先生を知るための30章、または50章

石田米子、竹内好、(花田清輝なし)、姜徳相、内在的発展論、経済史、民衆思想史(色川、安丸、鹿野)、言語論翻訳論、植民者論、家族関係(とくに父)、華青闘、日韓条約、昆虫採集、実証主義、史料とはなにか論、最後の論文、申采浩、夏目漱石魯迅、民族責任論、国境をまたぐ生活圏、金嬉老サルトル、メンミ、咸錫憲、朴正煕、西岡の転向と2つの論文、文学観(国民文学論争にふれないといけないかもしれない)、日本帝国主義論、

網野善彦メモ
「時国」での検索結果(メモ CiNiiで「時国」で検索したら、「戦時国家」というキーワードが入った論文がたくさん出た)

〇『蒙古襲来』
項目「幕府とその周辺」「四方発遣人」「時宗の死」

〇『日本の歴史をよみなおす(全)』
項目「日本人の識字率」「太良荘の女性たち」、「百姓は農民か」「奥能登の時国家」「廻船を営む百姓と頭振(水呑)」「村とされた都市」「襖下張り文書の世界」、「飢饉はなぜおきたのか」「海上交通への領主の関心」
(「水田に賦課された租税」には「時国」なし)

〇『歴史の中で語られてこなかったこと』(宮田登との対談)
項目「隠然たる力を発揮する隠居たち」「誤解されている二男、三男のあり方」「稲作地帯は近世の現象」「百姓と農民は違う」「日本像の書き替え」「崩れつつある日本史の常識」

〇『米・百姓・天皇』(石田進との対談)
項目「3 主食は米か」「6 東と西のちがい」「7 女性の力の再評価」

〇『対談 中世の再発見』(阿部謹也との対談)
「時国」なし

〇『増補 無縁・公界・楽』
「時国」なし

〇『日本中世の民衆像 平民と職人』
「時国」なし

〇『海民と日本社会』
「百姓は農民、「村《むら》」は農民という誤解」「誤解の根深さ」「日本列島の社会と海民の諸活動」「注記」、「非農業分野への視点」、「はじめに――時国家の調査について」「能登の豊かさ――「頭振」の実像」「能登の「百姓」の生業」「中世能登の都市」「むすび――残された課題」、「はじめに」「能登半島の特質」「奥能登・時国家の調査から」

〇『中世再考 列島の地域と社会』
「中世民衆生活の様相」の「結び」「注」、「地名と名字」「民具学と農業史 宮本常一氏と日本常民文化研究所

〇『日本列島再考――海からみた列島文化』

川崎という歴史家

梶村秀樹著作集1:朝鮮史と日本人

第1章 朝鮮史の意味
013 排外主義克服のための朝鮮史(はじめに/なぜ朝鮮史を学ぶのか/朝鮮侵略の理論と思想/戦後民主主義のもとでの朝鮮観/朝鮮史の内在的発展/若干の補足と論争の深化のために)
078 朝鮮語で語られる世界
089 私にとっての朝鮮史――『朝鮮史――その発展』序(朝鮮民衆の内在的発展/朝鮮史の意味/本書の限定条件)
第2章 日本のナショナリズム
097 竹内好氏の「アジア主義の展望」の一解釈
104 「日本人の朝鮮観」の成立根拠について――「アジア主義」再評価論批判
123 自由民権運動と朝鮮ナショナリズム(朝鮮への接近/士族民権派豪農民権派/貧農民権派
136 朝鮮からみた明治維新(私のジレンマ/侵略の歴史と連帯の歴史?/「民衆」の未発の契機/からめとられた中で)
151 朝鮮を通してみた天皇制の思想――さめた思想(はじめに/皇民科教育の詐術/天皇はえらい、えらいは人間、人間はわたし/民族差別の根源と天皇制思想)
165 亜洲和親会をめぐって――明治における在日アジア人の周辺(だれが主導したのか?/清国留学生の状況/亜洲和親会の約章と活動/亜洲和親会に参加した各国人/朝鮮人民族主義者の不参加問題/亜洲和親会その後)
第3章 在朝日本人
193 植民地と日本人(在朝日本人史の欠落/一旗組の生きざま/国家権力との癒着/植民地化の時代)
217 植民地朝鮮での日本人(三・一運動下の日本人/在朝日本人の存在形態/在朝日本人の意識と行動)
244 植民地支配者の朝鮮観(自己合理化の感情/煙に巻く「教化」の論理/戦後の継承と変形)
256 「旧朝鮮統治」はなんだったのか(何の差別もなく?/事実の誤り/近代化に心血を注いだ?/植民地支配肯定論の継承/植民地支配をごまかすな!)
第4章 日本人と朝鮮
271 在日朝鮮人・韓国人差別の淵源――皇民化の問題を中心に
297 差別の思想を生み出すことば
308 サハリン朝鮮人の特集にあたって
315 竹島=独島問題と日本国家(はじめに/日本国民の「竹島」認識/韓国・朝鮮側の基本姿勢/日韓両政府間の論争文献/竹島=独島の自然条件/竹島=独島の地理的位置/竹島=独島の歴史的名称/竹島=独島の認知/一七世紀の実効的経営?/竹島=独島の帰属についての意識/帝国主義的な一九〇五年の日本編入/戦後の竹島=独島/日韓条約竹島=独島/国際法とは何か?/最近の事態/おわりに)
358 「日帝」との対峙は過去のものであるか
371 歴史的視点からみた日韓関係――日本側発題(日本人の歴史認識/教育の軍国主義化/教科書検定の内実/侵略の合理化/私たちの課題/歴史家の責任/日韓の相互交流)
381 歴史をねじまげてはいけない――「日韓合邦」の真相(応急まで制圧下/抵抗試みた高宗/侵略を直視せよ)
385 近代史における朝鮮と日本

