NJとは何? わかりやすく解説 Weblio辞書 (original) (raw)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/08/29 02:21 UTC 版)
日本自動車工業時代からのブランド。車名は、日本自動車工業の社名のローマ字略称によるものである。日本自動車時代の1953年(昭和28年)設計になるRRの前期モデルと、日本軽自動車となってからの1955年(昭和30年)に開発され、「ニッケイ・タロー」に改名したFRの後期モデルに分けられる。本項ではリアエンジンの前期モデルについて解説し、後期モデルについては「ニッケイ・タロー」の項目で記述する。 前期型NJ号は、黎明期の軽自動車の例に漏れず、設計の難易度が低い2座席仕様で、オープンボディを採用していた。構造面の特徴としては、リアエンジン方式、四輪独立懸架、フロアパネルおよびサイドシルによるオープンタイプのセミモノコック構造を採用していたことが挙げられ、設計自体は野心的なものであった。 簡易なモノコック構造という制約から、サイドシルは高く作られており、その分ドアが小さくなっている。また全長2,910 mmに対し、ホイールベースは1,650 mmと短めで、モノコックの強度確保と、リアオーバーハングへのエンジンスペース確保の意図が伺える。 リアエンジン・リアドライブ方式の採用により、後輪に独立懸架を採用することが必須となり、合わせて前輪も独立式とされた。これらは前後ともコイルスプリング支持で、ショックアブソーバーも備えていた。タイヤサイズは4.00-12で、12インチという当時としては小径タイヤの採用で、一定のスペース節減を成し遂げている。ブレーキが後輪のみで機械式ドラムブレーキであったことが簡略措置の最たるものと言える。 エンジンは強制空冷の90度V型2気筒で、縦置きである。V型2気筒は、後年4輪軽自動車では廃れたレイアウトであるが、1950年代前期、オートバイやオート三輪などの小型2気筒4ストロークエンジンでV型2気筒配置を採用することは、トルク確保や振動抑制の面での妥協策としてむしろ一般的であった。 1954年(昭和29年)まで2ストロークよりも軽自動車枠排気量制限の緩かった4ストロークエンジン採用で、排気量は規格一杯の358 ccとされた。潤滑機構はドライサンプ式を採用した高度な内容で、日立ソレックス22HD-1キャブレターを装備、12 PSの出力を確保し、トップが直結(1.00)の3速手動変速機を介して最高速度70 km/hを公称している。最終減速機は傘歯車式でなく、戦前は使用例も多かった旧式なウォームギアが用いられ、6.5:1の比較的大きな減速比を得ているが、ギアボックス(変速比は1速3.62、2速1.86、3速直結、後進5.00)、減速比14:1のウォーム&セクター式ステアリング機構ともども、一切が当時のダットサンと同一、ないし近似数値・同一機構で、歯車切削は高コストになるため市場で流通していたダットサン用補給部品を流用し、リアエンジン用のトランスアクスルにケーシングした可能性が高い。ダットサンは日本で戦前から生産されていた数少ない国産小型4輪車で、パーツはメーカー純正・社外コピー品とも入手しやすかったことから、NJに限らず、この時代の日本の少量生産車での流用例がみられる。 ボディは手叩きながら丸みを帯び、フロントノーズにはバンパーと対をなすようにクロームめっきの飾りが施されていた。小関和夫はこのフロントスタイルについて、(当時、フィアットの輸入ディーラーであった)日本自動車との関連による、初代フィアット・500(トポリーノ)後期モデルの影響ではないかと指摘している。 もっとも、フロントウインドシールドは中央にピラーの立った2分割式で、その両脇にはアポロ式腕木ウインカーが付き、ワイパーは運転席側のみ装備で、かなり簡易であった。ドアにはガラス窓はなく、幌を架けた場合には内側からセルロイドを張って風除けにするという最低限の仕様だった。 名目上商用車登録できるように金属バーで助手席側を区切って貨物スペースにできると共に、リアのエンジンフード上にも不格好な金属製のフェンスが作られ、荷物ラックとなっていた。エンジンフード後部垂直面は空冷エンジン冷却のため一面に横ルーバーが切られ、当時の汎用部品である尾灯、ブレーキ灯、ナンバープレート灯を兼ねたランプが下部中央に1個装着された。 全長/全幅/全高 - 2,910 mm/1,200 mm/1,200 mm ホイールベース - 1,650 mm 自重 - 410 kg エンジン - 「VA1形」強制空冷4ストローク 90°V型2気筒OHV 358 cc 圧縮比7.0 最高出力/トルク - 12 PS/4,000 rpm 2.3 kgm/2,600 rpm 最高速度 - 70 km/h
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