甲山ぐるぐる (original) (raw)
あまりかぜです。
大統領選真っ只中によく公開したな、と思う映画を観てきました。
感想は基本的にネタバレです。
■オススメ度
◯ です。
☆: 是非とも劇場へ。傑作
◎: できれば大画面で
◯: 映画ファンなら見る価値あり
△: 無理して見なくてもヨシ
■感想
IMAXで観る必要はあまりないと思います。
ネットの評価を見ると賛否両論ですが、どちらの意見もあり、という気がします。
”Civil War”は、ストレートに国民同士の戦いってことですね。つまり内戦、そこから転じて南北戦争も意味します。
銃を持っている者は相手を殺してもいいという感覚は平和ボケの日本人からすれば、かなり理解しがたいものです。だから、「なんて醜い映画だ」、「何を言いたいのかわからん」という評があるのは無理はありません。
一方、今まさに起こっていることをアメリカで再現しただけと捉えると、紛れもないリアルな世界の現実を描いています。いくらニュースを見たところで、決して判らない。地震の惨状と似ている気もします。単なる映像ではなく、映画なら多少でも共感できると。
とはいえ戦いが終わったことで、結局、醜い出来事は埋もれていくに違いありません。
殺されるに違いない大統領にインタビューする意味を問われた主人公リーの「記録に残すため」と言う答えは印象的です。ジャーナリズムの本質はただ記録することだと信じるリー。その思いは若者たちに引き継がれていくのがわかるラストシーンでした。
セットはロケをしたのかと思わせるぐらい見事な出来だし、相当金がかかっているんだと思います。ホワイトハウス前での戦いは見どころです。ただ、音楽にはかなり疎いので、挿入される歌のセンスがいいのか悪いのか、判断できませんでした。
『スパイダーマン』のヒロイン、キルスティン・ダンストも40歳オーバー。貫禄ある演技を見せてくれます。相方の若者にケイリー・スピーニー。見た目幼すぎますがほぼ実年齢だそうです。頑張っていても、ダンストや他のベテラン俳優陣の前ではやや霞んでしまっています。
↓アレックス・ガーランド監督の秀作です
あまりかぜです。
折しも巨大資本で作られた真田博之の『SHOGUN 将軍』がエミー賞18冠を達成し、本物の時代劇が注目されている中、拡大公開された邦画を観てきました。
感想は基本的にネタバレです。
■オススメ度
◎ です。
☆: 是非とも劇場へ。傑作
◎: できれば大画面で
◯: 映画ファンなら見る価値あり
△: 無理して見なくてもヨシ
■感想 単館から始まり、シネコンにまで上映館が拡大していった過程が製作費300万円とされる『カメラを止めるな!』とそっくりというネットニュースもありますが、『カメ止め』のようなどんでん返しを期待すると肩透かしを食らうかもしれません。面白さの質が違う作品です。
腕に自信がある無名の下級藩士が現代にタイムスリップするという、コメディタッチのヒューマンドラマで、話自体は王道そのものです。ラストシーンもカメラ位置から、オチは予想できました。
ですが、クライマックスの真剣を使った殺陣シーンは圧巻で、目が離せません。
両者微動だにしない静止から始まる連続立会い。斬られ役の大部屋俳優が「本物の侍だ」と声を上げるのもわかる気迫と緊張感。竹光で行うチャンバラとは全く違う凄さがあり、見事というほかありません。ここは見どころです。
彼らの「精一杯生きるしかない」という言葉から、どんな時代でも、たとえ理不尽な状況であっても、できる限り人として正しいことを行っていくことで、前向きに生きていくことができるというメッセージを感じる映画でした。
もちろんインディーズ ゆえの欠点もあります。ヒロインがミスマッチというか、物足りなく感じました。舞台が同じだった朝ドラ『カムカムエヴリバディ』が脳裏にチラついて、どうにも魅力的に感じられなかったのです。京都人なのに、いい人すぎるというか。最後まで助監督の仕事に徹していた点は良かったと思いますが。