397 「朝鮮史と日本人」解説 新納豊
409 解題 初出誌その他 新納豊

梶村秀樹著作集2:朝鮮史の方法

第1章 内在的発展の視角
013 李朝後半期朝鮮の社会経済構成に関する最近の研究をめぐって(はじめに/(一)通年の形成/(二)北朝鮮歴史家の問題提起/(三)内在的批判)
036 朝鮮近代史の若干の問題((一)朝鮮近代史の時代区分/(二)大院君の政治的性格のついて/(三)「日本の朝鮮侵略」の質の問題/(四)日帝時代の朝鮮人ブルジョアジーについて/(五)侵略のイデオロギーとしての「朝鮮援助」論について)
060 朝鮮近代史と金玉均の評価
080 朝鮮近代史研究の当面の状況
086 日本における朝鮮研究
108 朝鮮史研究の方法をめぐって(はじめに/(一)第一段階――知らないから知る/先学たち/侵略史の勉強/「善意の悪政」論との出会い/第二段階――内在的発展の歴史/日朝比較論/第三段階)
126 朝鮮社会における移行法則
148 朝鮮近代思想史の課題
160 “やぶにらみ”の周辺文明論
164 朝鮮近代史研究における内在的発展の視角)
第2章 朝鮮史と東アジア
181 朝鮮思想史における「中国」との葛藤((一)はじめに/(二)「事大主義」の条件と特徴/(三)新羅以前の朝・中関係/(四)高麗時代の事大主義と民族主義/(五)李朝の成立と事大主義の定着/(六)小中華論の完成から否定へ/(七)近代以後の事大主義)
208 朝鮮からみた現代東アジア((一)東アジアとプロレタリア国際主義の理念/(二)朝鮮革命と国際条件/(三)社会主義国際関係のイメージ/(四)日本の問題状況)
241 朝鮮からみた日露戦争(はじめに/(一)朝鮮中立化構想をめぐって/(二)開戦前の朝鮮の世論/おわりに)
275 東アジア地域における帝国主義体制への移行((一)世界資本主義の編入過程における東アジアでの国際的両極分解/(二)遠山氏の東アジア地域史論をめぐって/(三)更新資本主義発展の世界史的条件/(四)東アジア地域史像の再検討/(五)補論)
第3章 意味としての歴史
305 日本帝国主義の問題(はじめに/(一)日帝像の原型――近代民族運動のなかでの日本像/(二)マルクス主義者の自国史認識と日本帝国主義像/(三)南朝鮮と日本での「日帝」)
336 申采浩の朝鮮古代史像(はじめに/(一)運動経歴と思想の展開/(二)啓蒙運動器の歴史観/(三)一九二〇年代の古代史研究/(四)『朝鮮上古史』の朝鮮古代史像/おわりに)
361 歴史と文学((一)意味としての歴史と事実としての歴史/(二)科学としての歴史の意味/(三)史料としての文学)

