【読書記録】『風の陣 第三弾<天命篇>』高橋克彦著 (original) (raw)

こんばんは!

都内在住アラフィフ主婦のnicoです。

ひとり時間を楽しんでいます。

**高橋克彦**著、

『**風の陣**

**第三弾<天命篇>**』読了。

奈良時代の小説一覧はこちら

『風の陣』シリーズは

高橋氏の「**蝦夷四部作**」の

一作目です。

**恵美押勝の乱**を題材とした

「**風の陣 第二弾<大望篇>**」に続いて

第三弾となる本作では

いよいよ怪僧・**道鏡**が

孝謙上皇の寵愛を後ろ盾として、

権力を一手に握りつつ暴走し始めます。

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恵美押勝藤原仲麻呂)が討伐され、

淳仁天皇押勝と結託していたとして

上皇により淡路に追放された後、

内裏には上皇道鏡に逆らう者は

いなくなりました。

主人公の蝦夷・**道嶋嶋足**

(みちしまのしまたり)も

討伐の功によって従四位下へと

破格の昇進を果たしますが、

役職は補佐的な色合いが強い

近衛府の員外中将となります。

いわゆる閑職に追いやられており、

道鏡からは扱いにくい者と

見なされてしまいました。

そんな中、

嶋足の最愛の女性・益女(ますめ)が

道鏡に利用されて殺されてしまいます。

欲望のままに人を利用する道鏡に対し、

嶋足は私怨を抑え、

相棒・物部一族の天鈴とともに

本作でも陸奥を守ることにかけて

画策します。

そして、765年、

重祚した称徳天皇によって

道鏡を「法王」に据えるという

勅が出されます。

政界および仏教界の頂点であり、

信じがたい勅であったため、

内裏の中で不安が広がります。

さらに道鏡は「法王」では飽き足らず、

とうとう「帝位」を狙い始め、

**宇佐八幡宮神託事件**が起こり、

次作に続きます。

一方で

都から遠く離れた**陸奥**では、

朝廷が蝦夷との境界線を広げるべく、

国府多賀城から更に北の

伊治城を造営します。

そこは蝦夷の首領、

伊治鮮麻呂が治める領地。

多賀城への出仕を断り続け、

朝廷とは距離を置いていた鮮麻呂ですが、

この時から朝廷に仕えるようになり、

その他の蝦夷も内裏に恭順を

示すようになります。

その結果、

769年の称徳天皇による新年の饗宴に

蝦夷の主だった者が列席を許され、

位や下賜品が授けられました。

これまでの敵対や蔑視から考えると、

大変な厚遇であり、

蝦夷にとって意義深いこととなります。

黄金を目当てとした朝廷側の搾取に対し、

蝦夷は忍耐を重ねつつも、

両者の関係性はどうなっていくのか、

次作を読み進めようと思います。

最後までお読みいただき、

ありがとうございました!

高橋克彦氏の「**蝦夷四部作**」●

2~4は「**陸奥三部作」と言われ、「風の陣」を入れて「蝦夷四部作**」と言われているそうです。(↓ 時代順)

1.「風の陣

第一弾<立志篇>

第二弾<大望篇>

第三弾<天命篇>

第四弾<風雲篇>

第五弾<裂心篇>

2.「火怨

火怨 上

火怨 下

3.「**炎立つ**」

壱 北の埋み火

弐 燃える北天

参 空への炎

四 冥き稲妻

伍 光彩楽土

4.「天を衝く

天を衝く(1)

天を衝く(2)

天を衝く(3)

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