漁書日誌 3.0 (original) (raw)

今年度後期から、金曜日に仕事が入ってしまったせいで、趣味展窓展は朝イチに駆けつけるにしても、他の古書展に関しては土曜日にということになってしまった。疲労とやらなければならないことばかりが堆積しなんともなあという感じである。色々とタイミングが悪い。そんな中、ある日22時過ぎに帰宅してみると、扶桑書房目録速報が届いていた。今からでは電話注文は無理だなあとザッとみて2点注文を入れる。翌々日に届いたのが鏡花の持っていなかった袖珍本。鏡花の方はもう売り切れでもう1点の方が来るかなと思っていたが、逆で、鏡花の方だけが届いた。

泉鏡花「銀燭集」(春陽堂大正9年10月25日初版函欠4000円

高橋啓介「江川・山本・野田の限定本」(湯川書房)昭和57年6月10日函3700円

鏡花の袖珍本はこれでだいたい揃ったかもしれない。もちろん、重版函欠の痛みがある本ばかりだが、ここいらへんは一応は所持しておきたい本である。で、もう1冊は扶桑とは関係なく、ネットで落札したもの。江川書房、野田書房の基礎資料として。革っぽいクロスかと思ったらちゃんと背革装だった。確かこれ、つけたりの小冊子のようなのがあって、それは前に安く買っていたので、これで揃ったということか。

そして先週の土曜日、和洋会古書展閉場1時間前くらいに会場に着いてざっと見て買った古本。

埴谷雄高「虚空」(現代思潮社)1964年3月30日2刷函300円

川上勉編「現代文学理論を学ぶ人のために」(社会思想社)300円

「虚空」は2刷だけれども収録の「標的者」を読みたかったため。もう1冊のお勉強本は帰宅したらとうに持っていたことが判明した。

月曜日、月曜の非常勤先の目と鼻の先にある本部古書会館で開催スタートした小栗虫太郎展を見にいく。

今日は9月20日である。都内最高気温は36度。もう残暑はやめてほしい。今日は後期から初めて非常勤をやる職場での初日でもあり、午前中のみで会場離脱という予定であった。新御茶ノ水駅に9時45分着。50分過ぎに古書会館に到着するともう下まで並んでいて階段の列に着く。そして開場。

会場入口に入って、いつものようにカゴを持って行こうとしたが複数のカゴがぴっちりハマって取れない、こんなことで時間を浪費するわけにはいかないしあとでとともかく扶桑棚に急いだのだが、その後しばらくして本抱えて入口のカゴのところに来てみるとカゴは全て出払っていた。失敗。収穫の本を手で抱えていると本当に不便である。

とりあえず目についたものを抱えていたが、後々のことを考え早々に手放したり。日夏の「明治大正詩史」函欠本上下2冊揃500円というのがあり(紺クロスで表紙中央に顔のやつ)、うちには戦後の増補改訂版3冊組があるけれども紙質悪いし元版でもいいかなと思って一瞬抱えたのだが、これを今日持って暑い中仕事行ってということを考えたら絶望的になり戻してしまった。

一度取置き品を帳場に預けて、コンビニでおにぎりを食べ、喫煙所で一服してから会場に戻り再度サッと見てからお会計。サッと一瞬見ただけだったが、リバースでちょっと面白いものがあって重そうなのに買ってしまった。ということで購入したのは以下。

森田思軒訳「十五少年」(博文館)明治32年11月18日4版補修1200円

与謝野晶子「新訳源氏物語 下巻一」(金尾文淵堂)大正2年8月21日初版函欠痛2000円

「十五少年」は前回もあってその時は戻したのだが、今回は前回よりちょっと安くなった印象で。中の落書きはいいとしても表紙周りの紙貼補強はちょっとキツい。新訳源氏はご存知中村弘光の木版装幀・挿絵で。

島村抱月訳「ペレアスとメリサンド」(現代社大正2年5月20日初版カバ欠300円

プラトン全集「カルミデス篇」(第一書房昭和12年7月10日新装版函400円

竹久夢二「砂がき」(時代社)昭和15年10月15日函欠1500円

抱月のは黄色いクロス装の後版は持っているがこちらが元版、近代脚本叢書の第3篇。おそらくカバーが外装だろう。プラトンのは背コーネル革天金の小型本。装幀に惹かれて。そして夢二のは夢二没後のものだが口絵に1枚多色刷木版あり。