キャストもスタッフもエンドロールに何度も同じ名前が出てくるのを見て、超低予算で作られていることを実感します。
たとえ、本業が米農家の監督だろうと、有名俳優はいなくとも、日本の時代劇も決して捨てたものではありません。
ぜひ2作目が作れるくらいロングランを続けてほしいものです。
↓こんなのも書いてます
あまりかぜです。
21世紀FOXをディズニーが買収して実現した夢のコラボ?映画を観てきました。
感想は基本的にネタバレです
■オススメ度
◯ です。
☆: 是非とも劇場へ。傑作
◎: できれば大画面で
◯: 映画ファンなら見る価値あり
△: 無理して見なくてもヨシ
■感想
2人の死なないキャラがどのように共闘するのかが見どころの一つです。
ちなみに『デッドプール2』と『LOGAN/ローガン』を観ていないと話がよく見えてきません。
20世紀FOXのロゴの扱いがぞんざいだったりするけど実は、買収で続編企画が潰れたヒーローがスクリーンに復活できたわけで、ちょっと複雑です。
面白かったのは虚無ヒーローとしてブレイドが出てきたこと。演じるのはもちろんウェズリー・スナイプス。「ブレイドは俺一人だ」なんて言わせてて笑えます。
それにしてもディズニーの名のもとに公開される映画とは到底思えない、下品なセリフのオンパレードでした。『デットプール』なんでこれくらいは当然ですが。このセリフのままでTV放映はできないでしょうね。
共闘する敵は誰なんだろうと思っていたらプロフェッサーXことチャールズ・エグゼビアの双子の妹。コミックには登場しているキャラとか。兄同様、強力な超能力者なのになんかすごく残念な扱いでした。これからのMCUにも登場すべき敵役じゃないのかな。
それはそうと100人のデップーはどうなった?ローラが元世界に戻っていたから、TVAによって虚無へ送られたんでしょうか。
本作だけでX-MENシリーズが継続されるのかを判断するのは時期尚早だと思いますが、結構好きなんでまた見てみたいです。
↓こんなのも書いてます
あまりかぜです。
日本でも大ヒットした『マッドマックス 怒りのデスロード』に続く作品を見てきました。
感想は基本的にネタバレです。
■オススメ度
◯ です。
☆: 是非とも劇場へ。傑作
◎: できれば大画面で
◯: 映画ファンなら見る価値あり
△: 無理して見なくてもヨシ
■感想
ギリギリ合格点の番外編でした。
フュリオサの左腕がない理由や、砦の中で生き延びてきた理由、マッドマックスがどうしていたのかといった、
ファンが想像していた前日譚をネタバレしてしまいました、という感じです。
www.youtube.com ※なぜか吹替版の予告ありません!
イモータン・ジョーと敵対するお喋りなディメンタスのラストシーンは、無口で決して冷酷非情ではないフュリオサらしいケリのつけ方で、なかなか面白かったです。
ただ、彼女がウォーボーイズとしてどうゆう風に成長していったかは、語られないので、ちょっとモヤモヤします。イモータンの息子に気に入られていたとしても、苦難の連続であるはずです。
この辺り、ジョージ・ミラー監督はフェミニズムに理解を示しているということなので、特に未成年への暴力などは控えたと見るべきでしょう。
本作は車よりバイクスタントが中心なので、アクションの見ごたえは前作に及ばないのですが、(ウォーボーイズの)スタントは本当にハラハラする場面が多かったと思います。
男どもができなかった砂丘の壁越えをフュリオサがやってのけるシーンは胸熱でした。
www.youtube.com どう見てもアクションスターには見えません
そうは言っても、見たかったのはやっぱりマックスの話。
平日の最終回とはいえ、劇場はガラガラで、興行成績も振るわない様子です。
三部作の終章はマックスの物語となるようですが、果たして予定通り制作されるのでしょうか?