373 「朝鮮史の方法」解説 吉野誠((一)侵略史から内在的発展論へ/(二)一国史的把握と世界史的観点/(三)法則的把握と近代批判/(四)民衆像の探求/(五)朝鮮観の「先祖帰り」現象)
388 解題 初出誌その他 吉野誠

梶村秀樹著作集3:近代朝鮮社会経済論

第1章 外圧への対応
011 李朝末期(開国後)の綿業の流通および生産構造――商品生産の自生的展開とその変容(問題設定/洋貨の流入と土布生産の発展過程/洋貨の土布市場奪取過程/原料輸出・製品購買の構造への転化過程/要約と展望)
135 近代朝鮮の商人資本等の外圧への諸対応――甲午以後(一八八四~一九〇四年)期の「商権」問題と生産過程(はじめに/商権の自主性の問題/生産過程での営為/まとめ)
第2章 植民地化前後の地域経済
157 旧韓末北関地域経済と内外交易(はじめに/北関地域と国内隔地間交易の進展/ウラジオストーク貿易と北関地域経済/「併合」後、ウラジオスト-ク交易の切断と日帝による地域経済再編)
188 一九一〇年代朝鮮の経済循環と小農経営(問題状況/一九一〇年代前半の生産・流通・消費/農家経済調査データの分析/おわりに)
第3章 植民地社会論
237 旧植民地社会構成体論(問題設定/既存の旧植民地社会構成体論/植民地半封建社会構成体論の一般的前提/国際分業の諸段階と植民地半封建社会構成体の歴史的位置)
265 日本帝国主義支配下の朝鮮ブルジョアジーの対応――平壌メリヤス工業を中心に(問題視覚/平壌メリヤス工業の位置づけ/草創期/小経営史/企業化ブーム/自動化と恐慌/「満州進出」問題と総合メリヤス工業化への展開/戦時経済と資本の「同化」/要約にかえて)
328 「民族資本」と「隷属資本」――植民地体制化の朝鮮ブルジョアジーの政治経済的性格解明のためのカテゴリーの再検討(狭義の「民族資本」概念の成立過程/朝鮮における「民族資本」認識/経済的側面からみた「民族資本」)
354 一九二〇~三〇年代朝鮮農民渡日の背景――蔚山群達里の事例(はじめに/蔚山達里村落の概況/渡日者とその他の流出人口/流出人口の出身階層別/途日者の学歴と人口流出の影響/おわりに)
第4章 内在的発展の展望
375 「一筋の赤い糸」としての内在的発展
383 「民族経済」をめぐって

387 「近代朝鮮社会経済論」解説 李洪洛
400 解題――初出誌その他 李洪洛

梶村秀樹著作集4:朝鮮近代の民衆運動

総論 朝鮮民族解放闘争と国際主義
013 朝鮮民族解放闘争史と国際共産主義運動(序章 朝鮮史の主人公としての朝鮮人民/第一章 朝鮮革命運動の前史/第二章 朝鮮民族解放運動の国際的試練/第三章 在日朝鮮人運動と日本人民と日本人民の堕落/第四章 金日成抗日パルチザン闘争と八・一五への若干の諸問題)