川合春充「強い身体を造る法」(武侠世界社)大正5年8月1日初版カバ500円

これはカバー目的。ガン垂れカバー。しかも大正初期のボディビル本であるしなかなか興味深い。これ会計前に再度チラと棚見たらあったのでリバースものかなあと。しかしこんなカバー、書棚から出し入れしたり読書したりしているうちに必ず痛む。なぜこんな…と思ったが、そうか、最初から廃棄される前提の包み紙みたいな扱いなのかと。

ショヴォ(山本夏彦訳)「年歴た鰐の話」(櫻井書店)昭和22年3月25日4版カバ欠背欠300円

インジ(田島博訳)「ピクニック」(河出書房)昭和31年3月10日7刷カバ200円

立原えりか「恋する魔女」(新書館)1974年7月15日9刷カバ300円

鰐はどうしようかなと思ったが、横型の判型資料として。インジのは映画になった「ピクニック」の原作戯曲で前々から安く欲しかったもの。結構売れていたのだな。最後のはフォア・レディースのシリーズ。

川村二郎「日本語の世界15翻訳の日本語」(中央公論社)函帯200円

夏目漱石蔵書(洋書)の記録」(てんとうふ社)カバ帯500円

漱石のは前から安く欲しかったやつ。東北大学所蔵の洋書目録。「日本語の世界」は、ちょっと今仕事関連で必要かなというので。

しかし今回は、夢二と与謝野晶子があったのでかなりのお値段になってしまった。しかも重いし。これカバンに入れて炎天下歩き回って、寝不足のまま仕事して、今日は本当にぐったりした。

いつも窓展は朝イチなのであるが、今日は所用のために行けず、午後4時過ぎくらいに会場に到着。

まずはあきつ書店の棚を見てから、ざっと会場を一回り。明治10年代の雑誌が数種類あったんで参考資料として一つ買っておこうかと思ったが、結局戻してしまった。今日はあきつばかりではなく、けやき書店の棚も自分的には大当たりで、予想外に買ってしまった。今月は別に古本を買ってしまっていたので、なかなかにキツい。来週は趣味展もあるし…。

Webster's Practical Letter Writer, (Robert M. de Witt, 1866)200円

須藤南翠「一顰一笑 新粧之佳人」(文字堂)明治20年5月15日痛500円

Herbert Spencer : Representative Government(代議政体)明治18年4月100円

南翠のは表紙の石版に惹かれて。中の多色刷り石版もいい。森田思軒序文。ウェブスターといったら辞書だけども、こちらは手紙の書き方本。アメリカのボール紙表紙本として参考資料。スペンサーのは英文なのだけど、日本で出版されたもの。いくつもの本屋が集まって売捌きしているという出版。人気のある原書をそのまま日本で出版ということか。ベルヌ条約前年だからこそできた出版だろう。

加藤咄堂「読書法」(東亜堂書房)明治43年4月15日裸300円

中学世界臨時増刊「世界三十六文豪」明治38年9月20日裏表紙欠300円

咄堂のは咄堂叢書第1巻。もしかしたらこれ別版を前に買っていたかもしれない。

薄田泣菫「暮笛集」(金尾文淵堂)明治33年5月10日再版800円

薄田泣菫「暮笛集」(金尾文淵堂)明治39年5月1日3版800円

これは嬉しい収穫だった。再版の方は本文に一部カスレがあって読めない箇所があるから。3版は本文に朱筆で傍点多数、誤植箇所に訂正書き込み多数というもの。

三重吉全作集第9編「桑の実」(鈴木三重吉)大正5年2月10日函300円

日野月明紀編「ダヌンチオ名作選集」(内外出版協会)大正11年11月10日背欠100円

警察思潮社編輯局編「捜査資料 犯罪実話集」(松華堂書店)昭和7年10月8日7版

三重吉のは今更だけども、なんだか月報のような投げ込みが挟まっていたため。この紙片だけのために買った。ダヌンチオは奥付に特製定価しか記載がないので特製なのだろう。しかし背革装のほとんどが剥落してる。これは書き物用資料。犯罪実話は読み物用。