[rakuten:hmvjapan:25562629:detail]
あまりかぜです。
マイ フェイバリット マンガである 『乙嫁語り』(森 薫) の原画展が姫路市の姫路文学館で開催中なので、見てきました。
2022年には京都で開催されたそうです。
西宮からだとJRか阪神・山陽電鉄で乗り換えなしで行けます。
おトクに行くには阪神・山陽 シーサイド1dayチケットを。三宮にも途中下車できて便利です。
こちらは阪神・甲子園駅で買いました。
サクッと到着。
姫路城は外国人観光客ばかりですが、ここ姫路文学館には1人もいませんでした。
建物周辺の登場人物パネルは撮影スポットです。
カメラの性能と写真の腕が良ければ、壁紙になりそう。
╭━━━━━━━━━╮
『大乙嫁語り展』
巡回展 #姫路 会場
スタート🎉
╰━━━v━━━━━╯#乙嫁語り の世界観をお楽しみください。#姫路文学 にて本日より6/23まで❣️#大乙嫁展 #乙嫁語り #森薫 pic.twitter.com/k7h5Xb6nCr— 大乙嫁語り展【公式】 (@daiotoyome_ten) 2024年4月27日
本当に細かい書き込みで、原稿用紙が普通より小さいんじゃないかとさえ思ってしまします。しかも見開き原稿でも2,3日で仕上げてしまうと。驚異的です。
それ以上にすごいのはカラー原稿。これまた手書きで絶妙な彩色によって衣装の陰影を表現したり、刺繍の白の輝きにもこだわって再現したりと、圧倒されます。
マンガ家ってほんとすげー。
↓販売品の複製原画。
https://x.com/himeji_bungaku/status/1790548014362497053
森薫氏はかぶらペンとGペンを中心とした手書き原稿にこだわる理由を
・そのほうが早い
・気持ちがのる
と答えています。特に間に(デジタル機器を)挟むと、心が伝わらないとか。
なるほど。
でも森氏には申し訳ないですが、大画面で楽しめる電子書籍が良いです。パラパラ読める単行本も捨てがたいですが、どうしても縮小されちゃうから絵の迫力は感じにくい。
最新15巻がこの夏出る噂もあるみたい。待ち遠しいですね。
あまりかぜです。
クリストファー・ノーラン監督の最新作、見事にオスカーに輝きました㊗️
感想は基本的にネタバレです。
■オススメ度
◯ です。
☆: 是非とも劇場へ。傑作
◎: できれば大画面で
◯: 映画ファンなら見る価値あり
△: 無理して見なくてもヨシ
■感想
原爆の父と呼ばれた理論物理学者オッペンハイマーの半生を描いた作品です。
主に後半展開される監督独特の密室劇とも言える演出にはちょっと戸惑いました。
オッペンハイマーの主観はカラーで描かれ、観客は映画を通して彼の頭の中を体験していきます。対して戦後、商務長官を狙ったストローズのシーンはモノクロです。
この時系列がたびたび前後するので、暫くよくわからず、疲れました。
数学のようには扱えない政治力で、ストローズに苦戦するオッペンハイマー。
映画ではストローズの一方的な逆恨みにしか見えませんが、ホントのところはわかりません。
実際のオッペンハイマーはかなり振れ幅の大きい人物だったらしい。戦後も原爆について肯定的な発言もあったそうです。
爆弾に対する彼の苦悩や葛藤は、かなり誇張されているみたいですね。それよりも彼は世界をどう見ていたのか、そこが大きな「問い」だと感じました。
監督が「問い」を意識しているのは周知のことで『バットマン ビギンズ』や『インセプション』に出た渡辺謙も
「(問いが)常に映画の中にたゆたっている」
と述べています。
また核兵器の破壊力や非人道性といった恐ろしさにZ世代の若者があまりに無関心であることに不満があったそう。その証拠に、妄想の中で核に焼かれる若者を演じているのは監督の娘だそうです。
自分の手が血塗られてると言ったオッペンハイマーに対し、トルーマン大統領が言った言葉にも注目ですね。
「日本人は誰を恨むと思う?爆弾投下を決めた私だよ!」というセリフ。原爆投下が対ソ連用の脅しでもあったのは歴史的事実ですし、日本人の被害よりも自身の力を誇示したかったという事でしょうか。イギリス出身である監督からアメリカへの皮肉にも聞こえました。
原爆よりもはるかに強力な水爆開発には反対しつつも、核の拡散を見通していたオッペンハイマー。