第1章 三・一運動
089 『東学史』によせて
101 三・一運動を考える
106 民族主義社会主義のはざま――朴慶植『朝鮮三・一独立運動』によせて
117 大韓民国臨時政府をめぐって(一 民族主義者たちの情勢判断と運動方針/二 三つの政府とその統合/三 民族主義者の理想国家像/四 改造か創造か?)
第2章 国外における解放闘争
135 義烈団と金元鳳(テロリズムと共同戦線/金元凰のおいたち/設立当初の義烈団/三・一後の民衆意識/実力抗争の論理/「朝鮮革命宣言」/テロリズムの時期/中国革命のなかへ/安光泉との出会い/共同戦線の論理/民族革命党の結成/金九との合作/革命後の金元鳳/おわりに)
171 1930年代満州における抗日闘争にたいする日本帝国主義の諸策動――「在満朝鮮人問題」と関連して(一 「在満朝鮮人民問題」/二 共産主義者の指導する抗日武装闘争の展開(一九三〇年代前半)/三 集団部落設定(匪賊分離)と民生団・協助団の策動(民族離間工作)/四 「華北安全農村」について/おわりに)
212 『アリランの歌』〈解説〉
223 一九四〇年代中国での抗日闘争(日中戦争以前の民族運動/在中朝鮮人大衆の情況/朝鮮義勇隊韓国光復軍華北朝鮮義勇軍/おわりに)
235 解放前の在日朝鮮人運動史――在日朝鮮人労総結成~全協への解消を中心として(はじめに/ 一 路線転換前の運動/二 路線転換をめぐる諸過程/三 全協指導下の在日朝鮮人運動/四 全面戦争下の個別抗争)
第3章 ブルジョア民族主義から民衆的民族主義
281 朝鮮共産党――断章
292 新幹会研究のためのノート(はじめに/一 新幹会の活動/三 新幹会解消問題/結びにかえて)
321 甲山火田民事件(一九二九年)について(はじめに/一 朴達『曙光』に記された甲山火田民事件/二 ソウルから見た事件の経過/三 若干の考察――結びにかえて)
350 『常緑樹』〈解説〉
357 一九二〇~三〇年代の民衆運動(二〇~三〇年代は空白ではない/二〇年代民主運動者の精神史の軌跡/民衆的民族主義のヴィジョン/おわりに)

369 「朝鮮近代の民衆運動」解説 劉孝鐘
387 解題――初出誌その他 劉孝鐘

梶村秀樹著作集5:現代朝鮮への視座

第1章 8・15以後の朝鮮人
013 八・一五以後の朝鮮人民(序 朝鮮現代史研究の実践的視点/一 戦後世界分割と朝鮮人民の苦闘/二 朝鮮南北分断の軍事的固定化/三 統一への苦難の時代/四 革命と統一への新たな画期)
第2章 日韓関係を考える
105 日韓条約のゆくえを追跡します
108 対韓経済進出の具体的状況(一 はじめに/二 国家資本の投下/三 民間資本の進出/四 貿易関係/五 人の往来と外交とりきめ/六 おわりに)
119 日刊体制の再検討のために(一 歴史的パースペクティブ/二 南朝鮮の高成長経済/三 従属資本主義発展の諸要因/四 日本資本主義の「戦略」/五 従属の問題/六 ゆがみの問題――結論にかえて)
第3章 韓国経済の展開
135 一九六〇年代初頭の南朝鮮の支配構造といわゆる隷属資本(第一節 問題設定/第二節 地主階級の没落/第三節 アメリカ帝国主義南朝鮮支配政策と「隷属政策」の育成/第四節 一九六〇年代初頭の独占財閥資本の状況/ 第五章 結びにかえて――独占財閥資本の志向と朴政権の「民族主義」)
157 韓国経済における政府の役割――一九六〇~七〇年代(はじめに/一 国家資本の比重/二 国家の経済介入/おわりに)
229 六〇~七〇年代NICs現象再検討のために――主に韓国の事例から(はじめに/一 NICs現象の世界史的規定条件/二 NICs現象と内在的諸要因/三 八〇年代NICs――不安定性の顕在化/四 若干の方法論的コメント)
第4章 韓国の民衆運動
259 歴史としての四・一九(四月革命ということば/自由と民主の理念/李承晩独裁下の批判勢力/大邱の二・二八デモ/馬山の事件/四・一八から四・一九/四・一九へ/四・一九当日のソウル/李承晩の下野/四月革命の歴史的位相)
278 ベトナム派兵の傷痕(一 はじめに/二 派兵の経緯/三 派兵の名分/五 韓国軍の戦い様/五 兵士の苦悶/六 血であがなわれたドル/七 結びに――日本の罪)
318 韓国の労働運動と日本(労働者の手記を読んで/韓国労働運動の現段階/生存権闘争と基層労働者/日本独占資本の韓国侵略/安い韓国製品は何を語るか?/日本人としての立脚点)
329 語りはじめた労働者たち(闘いの糧としての手記/蓄積される闘いのエネルギー)
339 韓国現代史における「南民戦」(はじめに/「南民戦」の目ざしたもの/「自生的社会主義」/現代史の中の「南民戦」)
350 韓国の農村で(本当にハゲ山か?/渦巻の目、ソウル/自負と悪戦苦闘/日本経済の後追いか?)
第5章 北朝鮮への視点
357 北朝鮮における能動協同化運動(一九五三~五八年)についての一考察(はじめに/一 農業協同化運動の経過の概観/二 個別組合の事例/三 若干の問題点の検討/おわりに)
406 朝鮮北半部からみた現代日本(朝鮮からみた現代日本/「日本軍国主義」とは何か?/「日本帝国主義」について/米帝日帝との関係/侵略の戦略論/日本の国内体制論/七二年以降の情勢について)