新生新派谷崎潤一郎名作公演パンフ(帝国劇場)昭和23年4月3日100円

吉行淳之介「星の降る夜の物語」(作品社)1954年11月25日初版カバ帯300円

「映画評論」(昭和34年7月)200円

新派の谷崎のは前々からたまに見かけるけれども、時代のせいか劣化しているものばかりで(今回のも周りが焼けている)どれだけ安く見つけられるかと思っていたもの。今日は珍しくあきつ書店の棚に昭和21〜23年頃の歌舞伎やら新派、新国劇なんかのパンフが結構あって、もしかしたらと思ったらあった。吉行のは持っているけど初版帯付でこの値段かと少し寂しく思いつつ購入。今こんな値段でも売れないのだろうな。

ということで、夕方に行ったのにこんなにも買ってしまって困惑気味でもある。といううのも、次のような本を買ってしまったからである。

吉井勇「天彦」(甲鳥書林昭和14年10月30日限定版帙付5500円

この特装版は、ちょっと珍しい装幀でこれも原稿用資料。甲鳥書林の第1号出版物。なんやかんやで結構浪費してしまっている。おそらく仕事からの逃避の一種だと思う。

先週末、愛書会と五反田遊古会古書展とがあった。土曜日は行けそうにもなかったので金曜日は何とかふたつ回れるかと向かったのだが、結局はひとつだけに終わった。まあどちらかを選べといえば、ワタクシの場合は断然五反田となる。五反田は何というか雑本が紛れ込んでいる・掘り出せるような魅力があるからだ。以前は、五反田を見てから、都営線で三田乗り換えで神保町に向かい、閉場間際の古書会館に向かうというのが定番コースであった。まあ昔話はどうでもよい。今回買ったものを見ていく。まずは1階ガレージを見たが、何も買わずに2階へ。

稲垣足穂「タルホ=コスモロジー」(文藝春秋)1971年4月5日初版函帯500円

デュム・ド・アポロ(帆神熙訳)「太陰の娘サロメ」(風俗文献社)函痛200円

タルホのは重版帯欠を昔1500円くらいで買ったなあと。「太陰の娘サロメ」は、どうせしょうもない海外ポルノの翻案かと思っていたので、大昔に裸本500円のようなものを買ったような気もする。ただ今回安かったというのもあるのだが、1950年代に本文2色刷、和紙表紙の背布装、夫婦函、限定2000部というのは限定とはいえないようなものだが、それでもこの時代の本としてはかなり装幀に凝っている。これはやっぱり装幀資料として持っておいた方がいいだろうという判断。

国書刊行会「世界幻想文学大系」第1期ポスター500円

これは2階会場に行く階段の壁に貼ってあった。折り畳んであるのを拡げるとB2の大きさのポスターになり、裏面にも色々と紹介がある。これはもしかしたら内容見本なのか、単なる販促物なのかはわからない。しかもワタクシは世界幻想文学大系があまり好きではなく、ラインナップは素晴らしいけれども、装幀が個人的にどうしても好きになれなかった。あの函巻カバー。あれが嫌い。見返しの印刷マーブル、あれも嫌い。折込目次もやりすぎ。ああいうおどろおどろしくデザインされたタイトルロゴも嫌い。だから牧神社のマッケン著作集の函巻カバーなんて最悪だと思っている。なので、どうしてもと昔買った「魔性の女たち」の1冊しか持っていないのである。本を買う基準は、書棚に置きたい本が基本。とか言いつつ、最近はこの辺のものも資料として買ってはいるけれども。

生田耕作「わが偏書記」(奢灞都館)昭和56年1月函2600円

グリアースン(日夏耿之介訳)「近代神秘説」(牧神社)1976年6月30日初函30円

鈴木ふさ子「三島由紀夫 悪の華」(アーツアンドクラフツ)カバ帯600円

こちらはヤフオクマケプレ購入品。生田耕作のは函にシミが出ているからか安めに落札できた。生田の私家版で奢灞都館発売。三島のはちょっと目を通す必要があって。そして「近代神秘説」は今までなぜか購入する機会がなかった。原書も元本も持っているけれども原稿用資料として。背は褪色気味だが他は状態がいい。

台風が来るぞ来るぞときて九州上陸して、急に速度が遅くなり、東京でも大雨だったけれどもこちらに来る前に熱帯低気圧化という流れを経て、もちろんいまだに暑いけれどもやっぱりもう晩夏という感じで空は秋空のような感じがある。で、ここのところ買った古本。