知ってしまったら元には戻れないというノーラン監督のテーマを具現化するには格好の人物だったのでしょう。しかし映画からオッペンハイマーのことが解ったと思うのはどうでしょう。
凡人に解るのは、せいぜいノーラン監督の思いの一端ではないのかな。
↓こんなのも書いてます。
あまりかぜです。
『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』でもお馴染みティモシー・シャラメが前作に引き続き主役です。
感想は基本的にネタバレです。
■オススメ度
◎です。
☆: 是非とも劇場へ。傑作
◎: できれば大画面で
◯: 映画ファンなら見る価値あり
△: 無理して見なくてもヨシ
■感想
IMAXで鑑賞しました。
映画を観るなら映画館!という人ならこの上なく満足できると思います。前作以上に見応え充分、呆れるほど美しい砂漠の景色、大迫力のサンドワーム。
ただし、物語は完結せず、またもや次回に続くという終わり方でした。
そもそもが壮大な物語である「デューン」。3部作程度では終わらないかも知れません。
84年のリンチ版でスティングが演じてたフェイド-ラウサも登場。ナイフでの決闘シーンはなかなかリアルでした。
フェイド-ラウサ
真のフレメンとなるであろうポールの妹の大人の姿は今回ちら見せだけ。
女だけの秘密結社がいよいよ暗躍し始め、単なる大領主との戦いでないと予感させるのも◯
フェイド-ラウサの子を宿す秘密結社の女
ビジュアル的に白人とかローマ帝国 vs イスラムやアラブ民という史実や世界状況を強く反映されていた感じで、そこにはあざとさもあるし、振り返ると、果たして160分を超えて見せるほどのストーリーだったのかなと思ってしまいます。
また編集がかなり雑に感じます。ポールが砂漠超えを試されるシーンなんか戻るシーンがないし、ポールが砂の民を率いて首都を奪還するまでもやけに短いです。
これはディレクターズ・カット版があるだろうと想像します。
それでも、袂を分かつことになったチャニのラストショットは印象的だし、見て損はなかった作品でした。
どうなるこの二人
↓こんなのも書いてます
あまりかぜです。
歌を通してヤクザと中学生の奇妙な関係を描くファンタジックハートフルコメディです。
感想は基本的にネタバレです。
■オススメ度
◯ です。
☆: 是非とも劇場へ。傑作
◎: できれば大画面で
◯: 映画ファンなら見る価値あり
△: 無理して見なくてもヨシ
■感想 劇場で観るのはある意味よし悪しです。
歌へたヤクザの狂児を演じる綾野剛が決してへたではないのがわかってしまうのです。
そもそも出てくるヤクザ役の方々、みなそんなに音痴でもない。無理しているのよくわかります。ここはマイナス。
狂児の相方を務める中学生、総実に齋藤潤。オーディションで選ばれた16歳。合唱部のソプラノパートなのに変声期に悩み、ヤクザを通して垣間見る大人の世界に翻弄される中学生という役どころです。
X JAPANの「紅」の高音をギリだせる男の子という絶妙のタイミングをうまく演じています。
現実には、昔と違ってヤクザと関係を持つのは相当リスクが高い訳で、そこをあえてスルーしてるのはファンタジーですね。
ただ、狂児が常識人の様に振る舞ったり、捨て犬よろしくずぶ濡れになるのを見るとほっとけなくなるのも解ります。
原作マンガはBL要素濃いめらしいです。映画の方も愛とは、と問うてげんきおまもりを渡そうとするなど、それなりのシーンはあるものの、中学生にあるあるの青春シーンとしか思いませんでした。ラストの熱唱には「愛」を感じるけれど。
合唱部から逃げ込む先が、再生しかできないビデオデッキで白黒映画を観る部、てのは映画ファンに刺さります。きっと亡くなった先生の遺品なんでしょう(ネット情報によれば白熱、カサブランカ、三十四丁目の奇蹟、自転車泥棒とのこと)。
卒業式後にすべてのテープを巻き終える演出も素敵です。
— 映画『カラオケ行こ!』公式 (@moviekaraokeiko) February 10, 2024
作品の舞台は大阪の下町ですが、ロケ地は関東。どおりでミナミ銀座の空気感が大阪とは違います。これも劇場で観てこそ感じるというもの。
それにしても「紅」(の冒頭)って、こんな歌詞やったんやー。
ハートがめちゃ痛い
あんたが去ったとき、俺は振り返られへんかった
追いかけてしまいそうで怖い
あんたのマボロシ見てもうて、真実見つけに真っ暗な街を走ったでー
記憶の中のあんたは、俺の心の中で光ってるでー