427 「現代朝鮮への視座」解説 水野直樹
439 解題――初出誌その他 水野直樹

梶村秀樹著作集6:在日朝鮮人

在日朝鮮人とは
013 定住外国人としての在日朝鮮人(はじめに/歴史的形成過程――国境をこえた農民層分解/国境をまたぐ生活圏/定住外国人指向の必然性/二者択一論批判/「帰国」か「帰化」か/民族への帰属意識/おわりに)
第1章 植民地下の在日朝鮮人
037 在日朝鮮人の渡来史
048 「同化主義の刻印」
065 八・一五以前の在日朝鮮人の歴史(1渡航の歴史/2日本での生活/3たたかいの歴史)
075 在日朝鮮人の生活史(一 朝鮮人労働者層/二 労働運動の昂揚から戦時体制への移行/三 むすび――戦後史の展望)
108 海がほけた!――山口県長生炭坑遭難の記録(一 はじめに/二 ききがき/三 若干の蛇足)
127 戦時下の在日朝鮮人
第2章 解放後の在日朝鮮人
137 解放後の在日朝鮮人((一)解放直後の在日朝鮮人運動(一九四五・八~一九五〇)/(二)朝鮮戦争下の在日朝鮮人運動(一九五〇~一九五三)/(三)分断固定化時代の在日朝鮮人運動(一九五三~一九六五))
232 論文「在日朝鮮人の処遇政策確定過程にみられる若干の問題について」への内在的批判
242 なぜ朝鮮人が日本に住んでいるのか――指紋拒否者への脅迫状に答える
第3章 入管法・外登法と在日朝鮮人
253 在日朝鮮人にとっての国籍・戸籍・家旅(上)
267 在日朝鮮人にとっての国籍・戸籍・家旅(下)
287 外国人登録法と常時携帯義務制度(一 治安立法としての外国人登録法/外登証常時携帯制度の機能/三 外国人登録制度のねらいは朝鮮人外国人登録制度の推移/ 日本人にとっての外登法問題)
302 在日用先人の指紋押捺拒否の歴史(指紋制度の前史/”協和会手帳”の再現/一九五二年の外登拒否闘争/二重登録はそんなにあったか?/共通した指紋制度への怒り/指紋押捺拒否事例)
318 朝鮮人に対する同化政策の歴史と現状(意見書/鑑定書要旨)
331 在に外国人管理の歴史と現在(在日外国人管理の思想/人権を保障されるのは「国民」だけ/強制退去条項はなぜなくならないのか/名ばかりの「永住」許可/生存権を脅かされる在日三世、四世/同化か、追放か/在日朝鮮人の闘いを支援する意義/制度的差別の解体に向けて/日本社会のオルタナティブとは)
第4章 在日朝鮮人と日本社会
351 金嬉老への判決を支えた日本社会(「健全なる常識」?/警察の「論理」/マスコミの役割/誰からの被害者か?)
365 金嬉老裁判の現在
374 私における呉林俊氏の肖像
381 論文「自立した関係をめざして」に対する私の意見
389 論文「朝鮮統一は在日朝鮮人問題を解決するか」に対する私の意見
405 定住外国人県民の生活とニーズ――「県内在住外国人実態調査」を終えて(はじめに/定住外国人と民族差別/「見えない外国人」/当事者の実存的真実/職業構成と民族教育へのニーズ/おわりに――自治体と県民の責務)
412 「指紋」の闘いは終わっていない(”指紋”問題とは/人権としての”指紋”/国側が固執するわけ/民族差別としての指紋制度/欧米人拒否者の気持/「共に生きる」ために)

427 「在日朝鮮人論」解説 佐藤信行
439 解題――初出誌その他 佐藤信行