「左川ちか全詩集」(森開社)昭和58年11月27日函巻カバ栞付13100円

久しぶりの大きい買い物。以前よりは相場は下がり気味とはいえ、安めに買えたと思う。限定500部背革装。他に50部の背角革装がある。テキストとしては岩波文庫もあり新しい全集も出たわけだが、これは書物として買ったものである。書物、つまり森開社の代表的な書物としてだ。特装本を除き、森開社を代表するような本は、これと、あとはコクトーの「白書」かサマンの「青き眼の半獣神」かなあと考えている。その意味でぜひ入手したかった本なのである。

保昌正夫「七十まで」(朝日書林)1995年2月11日限定500函400円

木村荘八「近代挿絵考」(双雅房)昭和18年12月15日裸ラベル500円

これはぐろりや会をザッと回ってみての買い物。「七十まで」は読み物としてだが、「近代挿絵考」は背下部に図書ラベルがあるものの、最近よく出ている長谷川伸旧蔵の蔵書印があるもの。本自体は持っているのだが。

バルベー・ドールヴィイ(小島俊明訳)「妻帯司祭」(出帆社)昭和49年10月1日初版函帯300円

長田幹彦金色夜叉終篇 下巻」(春陽堂大正11年1月1日初版500円

「季刊銀花」(24号)100円

「妻帯司祭」は学生時代に買って持っているがそれは再版、今回は初版で綺麗で300円だったので購入してしまった。あとで見てみると本文に鉛筆で色々書込みがあってそれで安いのだろうけれども。幹彦のはもちろん夢二装なので購入。

だんだんと70〜80年代リトルプレスの本が集まってきた。前にも書いたが、学生時代に集めていたものと、今度のものと合わせて、この辺の本のことについて色々と書く予定。

真夏のvintage book lab.展である。これは朝イチで向かわないと、ということで、いつもの趣味展よりも早く家を出る。前日台風直撃かという感じだったが、結局かすって関東はそれた感じ。当日朝はまだ雨ではないかと思っていたがそれは回避。しかしながら台風一過の晴天、朝から暑い。高円寺の西部古書会館もなんだかんだ言って、vbl展でしか行かなくなってしまった。交通費が掛かりので致し方ないが。

で、9時半ごろ高円寺に到着。まずはバス乗り場の方にある喫煙所で一服してから、古書会館へ向かう。すでにガレージは開いていて、まだ並んでいるという感じでもない。ガレージは値札がないものは200円均一。そこそこ人がいるので早めにと入り口前に並ぶ。手の届く範囲で少し本を見て、抱える。しかし暑い。そして10時開場。入ってすぐに荷物置き場があるが荷物は必ずしも預けなくてもよい。カゴを持って盛林堂の棚へ。全品500円均一。ここはTwitterでなんとなく全部の棚写真をアップするので、特徴のある本はなんとなくわかる。これ500円ならなと目をつけていた本をまずはカゴに入れていく。「稲垣足穂大全」函付揃、「大坪砂男全集」函帯付揃を手早くカゴに。もうこれだけでカゴは満杯、しかしカゴは全部出払っている。ちょっと心配だが、邪魔にならないように棚の脇にカゴを置いて、手ぶらで棚を改めて見ていく。いくつか抱え、いくつか戻し。1時間半くらい経過すると、盛林堂棚でもいくつかリバース品が出てきて、改めて吟味。カゴも余ってきたので2カゴ。とてもじゃないが手で持って帰れないので、宅急便で送ることに。ただ会場で頼むと、翌々日に着払いのみということだったので、送付予定のものだけを先に会計して近くのクロネコヤマトの事務所へ持ち込み。

さて、その後会場で知人を誘ってぎょうざの満州へ昼食へ。タンメンと焼き餃子セット950円。

で、再度会場に戻ってきてまたさーっと見てからお勘定。ということでまずは手で持って帰った分から(200円のはガレージまたは館内の200円コーナーから)。

井伏鱒二「なつかしき現実」(改造社昭和5年7月3日背焼

吉田一穂「黒潮回帰」(一路書苑)昭和23年11月15日カバ

長谷川四郎「鶴」(みすず書房)昭和28年10月10日2刷カバ帯付

「鶴」は装幀参考資料として。雁たれカバーなので。井伏はこれはちょっと嬉しいと思ったのだが(帰宅したら昨年ここで購入していることが判明、全く忘れていた)。

ジョイス柳瀬尚紀他訳)「フィネガン徹夜祭」(都市出版社)昭和46年12月25日初版函

澁澤龍彦「黄金時代」(薔薇十字社)昭和46年10月1日2版函帯

「黄金時代」はちょうど帯付が欲しかったところで嬉しいのだが、しかしこの帯、記憶にある初版の帯と違うような気がする。で調べてみたらやっぱり違っていた。初版の帯は松山俊太郎が書いている。これは石川淳による新聞評。澁澤あたりは原稿用に。