ピカピカやー
↓こんなのも書いてます
あまりかぜです。
役所広司さんがカンヌ最優秀男優賞を取った映画を観ました。
感想は基本的にネタバレです。
■オススメ度
◯ です。
☆: 是非とも劇場へ。傑作
◎: できれば大画面で
◯: 映画ファンなら見る価値あり
△: 無理して見なくてもヨシ
■感想
劇場で観ることをお勧めします。
驚きが2つありました。まず4:3という画面比率。なんでだろうと思ったら写真のL判とほほ同じサイズ。これに気づいた時は唸りました。
2つ目は渋谷区公衆トイレのデザイン。著名な建築家やデザイナーがデザインしたそうです。そもそも映画はこのトイレの認知度を上げるために企画されたみたい。こんなの見たら行ってみたくなるでしょ。
超寡黙な男が見せるラストの3分ぐらいの長回し。役所広司の笑みがやがて泣き顔になる表情の変化。これを撮ったカメラマンは泣き出したそうです。
いや見事です。
劇中の「今は今、今度は今度」「変わらないなんてことはない」というセリフやキーとなる影と木漏れ日が印象的でした。
男は風呂なし安アパートで、70sのカセットテープを聞き、フィルムカメラを愛用します。質素を超えてレトロを地で行く暮らし。さすがに濡らした新聞紙で畳を掃く(役所の母親がやっていたらしい)のはやりすぎな気がしました。おそらく彼は元経営者一族で、父親と埋めがたい断絶ができ、家族と離れたんじゃないでしょうか。そして彼が行きついたのは、運転手付きでやってくる妹とは別の世界だったというわけ。繋がっているようでそうじゃない都会の姿です。
ヴィム・ヴェンダース監督はトイレにあるはずのリアルな現実は見せない。汚物だってあるだろうし、ゴミや落書きももっとあるはず。それらを撮らなかったのは監督の考えか、それとも渋谷区への忖度か(共同脚本は電通の方)。自転車の飲酒運転も気になるといえば気になります。
とはいえ。この映画は人間ドラマを装ったある種ファンタジー映画。そう思うとしっくりきました。
↓こんなのも書いてます
↓寝落ち推奨本
↓もっと評価されるべき。でも100円
↓姪っ子がお気に入り
あまりかぜです。
年末年始はNetflix三昧だったので、2024年最初は、昨年配信されたオリジナル作品を評価したいと思います。
まずは、最新の話題作。
◆『Rebel Moon パート1 炎の子』
ザック・スナイダー監督によるSF大作。まんま『七人の侍』です。そこに『スターウォーズ』とか『アバター』のエッセンスを加えて出来上がり。画面から伝わる圧は強いんですが、いかんせんストーリーがつまらない。監督によればディレクターズカット版は別物とか。なら最初からそっちを配信してくれ。
◆『ポケモンコンシェルジュ』
短いのでさくっと見れるストップモーションアニメ。
天国のような職場。転職できるなら絶対手を挙げてます。羨ましいです。
ポケモンの手作り感や、背景や小物の細部に至るまで造りこみが凄い。ストップモーションアニメの神髄を見た気がします。
◆『ブルー アイ サムライ』
外国から見た昔の日本。これはびっくりしました。日本人より時代劇を勉強して理解しているかもしれません。キャラクターに好き嫌いが出そうですが、底辺の人間たちの扱いと演出が見事です。
↓で第1話まるまる視聴できます。
◆『ノーウェア: 漂流』
スペインのサバイバル映画。女優さんは頑張っていますが、やはりちょっと都合よすぎるかな。でも、こういうワンシチュエーション映画は嫌いじゃないです。
↓こんな記事も書いてます
あまりかぜです。
年末に熱を出してしまい、体調いまいち。
さて、今年印象に残った本の紹介です。
◆『爆弾』呉勝浩
判っていながら止められない爆弾。
強烈なキャラクターたちの頭脳戦も痺れます。久しぶりにヒリヒリする小説でした。
一見平凡な、ド直球のタイトルも秀逸です。
◆『本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第五部「女神の化身Ⅻ」』香月美夜
ついに完結。最後は電子書籍ではなく、紙の本を入手しました。紙だから意味があるんです。
最終巻は全体のエピローグ的な内容なので、それほど語るべきものはないんですが、とにかくついにここまで来たか、という満足感が詰まっている一冊です。
マンガ化やアニメ化はまだまだ続いていくようなので、ファンにはたまりませんね。
言わずと知れた手塚治虫の『鉄腕アトム』のエピソードを浦沢直樹が新たに解釈し直したマンガ。
傑作です。今年アニメ化もされました。
実力ある漫画家がこうして過去の名作を引き上げ、リメイクしてくれることで、私たちも知ることができるわけですから、ありがたいことです。
次点にもう一冊
◆『シャドー81』ルシアン ネイハム
ジャンボ機が謎の戦闘機にハイジャックされる、というミステリー小説です。
古典ミステリーの名作として必ず名前が出てくる一冊ですがようやく読みました。
確かに名作と呼ばれるにふさわしい作品です。
デジタル社会の今、この小説を凌駕するには、作家はかなり勉強する必要があるんじゃないでしょうか。
↓こんな記事も書いてます。
あまりかぜです。
有名な”白馬にまたがるボナパルト”に描かれているナポレオンは全くの別人だそうです。
感想は基本的にネタバレです。
■オススメ度
△ です。
☆: 是非とも劇場へ。傑作
◎: できれば大画面で
◯: 映画ファンなら見る価値あり
△: 無理して見なくてもヨシ
■感想
アップル提供のTVシリーズの総集編だと言われたら納得してしまいそうです。
そもそもフランスの歴史をアメリカ人とイギリス人監督が再現しているので、違和感はかなりあります。当のフランス人はどう思っているのでしょうね
ナポレオンの最期の言葉は「フランス、陸軍、ジョゼフィーヌ」だそうですが、その言葉どおりの映画でした。というか、それだけでした。
あまりVFXに頼っていないであろう戦闘シーンは壮観ですが、そこは見どころじゃなくて、結局ナポレオンとジョゼフィーヌの2人が中心のお話でした。
一人の女を愛する男を描くことで、英雄と呼ばれた男とのギャップを見せたかったのでしょうか。
彼がなぜ英雄なのか、なぜ皇帝にまでなれたのか、どれほど国民たちに愛されたのかとかは全く解らないまま。
映画の中盤以降は、とにかく駆け足なので出てくるエピソードもほとんど消化できないまま。登場人物も誰が誰なのか理解できないまま。ジョゼフィーヌの連れ子はどこいったんでしょう。
↓こんなのも書いてます
あまりかぜです。
これから見ようという人は、ぜひ音の良いスクリーンで、明るくなるまで席を立たないで頂きたいです。
感想は思っきりネタバレです。
■オススメ度◎です。
☆: 是非とも劇場へ。傑作
◎: できれば大画面で
◯: 映画ファンなら見る価値あり
△: 無理して見なくてもヨシ
■感想
CGで描かれたマッチョなゴジラ。熱線を吐く前動作としてセーフティを解除していく様もなかなか良いです。このVFXと監督を担うのが(株)白箱の山崎貴。
www.youtube.com
『ゴジラ-1.0』は山崎監督がこれまで培ってきたVFX技術、海洋モノ、戦後モノのといった映画の集大成的な作品だと思います。
今回ゴジラに挑むのは自衛隊でも米軍でもない元軍人たちです。『キングコング対ゴジラ』のオマージュ的なバルーンも出てきます。
海神(わだつみ)作戦のBGMは「ゴジラのテーマ」。伊福部ミュージックはもはやゴジラのデザインと同様、アイコンですね。
作戦の肝となるのがゴジラを陽動する戦闘機。てっきりお役御免の艦上複葉機でも出てくるのかと思ったら、より画面映えする局地戦闘機・震電でした。
後端がプロペラなので極めて難しい離陸を一発で決め、しかも意のままに操縦する主人公の敷島。実は天才パイロットでなんです。
他にも容器やケーブルの強度はどうなの、とか陽動艦隊死んでるよ、とツッコミたいところはあれど、なんとなく納得するのがゴジラ映画です。
しかしゴジラの最期へのシーンには賛否あるでしょう。軍人の性なのかもしれませんが、全員が敬礼する必要ないと思います。
そしてやっぱり生きていたヒロイン。東宝の秘蔵っ子を簡単に消せるはずはないとは思ってましたが、かなり無理があります。
(小説版によればG細胞に侵食され生き残ったらしい。そこまでは読み取れないよ)
さて、山崎監督が考えるゴジラとは何か。映像にいろいろヒントはあると思いますが、一番はエンドロールの最後、真っ暗闇で聞こえる足音と咆哮でしょう。劇場でのこの体感こそ、ゴジラだと思います。IMAXで観れてよかった。
ありがとうIMAX。
そういえば橋爪功いましたよね。クレジットになかったけど。
↓こんなのも書いてます
あまりかぜです。
ちょうど浦沢直樹x手塚治虫のマンガ『PLUTO』を読んでいたので、ものすごい既視感に驚きました。
感想は基本的にネタバレです。