稲垣足穂「人間人形時代」(工作舎)昭和50年1月1日初版カバ帯

澁澤龍彦「うつろ舟」(河出書房新社)昭和61年6月16日初版函帯

両方とも装幀を考えるための資料として。考えるってったってつまり原稿用資料である。杉浦康平の穴あき装幀は前から欲しかった。今日の棚にも2冊同じのがあったがより状態が良い方を買ってきた。澁澤のは先日重版を買ったのだが、こちらは初版。

シュネデール編「現代フランス幻想小説」(白水社)昭和46年9月27日2刷カバ

窪田般弥他編「フランス幻想文学傑作選2」(白水社)昭和58年2月25日初カバ帯

こちらは70〜80年代幻想文学ブームを支えた幻想文学アンソロジーとも言える本を資料用に。2000円なら買わないが500円ならと。

メーテルランク(杉本秀太郎訳)「詩集 温室」(雪華社)昭和60年4月17日函

宇佐見英治「夢の口」(湯川書房)昭和55年4月15日初函200円

「温室」は雪華社翻訳ものということで、宇佐見英治は湯川書房本ということで。つまり資料用。

石原裕次郎「わが青春物語」(東西文明社)昭和33年7月1日初版カバ

寺山修司「迷路と死海」(白水社)昭和51年6月6日初版カバ

裕次郎のは昭和史資料として。見返しにサインが印刷されているが、ネット検索するとこれを本物として売っている古本屋もあるようだ…。寺山のは、これずっと安く探していた本。大抵3500円くらいするのだが、1000円くらいではなかなか見つけられず、ようやく。新装版出ているがもちろんこちらの元版が欲しかった。

庄司孝男「吉田健一とティオペペ」(私家版)平成12年2月21日2版

生田誠山田俊幸「明治美術絵葉書」(スムース文庫)平成17年12月20日

「幻想と怪奇」創刊号(1973.4)

「アートシアター」特別号セレクションATGスペシャル200円

「ティオペペ」は2版が出ているとは知らなかった。「幻想と怪奇」は資料用。どうもこの表紙とかが嫌いで、今まで手に取ることすらなかった雑誌。ATGのは特別号だったので。

アルトー生田耕作訳)「アンドレ・ブルトンへの手紙」(奢灞都館)元セロ

澁澤龍彦「ヨーロッパの乳房」(河出文庫)カバ帯200円

伊達得夫「詩人たちユリイカ抄」(平凡社ライブラリー)カバ200円

澁澤も伊達のも元版を持っているけれど、持ち歩いて読む用として文庫版を。

で、翌日宅急便で届いた分が以下。

大坪砂男全集1」(薔薇十字社)昭和47年5月16日初版函帯月報

大坪砂男全集2」(薔薇十字社)昭和47年5月26日初版函帯月報

家には帯欠本をすでに所持しているので、帯用だと思っていたのだが、なんと本体も函も今回買った方が状態がいい(ただし1の方は背が白く褪色)。大坪砂男は今は文庫で全集が出ているのだがやっぱり薔薇十字社本として持っておきたいということから。

稲垣足穂大全1」(現代思潮社)昭和44年6月30日函

稲垣足穂大全2」(現代思潮社)昭和44年9月10日函

稲垣足穂大全3」(現代思潮社)昭和47年9月20日再版函

稲垣足穂大全4」(現代思潮社)昭和45年2月28日函

稲垣足穂大全5」(現代思潮社)昭和45年6月30日函

稲垣足穂大全6」(現代思潮社)昭和45年9月28日函

すべて月報欠。今更こんなものを買ってどうするのだというのもある。そもそもこんなに場所を食うものを置く場所などないぞとも。だがこれはいつか揃えて自室の本棚に置きたかった本でもある(筑摩版ではなくあくまでこちらの現代思潮社版を)。勢いで買ってしまったがどうしようかと。