■オススメ度
◯ です。
☆: 是非とも劇場へ。傑作
◎: できれば大画面で
◯: 映画ファンなら見る価値あり
△: 無理して見なくてもヨシ
■感想
SF映画の火を途絶えさせてはならない、そんな意気込みで作られた作品らしいです。
脚本と監督は『GODZILLA』『ローグ・ワン』のギャレス・エドワーズ。日本好きの監督なら、きっと手塚のアトムも知っているでしょう。
舞台は東南アジア、渡辺謙も出演しているせいか、あちこちに日本語やロケ地の言語が散りばめられています。
英語圏の人から見れば言葉が通じない異国の風景は、まさに人知が及ばないAIのロボット世界とダブるのかもしれません。
冒頭で米軍の大佐がネアンデルタールには文化があったがホモ・サピエンスが滅ぼしたと話します。我々こそ生き残る側だというわけですが、ロスに核が落ちたことでAIロボットを憎み抹殺しようする様は、単なる国家エゴの争いと変わりません。
一方、ニューアジアではロボットと人が家族として暮らし、僧侶さえ存在しています。それは決して「共存」ではなく「共生」です。これこそ手塚治虫が20世紀に思い描いた未来でしょう。
© 2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.
映画は人類VSロボットの戦争という体裁ですが、西洋と東洋、一神教と多神教のという価値観の戦いという側面もあります。
このロボットたちが実に古典的。アルフィーと呼ばれるロボットだけ特殊な力を持っていますが、他の人型ロボットは穴が空いたくらいでは死なないけど、人並の能力しか持っておらず、人が持つ武器で戦っています。その姿にベトコンを重ねる人は少なくないでしょう。そして現実世界では、民主主義という大義を押し付けた方が負けています。
© 2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.
妻の居場所を知るアルフィーを助けるための行動が、結果としてロボットたちを助けるのことになっだけなのに、ついに救世主が現れた、みたいなラストシーンはやや安手です。彼女が成長してより大きな力を得た後に、ニルマータと呼ばれることになるのなら納得できますね。
また子供を連れたロードムービー的な場面もありますが、事が上手くはこび過ぎていて、逆に締まらなく感じてしまいました。
東京でも撮影されたそうですがどこに登場したんでしょう。地下基地潜入シーンか、ミサイルが飛ぶ街のシーンか。
あまりかぜです。
キアヌ・リーブスのガン・アクション・ファンタジーがついに完結です。
感想は基本的にネタバレです。
(R), TM & (c) 2023 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.
■オススメ度
◯ です。
☆: 是非とも劇場へ。傑作
◎: できれば大画面で
◯: 映画ファンなら見る価値あり
△: 無理して見なくてもヨシ
■感想
大阪、ベルリン、そしてパリを舞台にアクションの連続です。本人(59歳)のスタントシーンも多いみたいですね。
とにかく各パートのアクションシーンが長いです。それがこのシリーズの魅力でもあるから仕方ないのですが、特に大阪のホテルシーンは斬新さも少ないし、長すぎです。お約束のガラスの間での殺陣は、もっと短くて良かった。
(R), TM & (c) 2023 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.
しかし後半のシーンは一味違ってます。
凱旋門前なんか道路を封鎖して撮影したのかと思ったら、別の飛行場で撮影したらしい。つまり凱旋門も車もCGです。だからドローン撮影も思いのままなんでしょう。
となると、階段もCGなんだろうか。アパートのシーンもドローンが大活躍した演出。ここの俯瞰アングルは面白かったです。
ジョンと双璧の実力を見せる盲目の刺客ケインをドニー・イェンが演じています。紛れもなくアジアを代表するアクションスターなんですが、真田広之と同じく、もう60代。早く後継者が出てきてほしいなぁ。
決闘でのどんでん返しはなかなか良かったと思います。決死の掛けに勝ったジョン。生にしがみつくものは死ぬ、みたいなケインとの会話は何か、あうんの呼吸で意図を感じます。
↓こんなのも書いてますkabutoyamagr.hatenablog.com