ラング(生田耕作訳)「書斎」(白水社)昭和57年11月5日2刷函200円

「書斎」開場前にガレージで抱えたもの。もちろん持っているけれども、ちょっと取り出しづらい場所にあり、読み用に。

14時くらいに会場を出て、駅の反対側にあるカフェに行ってぐったりと休み、帰途。

今週に入って、先月終わりの日差しの強さと暑さはほんの少しだけ和らいだような気もする。即売展にも行けなかったり、やらなくてはならない仕事がキャパオーバー気味になって追い詰められ気味の今日、アルコールやらには走らずに古本購入に行ってしまう。気づけばいつの間にやらかなりの散財をしている。困る。ということで、ここのところ古書店やらネットやらで購入したもの。

陶山幾朗「「現代思潮社」という閃光」(現代思潮新社)カバ帯1113円

石井恭二「花には香り本には毒を」(現代思潮新社)カバ108円

ル=グウィン「文体の舵をとれ」(フィルムアート社)カバ帯1200円

種村季弘「黒い錬金術」(桃源社)昭和54年3月10日初版函帯1000円

種村以外はネット。種村本を集めているわけではないが、桃源社から出たものくらいは持っておこうと思っていたところ、たまたま駅前でやっていたワゴン古本市のようなものを覗いたら1000円だったので購入したもの。「マゾッホの世界」は大昔に買ってサインを入れてもらったことがある。他は原稿用の参考文献とか仕事用の参考文献。

ジャム(三好達治訳)「夜の歌」(野田書房)昭和11年11月25日函990円

ベックフォード(矢野目源一訳)「ヴァテック」(春陽堂世界名作文庫)昭和7年11月25日初版1120円

清岡卓行「手の変幻」(講談社文芸文庫)初カバ帯1000円

「夜の歌」は野田書房本で安いのでというだけで。「ヴァテック」は原稿用資料、それから「手の変幻」はこの文庫本でお安く探していたもの。文庫は妙にプレミアがついて高いのだが、たまたまフラッと入った古本屋にあったのでこの価格で妥協と購入。

永田耕衣「金色抄」(南柯書局)昭和49年夏限定350部帙外函1000円

雑誌「パンドラの匣」創刊準備号〜昭和53年11・12月号5冊揃2250円

永田耕衣のは原稿のための参考資料用。ネットオークション落札品。牧神社から出ていた雑誌「パンドラの匣」は原稿資料用。パラ読みしたけど、なんだか基本コンセプトがぐらついてて、執筆陣はなかなかなのに、これは短命に終わるのも当然だなあという印象。通巻何号とかそういう記載もないが、おそらくこれで全部かと思う。

生田耕作編訳「愛書狂」(白水社)昭和55年12月5日特装250部函外函5500円

生田耕作編訳「書痴談義」(白水社)昭和58年11月25日特装178部函外函4500円

こんなの不急不要の最たるものだが、今まで見た最安値で出ていたので行ってしまった。総革装天金。「愛書狂」の方は野中ユリ装幀。両冊とも「インド産ゴート白張り那智石磨き」と表記してあるが、材質も処理も製本もいい感じ。ただ「愛書狂」の方は夫婦函が逆さというか左開きでなんだこれという印象。本体背の感じがあまり気に入らない。署名もない。でも本文用紙「ツイードカバー薄クリーム紙」は普及本より厚めでしっくりくる感じ。「書痴談義」の方は装幀のクレジットはないが、訳者署名入。夫婦函も右開き。見返し用紙は同じ白水社澁澤龍彦訳「城の中のイギリス人」特装版と同じ模様の色違いマーブル紙(印刷ではないと思う…)。ただし夫婦函の背に題簽はない。こちらの方がデザイン的には好ましい。本文2色刷り。先日買った「美しい本を求めて」が79年で定価18000円、「愛書狂」が80年で定価48000円だが、定価は後者の方が倍以上。革、用紙共に後者の方が上質ということだろうな。

生田だの澁澤だの幻想文学関連だのをここのところ買っているが、これすべて原稿用の資料として。いや、資料だとかこつけて、昔欲しかった本、とうに手放してしまった本などを買っているのかもしれない。そして、今こんなことを書いている暇は実はない。作業に戻る。